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だめ男に恋していいですか?

作者: ぁぃちゃ。

「はぁぁぁ!!!!!?」


「ちょ、ちょっと!!

 声がでかいよ、春!!」



私は天城(アマギ) 優菜(ユウナ)

中学3年生で

同級生の健に片想い中!!


のんびり、マイペースで

わりと空気読めなくて

寂しいのが嫌いで

しゃべることと食べることが

好きだったりする



私たちが今居るのは

昼休みの教室

わりと騒がしかったからか

数人が振り向いただけだった


それにしても、

そんなに驚く理由が

わからない


私が恋をしてたら

おかしいんだろうか・・・?

春が芸能人に恋してても

おかしくないのに

私に好きな人が居たら

おかしいの??


「別に優菜がおかしいって

 言ってるわけじゃないんだけど?」


あ、いつの間にか

声に出てたみたい

私の悪い癖だな


思ったことは

顔にも言葉にも

出てしまう


そんな訳で

好きな人ができると

けっこうすぐバレる


「私がおかしいって言ってるのは

 優菜が恋してる相手のこと!!」


え、今なんて・・ん?!!!!!



「えぇー!!!!!!!???」


「優菜うるさい」


ちょっと待って、春

それ、ひどくない??



ちょいちょい毒舌なのは

私のクラスメート、神城(カミシロ) (ハル)


「どこが変なの?!!

 健くん優しいし、面白いし、

 かっこいいし、頭もいいし、

 笑顔とか犯罪レベルだと思う!!!!」


熱く語る私を

かなり冷めた目で

春が見てた


そして、冷静に

しかも真顔で

信じられないこと(?)を

言い放った


「どこがいいの?

 あいつただのダメ男だし」


「え、ちょっと待って

 真面目に酷くない?」


ひどい通り越して

健くんに申し訳ない



葛木(カサギ) (タケル)

私の好きな人で

明るくて面白い!!

でも、異性としての評判はよくない


「優菜、誰に聞いても言うと思うよ?

 聞いてみなよ、みんなに」


「うーん・・・

 よし、わかった!!

 でも、口が固そうな女子だけね」


「誰だっていいよ

 みんな同じこと言うから」


春・・・

その自信はどっから来るの?


その自信はきっと間違ってる!!!

絶対訂正してもらうから!!!


密かにそんなことを

決意しながら

同じサークルの果梨菜を

探しに教室を出た


「果梨菜ー!!!」


窓から運動場を眺めていた

果梨菜は少し驚いた顔で

振り向いた


「なんかあったの?

 そんなに興奮して」


「興奮?そんなんじゃないよ!」


で、カクカクシカジカと事情を説明した

そして、運命の判定は・・・!!?


ドキドキしている私とは

裏腹に果梨菜はサラッと一言






「うん、わかんない

 なんであいつなの?」



え・・・・


「ねぇ、果梨菜

 冗談じゃなくて

 真面目に(苦笑)」


果梨菜は表情を変えずに言った


「冗談じゃなくて真面目に(苦笑)

 あの噂を優菜は知ってるの?」


噂ってなに?

そんなの知らない


「あいつだいたい1週間ぐらいで

 好きな人変わるらしいよ

 最近はどうかよくわからないけど

 少なくともちょっと前までは

 そんな噂があった」


な、な、なんとー!!!

1週間??!

え、それ短くない?

私、最短でも1年ぐらいだよ?

