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馬鹿者  作者: 蒲生潤
3/3

 神崎が何も語らないので、その後俺はしかたなく授業を進めていたが、何か冷ややかな視線を感じる。さっき上崎を虐めていた三人組が、こちらをみながら耳打ちをしている。三人の内の一人は、「真田正輝さなだまさき」という悪童だ。こいつは坊主頭で、小学6年生にしてはなかなか背が高く、体格がよい。そのため三人組の中のリーダーに位置する。三人の中で真田が一番不満気にしている。よっぽど俺に説教された事が気に食わなかったのだろう。俺の方を鋭い目でしきりに睨みつけてくる。


 あくる日学校に行くと、教室にある俺の机が大変な事になっていた。机の引き出しを開けてみると、中には黄色くにごった液体が入っていた。俺は思わず怒鳴った。


「おい、誰だ! 俺の机の引き出しにしょんべん出しやがったのは!」


 俺の激怒している姿を見て、にやついている三人組がいた。三人組は俺の方に近づいてきて、驚いて見せた。その動作がなんともわざとらしい。


「先生どうしたんですか、これ。大変じゃないですか」


 こいつらは俺をからかいにきているのは明白だ。昨日の事から考えても、こいつらが犯人というのは確実と言ってよい。俺は本から短気な性分だから、こいつらの幼稚な行動には腹が立った。しかし証拠もないのに問い詰めても、先生僕達を疑ってるんですか、失望しましたよとかそんな事をいってくるに違いない。俺は少年の頃万引きなどの悪事を働いていたが、こんな卑劣なことをやった覚えは無い。最近子供ガキは卑怯な奴ばかりだ。それにしても歯がゆい奴らだ。本気で殴ってやろうかと思ったが、それは体罰とかなんかで教育委員会の方で問題になってしまう。教師の立場はずいぶんと弱いものだ。


 俺が黒板に文字を書き込んでいると、頭に何かがとんできた。足元の床を見ると、消しゴムの小さなかけらが落ちている。俺は思わず激怒しそうになったが、ぐっっと腹に煮えきるものを抑え込んだ。今消しゴムを俺に投げたのはだれだ、と怒り心頭に問いかけても、先生何言ってるですかと嘲笑をかうに違いない。まぁ、犯人はにやついてるあの三人組だろう。俺は相当頭にきているが、俺が怒ったところであいつらは適当にごまかすだろう。


 さっきも述べたように、真田は三人組のリーダーだ。真田が指揮し、二人が俺に消しゴムを投げている。真田は俺は何もしていないぜ、と他人事の様に振舞っている。なんと卑劣な手口だ。

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