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追いかけっこ  作者:
4/17

03

「開門っ!」

 ギギギ…と、重い音をたてながら、三の郭の門が開いた。そこから一歩足を踏み出せば、そこはもう城下町だ。

 ティンクスは身軽な旅支度の格好で愛馬を歩かせた。家の者には明日出立するよう言われたが、彼は今すぐにでも出かけるつもりだった。

「一日でも早く、やつを見つけ出して、そしてラリナ殿のもとへ戻るんだ」

 ティンクスの胸にはただその想いだけがあった。

 町の中で馬を走らすことができるのは緊急時だけである。ティンクスは競歩の速さで馬を歩かせた。

 町は活気付いている。国の中心地であるこの町は、商売と職人の町である。それぞれの職人達が貴族の娘達が喜ぶ装飾品や、騎士が大事にしている剣などを作っては、商人がそれらを売る。こうしてこの町は成り立っている。

(あの髪留め……ラリナ殿に似合いそうだな)

 ふと、目に留めた髪留めにティンクスは愛しの婚約者を思い出した。しかし、すぐに彼女のことを頭から追い出した。

(だめだ。まだ城から出たばかりだというのに、彼女のことを思い出していては……)

 そうしなければ、きっとティンクスは四六時中、ラリナのことしか考えていないだろう。

 一刻も早く、ティンクスは町から出ることにした。

(たしかこの間のあいつ探しの時は、クルドリネの町で見つけたんだったな…)

 過去の記憶を思い返し、ティンクスは、最初の目的地をそこと決めた。

 町を出るとそこには田園風景が広がっている。そのほとんどが小麦を栽培している。農夫達が額に汗水流して働いている。

「……のどかだなあ」

 しばらくその風景を見ていたティンクスだが、やがて馬を走らした。

 彼にはやることがある。

 しかも、時間が迫っている(彼の気分では)。

「がんばろうか、ライよ」

 愛馬の名前を呼んで、彼は手綱を強く握り締めた。


(20110918)

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