ほんとに居るんだ・・・

小説とかドラマだけだと思ってた


はぁ・・・

同じ学年の女子

21人中11人が知ってて

9人は「ダメ男」って言ったか

「なんであいつなの!??」って・・・

1人は「うーん、どうだろうね」って

流されっちゃったし


みんなの方が

健くんをよく知ってるんだけどさ



私と健くんが出会ったのは

去年の12月で今6月だから

半年ぐらい

春休みとか抜いたら

4ヶ月ぐらいしか

一緒に過ごしてないし

全然健くんのことは

わからないけど・・・





「どんな人か」って

みんなほど

ちゃんと知らないのは事実だし

みんなが言ってることは

正しいかもしれない




それでも、、、



後で傷つくことに

なったとしても・・・




私はやっぱり・・・














































『健くんが好き』











って気持ちだけは

どうしようもない



私は中2の12月

ここに引っ越してきた


そして、私はみんなと出会う

このとき、健くんとは同じクラスだった


健くんの第一印象は

『元気』って言うより

『落ち着きがない』という

表現があっていると思う

でも、それは悪い意味ではなくて

むしろ羨ましかった


休み時間になるたびに

小学生みたいに走り回って

いつも笑ってて

とても楽しそうで

『一緒に居たら楽しそうだな』

って思っていたりした


ここに来た頃は

全てが慣れなくて

ずっとウジウジしてて

なんかもう・・・

『負のオーラ』みたいなのを

出しまくってたような気がする


「ここで恋なんて絶対しない!!」

なんて思ってたりもした


けっきょくこんな気持ちのまま

中2が終わった


今思えば

かなりもったいないと思う


いろいろとチャンスがあったのに

それを見送ってた

見送るどころか

-に変えてたかもしれない


最近になってわかったことは

健くんの私に対する

第一印象が『面白い』だったこと


「なんで!??」


「大阪弁だったから(笑)」


そう、私・・・

普段はかなり関西弁

第一印象が『面白い』って

どうなんだろうか?


『暗そう』とかじゃなくて

よかったとは思ったけど


今の印象も聞いてみると

やっぱり『面白い』だそうで・・・

まぁ、これは納得できるかも

いろんな人に面白いと

言われてきたから


でも、どこが面白いのかは

さっぱりわからない


『この恋のはじまり』

と言うよりも、

『この恋のきっかけ』

と言うべき日が訪れた



それは・・・



バスケサークルの大会だった


生まれた月が6月だったり

なにかと『6』という数字は

私に縁がある数字で

今回も「6番って誰だろう?」

ふとそう思って探してみた


そして、そのユニフォームを

身にまとっていたのが

紛れもない健くんだった



そして、なぜか健くんに

見入ってしまっていた


シュートを決めた時の笑顔が

とてもかっこよくて

でも、なんか可愛くて・・・


このとき既に恋してたのかな??



なんとなくだけど

『6』のユニフォームを

着ていたのが

健くんだったから

恋をしたんじゃないかな??


他の人だったら

こんなにも夢中になることは

無かったよ、きっと・・・



その後の打上げも

すごく楽しかった


ここに来て

初めて思いっきり笑った


なぜか『店員さん』って

あだ名は付くし

お店の近くにあった

プールで水の掛け合いから

突き落とし大会になって

びしょびしょになったし

そもそも、

最初に突き落としたのは

私なんだけど・・・


合計3人突き落とせたのは

ちょっと嬉しかったかな?(笑)


後輩1人と健くんと米倉航くん

この3人をプールに

思いっきり突き落とした




米倉(ヨネクラ) (コウ)

アニオタの面白い人

好きな人には『シリウス』って

呼ばれたいらしい



ちなみに、『店員さん』って

ニックネームが誕生したのには

ちゃんと訳があって・・・


みんなで中華食堂ってとこで

ご飯を食べていた時

自分のお茶を注ぐついでに

いろんな人にお茶を注いでいたら


「なんか店員さんみたい」


って原くんが言い出して

それ以後よく(?)『店員さん』と

呼ばれるようになった




西原(ニシハラ) (ツヨシ)

通称 原くん

面白くて大柄な人

グリーンピースが嫌いらしい


突き落とし大会は・・・

けっこう、いや、かなり満足かも



でも、恐竜と原くんを

落とせなかったのは残念!!!!!


恐竜は筋肉量が半端じゃないから

当然、力も強くて・・・

しかも、油断も隙もない!!


原くんは・・・

とにかく『でかい!!』かな?

私が1人で後ろから押しても

ビクともしてくれない



この2人にはぜひリベンジしたい!!!!


夏のラスト試合に

私は出れないけど

心優しいみんなが

打ち上げに呼んでくれるので

そのときぜひ!!!!



他3人は後ろからとか

気を抜いてるときだったから

うまくいったけど

たぶんそうじゃないと

落とせなかったと思う


でも、突き落とした3人も

もう1回落としたいなぁって

思ってる!!


今度はもっと派手に!!!!!(笑)



大山竜矢(オオヤマ タツヤ)

通称 恐竜

筋肉量が本当に半端じゃない

野菜が嫌いらしい



この日を境に

なにかが吹っ切れた

心のどこかで

モヤモヤしていたものが

全部無くなって

すごくスッキリした


多少なりとも

悩みはあったけど

少しづつ前向きに

進んでいけるようになった



この大会と打ち上げは

忘れかけていた

楽しく生活する為の心を

取り戻させてくれた



『恋心』

『前向きな気持ち』



この2つの気持ちを取り戻せたのと

優しいみんなが居てくれたから

私はすごく楽しく過ごせたんだと思う




この恋の存在に

私が気がつき始めたのは




修学旅行の前の学年集会





・・・の

『ご飯を食べる班の発表の時』

だった(笑)


