14・もう模擬戦のレベルじゃねェな、こりゃ
「―――じゃあ、やっちゃえ! ゴーレム!」
桜月の言葉(何処かノリに乗ってような気がするが)にゴーレムは、巨大な拳を俺に向けて振り落とす。
「ふっ!」
それをバックステップで躱し、巨人の拳は地面に突き刺さる。
「その図体な割には速ェが―――マオよりも遅ェ!!」
巨人の拳が突き刺さるのを見届けると俺は、ゴーレムが次の行動を移る前に、一気にゴーレムの腕を駆け登り、肘の辺りで跳躍すると身体を一回転し、勢いを付けるとゴーレムの肩に踵落としを打ち噛ました。
「―――随分と硬ェな…!?」
気と妖力を込めてなかった(それでも素で大岩なら破壊できる)がまさか罅すら入らない事に俺は、驚く。
「硬いのは当たり前よ。
じゃなかったら防衛にならないでしょ」
確かに……簡単に破壊されて突破されたら防衛の意味が無いしな。
「■■■■■■■!!」
ゴーレムが唸りを上げながら、俺を拳で押し潰そうと再度殴り掛かってる。
「……声出せんのかよ」
「その方が相手に威圧感が増すでしょ。
ただし、唸り声だけで喋る事は無理だけどね」
どう見ても口らしき部分が無いの(目?の部分はになっている)に唸り声を上げるゴーレムに俺の呟きを聞いた桜月が答えた。
それを聞いた俺は、唸り声を上げて殴り掛かる巨人の拳を冷静に避けながら巨人の拳を見る。
動きはラカンより遅いが殴り掛かる時のゴーレムの巨体による質量感や唸り声により、実際の威力より強力だと錯覚してしまう。
だが、空振りにより地面に巨人の拳を叩き付けた際の衝撃を感じたとこ、巨人の拳の威力は、ラカンより弱い。
それなら―――――
「――真っ正面から受けて立つ!」
俺に向かってくる巨人の拳 目掛けて身体を気で強化し、拳に妖力を最大限に練り込んだ自分の拳を叩き込んだ。
「ちょ! 大丈夫かにゃ!?」
「あれでも中妖怪を撃退出来る程のゴーレムの拳を真っ正面から……!?」
拳同士が衝突し、轟音が鳴り響き、それを見た弟子組(マオと神綺)が慌てた声を上げていた。
「へぇ……このゴーレムをここまで損傷を負わせるとはねぇ」
「チッ……かなり響いたか」
流石にあの巨人の拳の衝撃がかなり響き腕が少し痺れたが特に問題が無い。
そして、俺の一撃を受けた巨人の拳を見ると片腕全体が罅が入り、今にも崩れそうだ。
「へぇ~、パワーだけなら大妖怪に届きそうだね。
――けど、その程度じゃあ、私のゴーレムを倒せないよ♪」
「何?―――っ!」
片腕を破壊され動きを止めていたゴーレムは、桜月の言葉共に修復されていく。
「自己修復かよ……!」
≫マオ
「ねぇねぇ、“街”を守っているゴーレムって全部あんにゃ物にゃの?」
前に“街”の近くに住んでた時に何体か守っている所を見た事あるけど、まさか全部、あのゴーレム仕様かにゃ?
