プロローグ
ほのぼのとほっこりとしてくれたらと願います
その日はまだ5月だと言うのに暑い日で、今日は中部地方での取材だった。
手応えは上々、3時半には本社に戻るつもりだったが昼を取っていなかったのでコンビニでコーヒー牛乳と菓子パンを買い、公園のベンチに座った。
公園には学校帰りなのだろう、ランドセルをほっぽって小学生5人がペコペコなサッカーボールを蹴っては走り回っている。
柳原 隆は遅い昼飯を済まし、予定より30分遅れた時計を見ながら公園を出た。
「あっちぃ」
隆はぼやきながらも足を速めた。
今年で22になる彼は人生に達観していた。高校を卒業後、絵を描きたいと大学に行かずバイトをしながらの絵描きをしていたが、2年、3年と日は流れ、彼はイラストレーターとして会社に入社。
望んだ職につけなかったが、彼は妥協し、まぁこんなもんなのかと諦めに似た感情を持った。
そんな彼には、目の前の横断歩道で男の子と女の子が話に夢中なことはわからかった。
大型トラックが猛スピードをだしてることも。
歩道脇の店のおばちゃんが悲鳴をあげようとするところも。
自分が2人の子供を抱えて横断歩道から逃げようとしたことも。
書くのはほぼ初めてなので甘い目で見てください