「1日目にご飯を食べる班を

 発表するので、

 間違えないように覚えて下さい」


食事係代表の子が

そう言った


私は

『楽しければなんでもいいや』

と思っていた


でも、この瞬間から

少し期待していたような気もする


『健くんと一緒に食べれたらいいな』


なんて・・・



私は1組1班

ちなみに班長

健くんは2組5班

そしてレク係代表







「まず、1日目の昼ごはんを

 一緒に食べる班を発表します」






「1組1班と1組2班、

 1組3班と1組4班

 ・・・・

 1組5班と2組5班です」


なぜかとてもショックだった

2班に苦手な子が居るとか

別にそんなことは無いのに

ため息をつきたくなるくらいだった






『なんでこんなにショックなんだろう?』








おかしいな

なんかすごくショック・・・


でも、そのショックは

次の食事係の言葉で

全部なくなった




「では、夜ご飯を一緒に食べる班を

 発表するので静かにしてください」


ドキドキ・・・


お願い!!!!

気がつけば肩に

かなり力が入っていた


「1組1班と2組5班、

 1組2班と2組4班、

 ・・・・

 1組5班と2組1班です」


やったっ!!!!!!!!

健くんと同じだ!!!!!!!!




あれ・・・・?

なんでこんなに嬉しいの?




『ここで恋なんてしない』

私はそう決めていた


だから、自分の中で

必死に押し殺そうとした

この大きくなりつつある

『恋心』とかいう

かなり厄介な気持ちを・・・












でも、、、



無駄な抵抗だった(笑)








好きって気持ちは

止まってくれなかった



いよいよ楽しみにしていた修学旅行


健くんとはクラスが違ったから

バスは違ったけど

こっちはこっちでとても楽しかった



バスレクで絵かき歌を歌ったり、

寝てる子の写真を撮ったり、

仕返しが怖くて寝れなくなったけど(笑)




いろんな場所に行って、

いろんな話を聞いて、

いろんな事を学べた3日間だった





そして、、、

この恋を確信した

旅行にもなった







最後の行事だった

〝同じ学校の生徒〝として

健くんとなにかを一緒にすること

これが最後だった


1日目はオランウータンを見たり

民族学習のために

ロングハウスを見たり・・・

あっという間に

密かに楽しみだった

晩御飯の時間に

なってしまった


1日目の晩御飯を一緒に食べたのは

私、紗緒梨(サオリ)

悠花(ユウカ)春希(ハルキ)

小桜(ココロ)

鳥沢(トリサワ)、健くん、

獣田(シシダ)山野井(ヤマノイ)


この9人!!

修学旅行の中で

1番楽しみにしていた

食事だった


『1組1班と2組5班はこのテーブルです』


食事係に案内されたテーブルは

薄ピンク色のテーブルクロスで

幸いにも(?)ターンテーブルは

ついていなかった


もし、このテーブルに

ターンテーブルがついていたとしたら

あんなに嬉しい展開には

きっとならなかった


全部は覚えていないけど、

チャーハンとスープ、イカの天ぷらが

出てきたことをよく覚えてる


チャーハンを健くんが

取り分けてくれて

それを受け取れたことが

とても嬉しくてドキドキした


イカの天ぷらを

健くんの皿に取ってあげれたのが

私でとても嬉しかった



『店員さんでしょ?とってよ』


そう言って無邪気に笑う健くんが

とてもかっこよくて可愛かった




健くんは気がつかなかったでしょ?


私がさりげなく

あなたの正面に近い位置に

来るようにしてたこと




ご飯もだいたい食べ終わって

フルーツが出てきたとき

定番の〝イタズラ〝を始めたのは

やっぱり健くんだった





健くんがオレンジかスイカを

誰かのお茶に入れた(笑)


その後はやっぱり

入れ合いになって・・・


最初は男子だけだったはずが

なぜか女子も巻き込まれてしまった

私はそういうのが嫌いじゃないし

むしろ好きだからよかったけど


でも、中国茶にオレンジだったら

そんなに不味くない気がする

と思って、早速試してみた

予想通り美味しくもないけど

そんなに不味くもない

好き好んで飲む味ではないけど

騒ぐほどではなかった


『お茶にオレンジなら

 そんな大したことなくない?』


そう聞いてみると


『じゃあ、スイカで試してみてよ』


なんて言い出したのは

やっぱり健くんで・・・


『いいよ、じゃあ、作ってよ』


なんて答えてしまった



あ、言っちゃった

流石にスイカは不味いよね

仕方ない、健くんブレンドだし・・・

とか、思って1人ドキドキしていた



悪戯を企む小さい子みたいで

笑顔がツボだったからいいかな?

