15・懐中時計の真実
「やっほ~、凱 元気~♪」
桜月との再開から数日、桜月はやって来た。
「“街”のリーダーがそんなに離れていいのかよ」
「大丈夫、大丈夫、任せられる人に頼んであるから」
なんか一瞬、そいつが桜月の無茶に苦労しているイメージが頭に過ぎった。
……ナムサン。
「んで、今日は何しに来たんだ?」
「あの頃なら、特に~、って言ってたけど、ちゃんとこの村に用があって来たよ」
あの頃……、まだ現代にいた頃は、俺の部屋にしょっちゅう来てたけど、大概は用事がない。
たまに爺に稽古などで呼ばれる以外は、俺の部屋で漫画を読むか、骨董品を見せに来るくらいだ。
「ところで村って言ってるけど、外見は、すでに町だよね」
「そっちの“街”じゃなくて都市だらうが」
余談だが、名前など付けたり、変わっていないのは、商人以外の人は、今住んでいる所から別の村などに行くことがほぼ無いので放置している。
ちなみに別の所は知らんが、俺がいる村は竜人がいる村で通っているらしい。……竜人って種族は俺だけだしな。
「っで、用があるんじゃなかったのか?」
「あっ、と脱線してた。じゃあ用事の方だけど、まず一つ、この村から100mくらい離れた所にちょっと魔法実験するから」
「実験?」
「そう、前に見せた転移は覚えてる?」
「あぁ」
「あれを超長距離の転移と他人がいつでも使える永続的設置できるようにする実験よ」
「つまり……」
「ゲートかな、わかりやすく言えばDQの旅の扉」
「………すまん、それがなんなのか忘れた。有名なゲームだったくらいしか……だが実験の内容はわかった」
「今の私が使うのは、100~500mくらい範囲にあらかじめマーキングをしていた所しか出来ないのよ。だから開発期間かなり長くなると思うから、たまに泊めてね」
「それは構わないが、村への作業音・失敗時の被害や“街”とか大丈夫か?」
「作業音は魔法の分野だから機械での工事音とか出ないし、被害は結界で防ぐし、“街”の方は開発する時は一切邪魔が入らないから大丈夫、だってそれのおかげでここまで発展したんだし。
今は創作系の能力者やその道の一部の天才が技術発展に貢献してるけどね。
そろそろ開発やら“街”のリーダーがめんどくさくなってきたし、メインは彼らに任せて、私が好きにしようかな、一応生活を楽に…って事で家電開発してたけど、もう十分だし、そろそろ趣味(魔法や近未来的な科学)の方をしよっかなー」
「……そこら辺、自分のしたいようにやれ、俺の分野じゃねェしな」
っと、そこで外から僅かな地響きと妖力と、これは……魔力だったか?――の高まりを感じた。
「! あら、やっぱり喧嘩始めちゃったみたいね」
桜月も気付いたようだ、つか……なんで仲が悪るいんだ?
「自分の師匠が一番って考えてる同士だし、どっちも自慢する内に喧嘩になるんでしょうね。まぁ、結界もちゃんと張ってるみたいだし、大事にはならないはずよ」
一応、村への配慮しているからある程度は自重するだろう、って事か。
桜月がそう判断したのならほっといても大丈夫そうだな。
「それで……さっそく開発するのか?」
「まだ最後に一つ、この世界に来る原因のあの懐中時計の開発者がわかったよ」
「そうなのか?
