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紡ぐ旋律と星見の少女  作者: わさび
9/50

第一世界〜焔〜

双剣を持って走り出す。

瞬間、双剣が光を放ち…溶け消えた。

「……えっ!?リア!?」

「その武器はね、持ち主の最も扱い易い形に変化するの。奏にあった形に、その剣は変化するわ」

その言葉のとおり、双剣だったものは両腕にまとわりついた。左腕は黒い鎧が包む。右腕は白い焔が包む。

黒い鎧からは青い雷が漏れている。

動作に違和感は感じられない。

渚が腕を振るう。

それを左腕で受け止める。

スパークと共に腕を受け止めた後、右腕を渚の胸元に叩き込む。

腕に纏う白い焔が広がる。

渚を包み込んだ焔はその体を焼いてゆく。

「あぁああぁぁああああっ!!!!!」

渚が苦しんでいる。

思わずその体を抱きしめた。

もう原型を留めない化け物に変貌してしまったが、間違いなく渚だ。

「渚、これで……終わりだ」

「……うん、ありがとう…渚。ずっとね、ずーーっと、大好きだったよ」

「そんな事言うのは、ずるいよ」

「ん、だから…私の事は忘れて?忘れて新しい道を歩んでください!あなたの事が大好きな幼なじみより!じゃあね、奏」

渚の声が聞こえた。抱いていたのは化け物ではなく、渚で……渚の体は淡い光と共に、白焔に包まれて消えた。最後に見えた渚の顔は、笑っていた。


「…渚、」

「奏……今は口を挟む時じゃないって分かってるけど、言わなきゃいけないから言うね。私と一緒に、来てくれない?もうすぐこの世界の修正力がこの世界を閉じてしまう。そうなれば、次の世界に向かう事は出来なくなる」

リアが気遣うような優しい口調で言ってくる。

リアは、この世界からいなくなるようだ。正直、この世界を好きだと思った事は何回もあるけど、ずっといたいか?と言われたら首を横に振るだろう。今なら、なおさら。

「……リア、一緒にいけば…こんな思いをする人を減らせる?」

「そうね……減らせるわ」

なら、この世界とはお別れをしよう。

渚、俺は…言われた通りにこの力を使うよ。

誰かを護るために、この力を使う。

「うん、行くよ。リアと一緒に」

リアの笑顔を初めて見た。

とても美しく、月のような瞳は真っ直ぐで。

ひたすらに何かを護ろうとする強い意志が感じられた。

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