なんて思っていたりもした



『はい、飲んで』


受け取ろうと手を伸ばした

そのとき・・・


『やっぱり、ちょっと待って!!(笑)』





『え?なんで??』


何をするのか

さっぱりわからなくて

首をかしげて尋ねると

健くんは悪戯っぽく笑って


『つぶしたほうが面白いじゃん?』


なんて言い出した



持っていたお箸で

ニコニコしながら

スイカを潰す健くん・・・



なんでそんな嬉しそうなの?(笑)


そう言うところも

健くんらしい気はするけど




でも、、、、



この後にとんでもない

キン・キュウ・ジ・タイが

発生するなんて!!!



『どうや、美味しいか??』


なんて言いながら

斜め後ろのテーブルに

学年主任の田畑先生が現れた


英語の担当で

怒るとけっこう?恐かったりする






健くん・・・・

パニックに陥りました(苦笑)

自分にコップを差し出したまま

固まってしまった

何秒か経って

我に返ってかなりキョトキョトしていた



健くんに『作ってよ』って言ったのは

自分だから責任持って飲もうと思って

声をかけた


『かして、かして!!』


でも、きょときょとしたままで

本当にパニックに陥ってて

聞こえてなかったかもしれない






そして、極限までパニックに陥った

健くんはどうしたでしょうか?


その行動には自分もかなり驚いた

引いたとかじゃなくて

とにかく面白くて笑ってしまった


追い詰められた健くんは・・・

突然手に持っていた

スイカの果肉と果汁入りチャイニーズティーを


・・・・・・・・・






飲み干した!!!(笑)



そのままトイレまでダッシュ!!!



経緯を知ってるみんなは

大爆笑してた


幸いにも田畑先生には

気づかれなかったみたいで

安心した


健くんと同じ班の鳥沢が

入れ違いに

トイレから出てきた


『もう、最悪!!』


よく見るとパーカーの袖が濡れている



話を聞いてみると・・・


健くんがトイレのドアを開けた瞬間に

中にいた鳥沢とはち合わせして

その時に健くんが

口いっぱいに含んだ

スイカ入りチャイニーズティーを吹き出して

それが鳥沢のパーカーにかかった


・・・・ってことみたいで(笑)





そんな健くんも

『なんか可愛い!!』とか

思ってしまう自分は

けっこう重症だと思う


いろんな人に

『優菜、それ重症だよ』

って言われた(笑)





嬉しい展開があったり、

キンキュウジタイが発生したり、

とにかく賑やかに時間は過ぎていった


(もう、終わっちゃったなぁ。)


なんて思っていると

もう1つプチ嬉しいことがあった


健くんがなぜかリュックから

e-maのど飴青りんご味を取り出した


それを見た悠香が


『うちらにもちょうだい!!』


って言い出して

1つずつもらうことになった


もらいっぱなしも悪い気がしたから

私は思い切って言ってみた


『健くん、1コいる?

 飴くれたから、あげる』


『あ、うん!ありがとう』


そう言って笑って受け取ってくれた



そんな小さなことが

すごく嬉しかった






『もらいっぱなしじゃ悪い』

なんてきっと建前で

ほんとの気持ちは

『健くんの笑顔が見たかった』

ってだけなんだ





(やっぱり、健くんが好きなんだなぁ)

なんて1人で思っているうちに

あっという間にホテルに着いて、

入館式をして、部屋に行って、

班長会議と1日の反省会をして・・・



修学旅行の夜の恋ばな大会、

通称:カタリカタリorキャタリキャタリが

幕を開けた



最初は

『菓子パしようよ!!』

なんて言いながら

1つの部屋に集まって

他愛もない会話をしながら

お菓子を食べていた


しばらくすると

やっぱり『恋ばなしない?』

なんて展開になり・・・


私は言わないでおこうと思った


『好き』って自覚はあったけど

『恋なんてしない!!』

最初はそう思っていたから

変な意地が出てしまって・・・



『優菜は好きな人居ないの?』


不意に誰かが投げかけた質問

スルーすればいいのに

自分にはなぜかそれができなかった


気がつけば下を向いて

黙ってしまっていた


『あれ、もしかして居るの!!?』



もう、半分やけになってうなずいた

顔に出やすいのは

今までの経験で知っている

どうせそのうちばれるなら

今言ってしまったほうが

気が楽でいい


『え、誰だれ!??』


『ほんとに??!』


みんなは割と驚いていた

それは驚くだろう(笑)

自分は『日本に好きな人が居る』と

みんなに言っていたのだから


『教えて、教えて!!』


やっぱり誰がっていうのは

存在を知ってしまえば

知りたくなるもの


みんなは予想を

次々と口にする


そして、なぜか・・・・

みんなの予想は当たっている!!!!


