◎▲■
◎=まる
▲=さんかく
■=しかく
目を▲にして、娘が問うた。
イチゴショートは、なぜ▲なのか。
いや、▲と少し違う。
◎を切り分けると、▲になる。
ほら、クリスマスに食べただろう。
じゃあ、なぜ◎なのかと、
娘は更に問いかける。
ならば、と、私は、
明日の外出を約束した。
ケーキ屋に来た。
◎▲■、いろんな形のケーキがあった。
娘は■が良いという。
ならば、と、私は、
■いケーキを買おうとしたが、
そうじゃないと、娘は云った。
ノートは■、折り紙は■、
ケーキも■に作れば良いのに。
そうすれば計りやすいのに。
それを店員が聞きつけた。
作るところを見せてくれた。
丸い方で焼いたスポンジに、
ろくろでクルクルとクリームを塗る。
見せられては仕方が無い。
それを二切れ買って、その場で食べた。
でも、娘の顔は晴れない。
■いケーキも型で焼く。
■いケーキにろくろは要らない。
いろんなものが■いのに、
なんで、ケーキは◎いんだろう。
レンガが◎いと積みにくい。
タイルが◎いと隙間が出来る。
道が◎いと曲がってばかり。
箱が◎いと転がってしまう。
私はイチゴを娘に見せた。
上から見ると、イチゴは◎い。
ミカンもカボチャもスイカも◎い。
キュウリにダイコン、輪切りは◎い。
自然のものはみんな◎い。
次の日は私の手作りだ。
ミックスを◎いボウルで溶いて、
◎いフライパンに流し込む。
すると、自然に◎いケーキが出来る。
それにたっぷりのシロップが、
焼きたてケーキの上に◎く広がった。
自然の形、
地球の形、
太陽の形、
お空の形、
みんなみんな、◎いのだ。
娘は焼きたて◎いケーキをぱくり。
娘は◎い笑顔になった。
(おわり)