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男の娘との恋

作者: pizzaP

妄想を書きなぐってみました。

「もう、やめてよ……」

 僕が初めて見た彼女はいじめられていた。

「男のくせに女の格好してるような気持ち悪いからこんなことしてんだよ。いやだったら普通の格好しやがれ」

 彼女は男のくせに女の子の服を着ていた。しかし、僕から見るとそれが普通のように彼女には似合っていた。

「お、お前なんだよ! こいつの味方でもするのかよ!」

 気づいたら僕は彼女の前に出ていた。もちろん自分でもそんなことをすれば、僕に被害が飛んでくることなどわかりきっていたがなぜか気がついたときには僕の体は動いていた。

 当然、そのあとは喧嘩もしたことない僕が彼らに勝てるはずも無く、複数の男たちにボコボコにやられた。

「ねえ、大丈夫?」

 彼女が声をかけてきてくれた。さっきはちゃんと見ているようであまり印象に残っていなかったようだが、よく見ると綺麗な黒髪を持ったキリッとした顔立ちだった。背はそんなに高くなく、見れば見るほど男に見えなかった。

「私のせいで、ごめんなさい。怪我は大丈夫?」

「いや、僕が勝手にやったことだからあんまり気にしないで」

「そんな訳には、いきません。何か、お礼をさせてくれませんか」

「そ、それじゃあ……僕とデートしてください!」

 勢いに任せてとんでもないことを言ってしまった。


 次の土曜日、僕は彼女との待ち合わせ場所である駅前の広場に向かっていた。

 あのあと彼女の返事ははい、だった。すぐに約束を取り付けた。

「楽しみだな」

「そんなに楽しみにしてくれて私も嬉しいわ」

 思わず出した声を後ろから近づいて彼女に聞かれてしまったようだ。

「ははは、聞かれちゃったみたいだね。ちょっと恥ずかしいよ」

「私も、少し恥ずかしいわ、でも……」

「でも?」

「あなたがそんなに私のことを思ってくれて嬉しいわ」

 そう言って笑いながら照れる彼女の顔はすごく魅力的だった。

「それじゃあデートに行きましょうか。私をどこに連れて行ってくれるのかしら?」

「じゃあまず映画館に行こうよ。今やっている映画で面白そうなのやってるんだ」

「私の趣味に合うといいわね」

 そう言っていたずらっぽく笑う彼女の顔はやっぱり可愛かった。


「それじゃあ、あなたも本は好きなのね?」

「そうだね、僕自身はそんなに読んでないと思ってるけど周りが勝手にすごいって褒めてくるんだよ」

 僕自身は本当にそんなに読んでないと思ってる。でも周りの友人や両親はすごい読書家だと褒めてくれたりする。

「私も、本を読むのは好きだわ。まるで、自分が、その物語に入ってるような、感覚になるの」

 先程から彼女は独特の喋り方をしている。

「私はね、あなたが前も見たように、男なのに女の子の格好をしてるから、気持ち悪がられてるの」

「でも君は綺麗じゃないか」

「ありがと。でもね、やっぱり私のことは誰も理解してくれないのよ」

 そう言った彼女の顔は本当に世界は自分一人だけだと思っているような顔だった。

「今日は楽しかったわ。また機会があれば一緒に遊びましょ」

 いけない、彼女が帰ってしまう。これを逃せば僕は彼女に会えない気がしていた。

 だからだろうか、なぜか彼女の手を引いて駆け出していた。

「な、何するのよ!」

 その時初めて彼女の驚いた顔を見た。笑うことはあっても驚いたりはなかなかしなかった彼女が驚いてくれた。

 僕はなぜかそのことが無性に嬉しくてまたいっそう早く走った。

「ちょっと! どこに行くのよ!」

「君に見せたい景色があるんだ」


 彼女と走ってどれくらいだろうか。そんなに遠い距離にある場所ではないのでそれほど走ってはないだろう。

 しかし、普段から運動をしていないようで、彼女はかなり息切れをしていた。

「ここが僕の連れてきたかった場所さ!」

 そこはビルとビルの隙間にたまたまできた場所だった。時刻はそろそろ晩御飯を作り始める時間。そこから見えるのは

「綺麗な、夕日ね……」

「だろ? 僕もここの夕日が大好きでさ、告白するときはここでって決めていたんだ」

「そのためにわざわざ私を連れてきたのね。それで、私に何かいう言葉はないのかしら?」

 彼女はいたずらっぽく笑うと顔を僕に近づけてきた。

「そうだね……。でもいざ伝えるってなるとやっぱり緊張しちゃうな」

「ふふっ、私も、少し緊張してきたわ。さあ、早く伝えたいこと言ってくれない?」

 彼女は既に僕の伝えたいことをわかっているのだろう。僕がさっき言っちゃたようなものだからな。

「それじゃあ改めて言うよ。僕は君のことが……」


「懐かしい話を、してくるわね。何年前の話よ」

「何年前ってちょうど一年前の話じゃないか。……まさか覚えてないの?」

 彼女はいつものいたずらっぽい顔をしている。僕も分かってやっているのだ。

「でも、なんで私のことなんか、好きになったの? 気持ち悪いとか、そういうのはなかったの?」

「君が綺麗だったからさ」

「あんまり恥ずかしいことは言わないでよ」

 そう言って照れる彼女はすごく魅力的だった。


感想やおかしな点の指摘などしてくださると幸いです。

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