そんなに出てたのかな・・・?!


後で聞くとみんな口を揃えて

『勘だよ、勘!!(笑)』

と言うから恐ろしい


女の勘ってなんか怖い・・・(汗)


『言わないから教えてよー』


ってやっぱりなって

自分はそういう空気に

なぜか弱い・・・


どうしようか迷っていると


『優菜の好きな人って健くん??』


(わぁ・・・

 当たってるし・・・)


もう頷くしかできなかった

流すのは下手でいつもばれる

それなら腹をくくろうって思って・・・



みんなはかなり驚いていた


『えぇー、ほんとに!!!』

『まじか!!!』


『やっぱりそうか!!』

なんて言ってた人も居た気がする


みんな応援すると

言ってくれたのが

とても心強かった


そして、

とても嬉しかった


『なんで健くん!??』って

言われたような気もするけど(笑)


2日目、3日目は

クラスも違ったから

健くんとは何もなかったけど

博物館に行ったり、

国立公園に行ったり、

クルーザーに乗ったり、

学年レクをしてとても楽しかった



まるで夢の中に居るみたいに

考えたくないことは

何も考えずに居られた







待ち望んだ修学旅行は

あっという間に終わってしまった


とても楽しい修学旅行で

思っていた何倍も楽しくて

『終わらなければいい』

と思うくらいだった






修学旅行も終わり、

私がこの場所に居られるのも

あとわずか・・・






そんな時・・・・・・・・・






まさかあんな発言を

してしまうなんて

私も自分でかなり驚いた






学校では

とあるサイトのIDを

持っている人が

かなり多くて

私も作ってみた




健くんと少しでも

話してみたかったから




これはIDを作って

1週間も経たない日の話



IDを取得してから

ほぼ毎日のように

チャットをしていた


あの日もいつものように

チャットを飛ばした




そして、修学旅行以来

ずっと気になっていたことを

聞いてみることにした






そもそもこの選択が

間違いだったのかもしれない









なぜなら・・・・・・・・・










聞く前から

答えを知ってしまっていたのだから




「やっほー//」


いつも同じ文句で

はじめる私と健くんのチャット


「ちょっと変なこと聞いてもいい?」



そう送った






この時は思わなかった

事実だけを確かめて

この気持ちは伝えないはずだった



「いいよ。ww」


そう返ってきた


「好きな人ってだれ?ww」


「教えてくれたら教えてあげるよ」



返ってきた返事は

半分想定内で半分想定外だった


私が言えば

教えてくれるだろうし、

もし教えてくれないなら

『○○ちゃんでしょ?』と

言い当ててしまえばいい







でも、私が健くんに

好きな人を教えるというのは

告白と同じこと・・・・・・




しばらくは


「先に言ってよww」

「言わないよ。ww」




このやりとりの繰り返し

でも、私は何回目かの

同じやりとりのあと・・・

致命的なこと言ってしまう



この発言がなければ

もっと違ったかもしれない



「絶対言わない?」


そう聞いていた















こう言った瞬間に

私は自分で

墓穴を掘っていた








しかし、そう気がついた頃には

私では戻れない空気になっていた


「言わないよ」


健くんはもちろんそう言ってくれた


私は自分で仕掛けたのに

パニックに陥ってしまった



同時進行で違う子に相談すると

その子も『頑張れ優菜!!』と

返ってきた





















そして、私は・・・・・・・・・



























心を決めてしまった











(どうせここから

居なくなるのなら

健くんに言ってしまおう)






と・・・・・・・・・
































「天城優菜の好きな人は・・・・・・・・・













健くんです!!!!!」



















言ってしまった

ついに私は告白してしまった


それから健くんから返事が来るまでは

5分くらいだったはずだけど

私の中では何十分もあったように

感じるほどだった





言ってしまったあとも

パニックだったのは

言うまでもないかもしれない(苦笑)


「mjk。

返事していい?」






私は聞く前から

答えなんて知っていた

でも、


「うん」


と短く答えた







































「気持ちは嬉しいけど、ゴメン・・。w

俺、笹野のこと好きなんや。w

ほんま、ごめんな。w

明日からは普通に話してください。w」








やっぱり健くんは

笹野さんを見ていた


(そりゃ、そうか)