ハッキリ言って興味は無い、もう元の時代に戻れそうもないし、そもそもその開発者は、未来にいるし、今さら何言っても意味がねェしな。
それよりも――
「今まで知らなかったのは、なんでだ? 能力か何かでわかってそうだが?」
「前に調べて時はまだ用途と構造しか解析出来なかったからね」
「あれか、使い慣れてなかったのか」
「うん、開発者とかわかるようになった頃は、もう調べなかったしね。構造や用途はすでに解析し終わってたし。んで前に凱のとこで話した時に、気まぐれでもう一回解析したらわかったのよ」
「そうか……っで、お前が言う開発者って誰だ?」
「ん、じゃあちょっと庭までついて来て」
「はぁ? なんでだ?」
「ちょっと脅かす証拠をね」
「驚かす証拠?」
これ以上聞いても話しが進みそうもないので桜月と一緒に自分の家の庭に出る。
「ゴーレム、人が来ないように見張ってて」
「―――」
「うおっ!?」
玄関の方から、以前闘った、あのゴーレムと同じ………じゃないな。
「なんだ、その腕」
「ガトリングガンよ!」
体などは、以前と同じ岩などで構成していたが右腕の部分だけは、金属で出来た3つの銃芯で構成される銃が装着されていた。
「すげェアンバランスだな」
岩の体に金属の腕……合わねェ。
「凱に破壊されて修復する時に付けてみた。目標はアンドロイド!」
「…………」
とりあえず、そのアンバランスなゴーレムが庭まで来ると辺りを警戒を始めた。
「何をするんだ?」
「前に情報、記憶とかを保存している所を話したよね」
「あぁ」
あの時の黒い穴を思い出しす。
「あっこ(そこ)から入るのは私だけで他の人を入るには、私の特殊の転移魔法じゃなきゃあ無理なのよ。
その際にちょっと辺りに衝撃があるから、他人に被害を出さないようにゴーレムに見張らせているのよ」
それを聞き、自分の家は大丈夫かと聞くと「結界を張った」と言って、俺を中心に球状の複雑な模様が展開された。
それには十分な《 》が込められている。
「ホントに大丈夫か?」
「大丈夫大丈夫………これを他人に使うのは初めてだけど(ボソッ」
「おいこら、ちょっと待t」
桜月の不穏な言葉がボソッと聞こえて、止めようしたが、言い切る前に目の前がブラックアウトした。
「――待て桜月……! ……もう転移したのか」
いきなり実験体に戸惑ったが、とりあえず体に異常は無いので安堵する。
「……ここはなんだ?」
見渡すと闇をイメージするような色が前方後方上下左右360度に渡って広がり、星を見るかのような小さな光が見える。
地面も空も無い空間に、さっき言った小さな光も距離感が無くどれだけ遠くて近いのかわからない。
その中にいる俺はまるで宇宙空間にいるよな、もしくは水中にいるような(ただし、抵抗感は無い)感覚だった。
空間は小さな光のお陰かぼんやり明るく、自分の姿だけは、ハッキリと見えていた。
「ごめん、待った~?」
「状況確認してた所だ」
さっきまで思考が終わると桜月は、空間から滲み出すように現れ、桜月に返事を返すと一回だけ拳骨をお見舞いした。
「痛った~~なんでいきなり拳骨するのさ」
「いきなり俺を実験体にするお前が悪い」
「あれ? 最後の呟き聞こえた?」
「聞こえた」
「…………よし、開発者の方だけど――」
「流すな。もう良いけど」
「そう? それじゃあ説明の前に一つ、この空間で情報を認識するには、頭に直接に入力式と見て理解するモニター式どっちがいい?」
“空間で情報”……って
「この空間に刻んでいるのか」
「そうよ、HDとか物体触媒だと限界があるし、これだと空間を広げがる度に要領を増やせるし、空間を破壊しない限り失うことも無い。
言ってみれば、電脳世界に入り込んだイメージかな。
それでどっちなの、直接とモニター」
「直接だとどうなる?」
「直接 頭に叩き込むから激痛レベルの頭痛をするくらいかな、そのかわりに直ぐ理解出来るけど」
「モニターでいい」
急ぐ事も無いし、わざわざ痛い思いをしてまでする必要はねェしな。
「OK♪ じゃあはいっ、懐中時計のデータ」
すると俺の目の前の空間にに二つのウィンドウが現れ、片方はヒビと所々破損している懐中時計、もう片方は、その懐中時計の詳細の書かれているウィンドウであった。
「未来的な技術だな」
「一度使ってみたかったのよ、こういうの。けどこのモニター、この空間+私限定でしか出来ないから、目いつかは外でも使えるようにしてみたいな」
桜月の話を聞きながら、俺は詳細の方が書かれたウィンドウを見てみる。
名称:無名の懐中時計
構成材料:金属・鉄、(以外略)
用途:本来は時間干渉。現在は遥か過去の逆行
説明:開発者が時間干渉型のアーティファクト(魔法具)を造ろとしたが失敗し、過去への逆行のみの欠陥品。
現在、故障中の為 使用不能
「なんでこんなもんが神社にあんだよ」
「その下の開発者の欄を見てみて」
桜月の言葉に説明欄の下を見てみて―――――
開発者:博神 巫琴
最終開発日:20XX年 X月XX日
「何!? 巫琴だと!?」
―――博神 巫琴
俺と桜月の親戚と同時に俺達が通っていた剣・拳武術の道場主及び博神神社の神主の爺の孫。
確か、俺達がこの世界に来る前に行方不明だった筈だ。
俺達は捜していたが爺だけは全く心配せず、碌に捜していないことに、俺は爺に殴り掛かった覚えがある(返り討ちされたが…)。
「だが、これの開発日を見る限り、行方不明になった後だ」
つまり、爺が心配していなかった事と行方不明になった後に巫琴が造った物(そもそも、何故こんな物が造れるんだ?)