なんて思いつつも

やっぱりショックはショックだった


でも、健くんの

「明日からは普通に話してください」

って言葉に少し救われたりもした




「喋ってくれなくなったらどうしよう」

とずっと思っていたから



そして、そんな優しいところに

もっと好きになってしまう私がいた



笹野(ササノ) 夏奈(ナナ)

同じクラスの明るくて

小さい可愛い子


「うん^^

ありがとう

笹野さんか~

頑張って\(*⌒0⌒)♪」


こう返すのが精一杯だった

きっと目の前に健くんが居たら

『頑張って』なんて言えなかった


そんなことを考えながらも

健くんとはその日も

まるで何事もなかった様に

しばらくはチャットができた


それが嬉しかったし

とても安心した















































































この告白は失敗に終わったけれど

後々気持ちの整理をつけるのに

大いに役立つことになるなんて

この頃は夢にも思わなかった







やっとみんなと打ち解け

学校生活も楽しくなってきた


でも、また、

私は転校することに

なった


ろくに英語も話せないのに

インターナショナルスクールに

通うことになった


私はもちろん拒んだ


英語は話せないし、

やっと仲良くなれたし、

・・・・・・好きな人だってできたのに



みんなともっと話したい

バスケももっとしたい





健くんと・・・・・

もっと一緒に居たいよ・・・・・・・・・




これは修学旅行の少し前から

言われていて

学校見学にも行ったから

もちろんわかっていたこと


『時間が止まったら』


なんて夢のようなことを

考えていたりしたけれど

そんなことはあるはずもなく

無情にも時間はあっという間に

流れてゆく






そして、

とうとう最後の日は

やってきた



健くんと同じ学校に通える

最後の日・・・







バスケサークルの3年生みんなが

いつもより早く来てくれて

男女混合で試合をしてくれた

私は3年生の最後の試合には

出場できないから

これが私にとってのLASTGAME




3-1のみんながお別れ会を

開いてくれたりもした



昼休みに3-1のみんなと

バスケサークルの3年生みんなに

シャーペンをプレゼントをしに回った

封筒の色がみんなは

赤、水色、黄緑、オレンジの4色の

どれかだったけれど

健くんだけ黄色にした事に

気がついただろうか(笑)




そして、あっという間に

帰りの会の時間になった


「天城さん、前に出てきてください」


そう担任の先生が言われ

(もう終わるんだな~)

と思いながら前に出る


「最後の挨拶をしてもらいましょう!!」


私は深呼吸をした


「期間はとても短かったけど

みんなと過ごせて楽しかったです

今まで本当にありがとうございまし た!!」


そう言ってペコッと頭を下げた



拍手が起こり、

代議委員の大山と小川さんが

色紙を持って前に出てきた



「じゃあ、大山、

天城さんになんか一言言って

渡してください!!」


「えぇー、天城さんとは

サークルも同じだったんですけど

まぁ、これからも大変だと思うけど

いろいろ頑張ってください」


そう言い終わると色紙を渡す

クラスからはまた拍手が起こった


日本では

号泣してしまったけれど

この日は泣かないと

決めていたので泣かなかった(笑)



そして、笑顔でお礼を言って

みんなと別れることができた


6月半ば体育祭の日が近づいてきた


とは言っても私は生徒じゃないから

競技に出場したりはできないけれど…


(なにかできることがしたいな)

なんて思いながら

おまじないの本を眺めていて

1つみんなが喜んでくれそうなものを

見つけることができた


それは

「一致団結して盛り上がれる!

星型クッキー


クラスの人数分の星型クッキーを焼いて

みんなで1コずつ食べる」


という簡単な内容だった




私は『これだ!!!!』と思って

前日の夜クッキーを焼いた


健くんは違うクラスだったから

2組の子に配りつつ渡せたらいいな

なんて密かに思いながら




そして、体育祭当日

雨が降っていて本当に泣きそうになった




でも、クッキーだけは渡したくて

母に車で送ってもらい

渡すだけ渡して帰ろうとしていると

雨が上がった





そして、無事に開催されることになった


私はほっとして

みんなにクッキを配った


「優菜、これめっちゃ美味しい!!」

「これ、うまいじゃん!!」

「優菜すごいね~」


と言ってくれて

とても嬉しかった


1組のみんなに配り終え

2組のテントに行った

一瞬「??」って顔をされたけど

クッキーを配り始めると

みんな美味しいと言って

食べてくれた


だいたいの人に渡して

残り3つになったから

健くんの分が無くなると

本末転倒だから配るのをやめた(笑)


3年生は

クラス対抗全員リレーと

学年競技の全員前脚と

個人種目に出場する


いいなぁと思いながら

みんなを応援した(笑)



全員前脚もクラス対抗全員リレーも

総合も1組が優勝して

とても嬉しかった





健くんのクラスが負けてしまったのは

少し複雑だったけれど・・・


そして、表彰式も終わり

片付けに入る頃

体育委員会副委員長で

バタバタしていてなかなか話せなかった

健くんと話が出来た


「健くん、お疲れ様!!!

あ、あのクッキー焼いて余ったから

あげるっ!!!」


そう言いながら

差し出すと


「ありがとう」


と言って笑って受け取ってくれた



そして、健くんは

体育祭の片付けに呼ばれて

行ってしまった



7月の半ば

3年生にとって最後の大会があった


この時も私は

なにか差し入れをしよう!!と

考えていた



サークルの子に聞いたり

いろいろ調べて

定番の蜂蜜レモンを作ることにした


バスケサークルの大会前日は

盆踊りがあった


私は都合が悪くて

行けなかったけれど、

3年のみんなは舞台の上で

かなり長い時間踊ったり

太鼓を叩いたりしたらしく

とても疲れていた



それでも、みんな一生懸命

頑張っていてとてもかっこよかった






大会前日 19:00


「もうすぐ始まるな~」


なんて思いながら

蜂蜜レモンを作り始めた




途中で指を切るという

ハプニングがあったこと以外は

上手くできたと思う



大会当日 07:00


私は体育館前に居た

みんなも来ていて

「頑張ってね!!」

とか

「差し入れ持ってきたよ」

なんて他愛ない話を

していると

試合開始時間になった


1試合目は

女子の相手が遅刻で不戦勝

男子は試合結果は負けだったけれど

みんなすごかった


2試合目は

女子も男子も負けた



ここで各学校ずつ順番に

お昼休憩をした


最初は私と果梨菜と春希の3人で

お弁当を食べることにした


お弁当を食べ終わる頃に


「じゃあ、優菜、これもらうね」


と言って果梨菜が

蜂蜜レモンを食べ始めた


「美味しい?」


そう聞くと果梨菜は笑顔で


「これ、すっごい美味しい!!!」


と言ってくれた


それにつられて春希も


「じゃあ、うちももらうね!!」


と言って食べ始めた


しばらくして、春が合流した


「あ、蜂蜜レモン!!!

うち、これ食べたくて

こっち来たの!!」



そのあとは3人で

パクパク食べていた


この大会は

みんな前日が盆踊り大会で

疲れていることもあって

男子は怪我をする人が多かった



3試合目の途中

健くんは相手選手の頭と鼻が接触して

大変だった

私は1人でおろおろしていたような

気がする(汗)









結果は女子は最初の不戦勝で1勝、

男子は1勝もできなかった



でも、私はみんなとても

かっこよかったと思う





健くんも3試合目に

怪我はしたけれど

ディフェンスもオフェンスもすごくて

今までで1番かっこよかった





他のみんなも最後まで

一生懸命でかっこよかった









7月の大会以降、

健くんとは何も進展がないまま

1ヶ月半近くの日が経ったある日

私はなぜか不思議な夢を見た























健くんを好きになってからは

封印していた゜あの人゜の夢・・・















「大篠っ!!!!」


私は彼を呼び止めた



彼、大篠蒼太は

驚いた顔で振り返って

立ち止まる






大篠(オオシノ) 蒼太(ソウタ)

日本に居た頃、

ずっと同じマンションだった

1つ年上のバスケ少年




私は彼に近づく

そして、なぜか小さな箱を

取り出して渡した


「クリスマスプレゼント・・・

もらってくれない?」



しばらく躊躇う素振りを見せたけど

小さな箱を受けっとってくれた

そして、彼もまた小さな箱を取り出した


「これ、誕生日プレゼントのお返し・・・」


そっとその箱を受け取る


「開けてもいい?」


「うん」


箱を開くと中にはピンキーリングが

入っていた


「これ・・・?」


渡す相手を間違えたのかと思って

首をかしげる私に彼は言った


「お前に似合うかと思って・・・

渡し間違いではないから」


今度は私が驚いて彼を見上げた


「な、なんで?!」
















































「ずっとお前を待ってた」


















そう言って彼は私を抱きしめた
















私は・・・

彼を拒まない


いや、拒めない






































だって、ずっとずっと

恋焦がれてきた人だから







その夢は大篠に抱きしめられて

幸せそうに微笑む私の顔が

見えた瞬間に終わった









(なに、この夢・・・

なんで今更あいつを思い出したの?)