が巫琴の家に合ったと言う事は―――
「どうやら行方不明後、こっそり帰ってたみたいね」
俺の思っていた答えを桜月が心を読んだかのよう言った。
…………ちょっと待て。
「確か爺は、行方不明になった時から碌に心配もせず探さなかったって事は………」
「最初から行方不明……じゃないわね、家出先を知っていたって事みたいね」
「あの爺………巫琴が無事なら無事と言いやがれっ!」
≫桜月
「あの爺………巫琴が無事なら無事と言いやがれっ!」
凱がじいちゃんに憤慨している傍で私は別の事を考えていた。
私はじいちゃんが私達に無事とは言えない事情を知っている。
私達に無事を伝えると、無事ってわかるって事は場所も知っているはず! って事で巫琴が何処にいるか聞き、その後に絶対に会いに行くとじいちゃんはわかってたみたいからね。
だから、場所を聞いた後に、その場所に行くつもりの私達に嘘の場所を言っても嘘だとバレるし、本当の場所も言えない。
何故なら――――
私は懐中時計の詳細データの構成材料の欄を
構成材料:金属・鉄のネジ、鉄の歯車、アルミの針、魔導部品・ルーン付与のフレーム、ルーン付与の時計盤、概念部品・十六夜 咲夜の銀時計の部品など。
東方に詳しい人なら直ぐにわかるだろう……。
巫琴の家出先は………幻想郷。
実際に私がよく神社に行っても巫琴は見掛けなかった、と言う事は帰ることは合っても住んではいない事になる。
それがイコール、幻想郷に住んでいると言う証明、この懐中時計を見る限り、紅魔館組に関わってるっぽいしね。
それらをわかると私は安堵した。
巫琴が無事である事とあそこなら幸せに暮らせるだらうってね。
少なくともあんな町にいるよりかは害はないでしょ。
まぁ、凱に言わないのは幻想郷なんて知らないだろうし、無事って分かればいいかな。
そして、私は凱が落ち着くまで待つ事にする、とある記録を確認しながら。
和人「東方自体に関わらない話(身内事情)ばっかですいません」
凱「………後半からは特に東方桜花地震 自体とは関係無い話だな、しかも話が進んでない」
桜月「しょうがないでしょ、この物語の始まる事になったアイテムだし、それに生じて開発者の話になっちゃたんだし」
和人「今後の予定は、家族の話に神綺の存在の根本に関わる話をしてから原作の人物が登場する予定です」
桜月「あと何話したら太古編が終わるかな?」
和人「………すいません、未定です」
凱「……補足だ」
・何故、最初に桜月の能力で解析で開発者がわからなかったのか?
桜月:最初に解析した時、まだ能力に慣れてなかったのよ。
当時の詳細データ↓
名称:無名の懐中時計
用途:過去に戻る。
材料:フレーム、時計の針、歯車……など。
桜月:って感じに、当時は開発者や構成材料などの詳しい解析が出来なかったわけよ。
・何故今頃解析したの?
桜月:前(10話 前後)の再開の後に、「詳しい解析出来るようになったし、やってみよっか」なノリで解析したの、最後に解析したのが数百年以上前だったのもあるけどね。
・概念部品って?
和人:この言葉自体はオリジナルです。
けど存在自体は、原作で魔理沙のミニ八卦炉に空気清浄機を溶かして混ぜて後に空気清浄機の機能を付けたなど、他に扇風機や魔除けなども溶かして混ぜた、っとWikiとか調べると合ったので、それを元に『時』に1番関わりがあり、時を止める時などに咲夜の銀時計を使っている事もあるみたいなので、ある程度の時の概念が備わった……と言うオリ設定でお願いします。
和人「あ、最後に今回の話に出てきた【私!落とされて幻想入り(ニコニコ動画で投稿中)】の博神巫琴を主人公にした魔法少女まどか☆マギカの二次小説(まどマギ×東方)を始めました」
桜月「見てみたい方は↓のリンクで移動してね♪」
【幻想少女みこと☆マギカ】⇒http://ncode.syosetu.com/n2524t/
凱「今回は、これで終了だ」
和人「それじゃあ、また次回」
桜月「またね~♪」