しかも、場所は・・・

見覚えがあるなんてどころじゃない


私が引っ越すまで

ずっと住んでいたマンションの前

雪の降るクリスマス・・・だった・・・



「ずっとお前を待ってた」




大篠のあのコトバが

なぜか頭から離れない




たかが夢

されども夢




私の夢はいつもそう

正夢に近いものか・・・

自分の願望しか夢で見ない






ということは・・・?





しばらくして、

私はあることに気がついた



もし、本当に健くんが好きなら

ここまで悩まないはず

春にも言われたけれど『たかが夢』



そこで私は

大篠を焚き火に例えて、

健くんを花火に例えて、

私自身を人間に例えて考えた



中2の引っ越すまでは

焚き火はとても明るくて

それにしか目がいかなかった

でも、引越したことによって

その灯りは小さくなった


ここまでで見落としていたのは

『無くなってはいない』ってこと・・・




見失いそうになりながらも

ずっと見ようとしていた

でも、もっと手の届きそうな距離で

大きな花火が上がった


これがちょうど5月の大会の頃の心




しばらくは花火を見続けた

手が届きそうな距離にあったようで

届きはしなかったけれど




花火が見えなくなっても

花火の残像を探していた

もう1度見つけたら

つかめるかもしれないとでも

言いたげに・・・




でも、ふとした瞬間に

焚き火を思いだして

自分はどっちを探してるのか?

って悩む


ふとした瞬間と言うのは夢のこと



そう、私はなぜか悩んでいた








どうしてこんなに苦しいの?

どうしてこんなに悩んでいるの?



その夢のことをずっと考えた

友達に相談したりもした


いろいろと言葉にしてみたりもした


でも、なかなか答えが出なかった




いや、出ていたけれど

認められなかった





そして、この謎に答えをくれたのは

意外にも、私の心友、菫だった







神無月(カンナヅキ) (スミレ)

小5の頃から仲良くなった心友

引っ越してからもよくメールをしている







菫はなぜか言っていないことまで

ずばりと言い当てたりする

それがかなり驚いたりもするけど

少し嬉しかったりもする(笑)





















優菜はずっと大篠が

好きだったんじゃない?

















中途半端に諦めようとしたから

引越してもずっと大篠の影を探してた


そんなところに大篠と

同じ背番号の健くんがいた


だから優菜は

大篠の代わりか大篠を忘れる為に

健くんを好きになったんじゃない?


でも転校してからは、

健くんもな居なくなったから

本命の大篠に戻ろうとしてるけど

優菜の気持ちは追いついてない




って、とこじゃないの?


優菜が不自然に

大篠を諦めた感じがあったし…



けっこう前から

優菜のほんとの気持ちは

大篠にあったんだと思うよ












菫から来たメールを

読んだ瞬間に涙が溢れた





菫は私が認められない現実を

ちゃんと指摘してくれた


まさにドンピシャと言うべき具合に

思っていたことを言い当てた


混乱していた私でも

しっかりこの夢と気持ちに

向き合えたのは

誰でもない菫のおかげだと思う




















・・・・私の心は決まった



いや、最初から決まっていた




私はけっきょく健くんに

恋をしていたんじゃない

かもしれない



健くんに憧れていた




健くんは明るくて

いつも笑っていて

周りにたくさん人が居て・・・



私が失くしたであろうものを

彼、健くんは持っていたから


でも、健くんに想ったことは

全部、偽りない本心


だから、きっと健くんにも

恋はしていたんだ



でも、それは・・・・・



















大篠を忘れる為・・・・・






きっとそれが1番の理由



だから、大篠とは正反対な

健くんに惹かれたように思ったんだ



性格も見た目も成績まで

正反対で本当に驚いたけれど

それは私が忘れようとしていたから

だったのかもしれない





































健くんとの恋は

ここで幕を閉じる






言い訳に聞こえるかもしれない

でも、最後に伝えたい



























確かに健くんへの想いは

大篠を忘れる為の気持ちだった



でも、あの一瞬いっしゅんに

想ったことに偽りなんてないよ



本当にありがとう

















これは終わりではなくて

新しいスタートだって思いたいな・・・















完───。


初めまして、読者の皆様!!

最後までお付き合い下さりありがとうございますm(_ _)m


まだまだ初心者で

読みにくかったりするかもしれないのに、

最後まで読んでいただき

本当にありがとうございます!!!

感謝の気持ちでいっぱいです


このお話は100%実話で、

登場人物のみんなにも

とても感謝しています!!!


まだまだ未熟ですが、

これからも頑張りたいと思います!!


応援よろしくお願いしますm(_ _)m



2012.11.15

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