…忍び込まなくてよかったにゃ。
「違いますよ。あれはだけは特別です。
他のゴーレムは一度破壊したら、マスターが直さない限り、そこで終わりです。
あのゴーレムだけは自分で自己修復や自立行動が出来る特別性よ」
「へぇ~」
私はそこで話を終わらせ、今もゴーレムと殴り合っているガイの方の観戦を再開した。
≫ガイ
「チッ…これじゃあ埒が明ねェ」
ゴーレムの拳の一撃を全て、自分の拳で迎撃しているが罅は、入るものの直ぐに修復する。
「威力が足らねェ……無機物みたいだし、コイツを使ってみるかっ!」
ある決意を決めると俺を殴ろうとする巨人の拳を躱し、ゴーレムの懐に入ると今日 習得したあの技の感覚を思い出しながら、ゴーレムの体に一撃を入れる。
「■■■■っ―――■■?!」
ゴーレムは、俺の一撃が効いていないと言わんばかりに動こうとしたら、硝子に罅が入る音と共にゴーレムは、動こうが止まった。
「■■■……■■…■……!??」
俺が殴ったところを基点に大気に亀裂が広がると同時にゴーレムの体も罅が広がり始める。
「……これが俺が出せる最大の一撃だ。―――受け取っとけッ!!」
亀裂の入った大気が砕けると同時にゴーレムも轟音とも言える衝撃音と共にゴーレムの体も砕け散る。
「ご~かくよ。
それじゃあ、次は私が相手よ。
連戦だけど大丈夫?」
「あぁ、どうせ体力が合っても無くても勝てる気がしないしな」
ラカンは全く本気を見せてくれないしな。
あの野郎…俺の実力の少し上の強さで来るから全然大妖怪の強さがわからねェからな……この機会に大妖怪クラスの強さを見せてもらいか。
そう思いながら、少し離れていた桜月は何処からか出した刀を手に取り、俺の前までやって来る。
「ところであのゴーレムを粉砕しちまったが……」
さっきの戦いの途中でマオ達がチラッと“街”の守護する物だと聞こえたから謝ろうとすると。
「ん? 大丈夫よ。
この核が無事なら再生するから」
いつの間にかは知らないが桜月の手には蒼い珠を持っていた。
「それじゃあ全力の一撃を放つから、今の実力以上になりたいなら、この感覚を体感する事ね」
言い終わると同時にゴーレム戦の前に感じた重っ苦しい空気とは比べ物にならない程の重圧が俺の体に伸し掛かる。
「ぐぅぅぅ…………」
なんつー重圧だ、体がまともに動かねェ……!!?
「行くよ。博神流剣武術奥義
瞬華――……終刀」
桜月が刀を鞘に収納した姿――居合の状態――で、体がブレた瞬間には俺の片腕が切断された。
「な……?―――ぐぅぅっ!?」
感知出来なかった斬撃に驚く間もなく激痛が走り呻いてしまう。
「はい、チェックメイト。私の勝ちね」
背後に回っていた桜月は、俺の首筋に刀を当ていた。
チッ、雰囲気で予想はしていたがここまで差があるとはな……。
「よし、腕をくっ付けるとしますか。 神綺!
丁度良いから回復魔法の練習をしなさい」
「はい、マスター!」
桜月に呼ばれた事により観戦していた所から俺の側まで少し離れた所に切断された腕を回収すると斬られた腕の傷口に回収した腕を当てると何やら唱え始めた。
「ぐ………っておい、何さらっ俺を練習相手にしてんだよ」
「それぐらい構わないでしょ、どうせ打撃など怪我はともかく体の一部を欠ける程の傷だといくら妖怪(半分だけだけど)でも時間がかなり掛かるわよ。
それに神綺は魔法に関しては天才的な才能があるし、そうそう失敗なんか無いわよ。
実験中の魔法以外なら」
「あ、動くと痛みますよ」
呪文らしい言葉を唱え終わると神綺の手に光が灯り、患部に当てていた。
「ッ………そういえば桜月、さっき博神流剣武術の奥義って事だが……」
―――博神流剣武術
桜月がバイトしていた神社の神主、親戚の爺が開いている剣術。
第二次世界大戦の時の実戦で編み出したらしく、内容は我流のような剣術な為、技らしい技も無い。
わかりやすく言えば格闘ゲームで言う通常攻撃しか無いって事だ。
ちなみに以前(1話)俺がしていると言っていた武術とは、同一人物の親戚の爺がもう一つ開いている武術だ、呼び名は博神流拳武術だがな。
内容は蹴り・突きなど実戦のような武術で剣術と同じく技らしい技は無い。
一般的な呼び名で正拳突きやアッパーなどは、あるが博神流だけの特有な技は無い。
それと何故、剣術と拳術を修得している爺がわざわざ二つに分けて教えているのは、基本別々で使っているからだ。
一応 剣武術と拳武術を組み合わせて使う場合もあるが、拳武術の方は元々 得物(刀)が手元に無い時に使っていた為、剣術とは別物扱いになり、それらを教える場合 片方を集中した方が練度が上がり易い理由によら道場を分けているって事だ。
「確かそんなもん(奥義)無かった筈だが?」
「あぁ、瞬華終刀の事? 研究以外に暇だったし、私が勝手に作った技よ」
「そうか……それにしても《 》で来るかと思ったが剣術で来るとはな」
「今だったら近距離戦の対策もあるけど研究し始めの頃はそこまで万能じゃないし、《 》無しの戦闘技術がどうしても必要な時があったのよ。
まぁ今は研究の息抜きで体を動かす時に鍛練するくらいだね。
後は妖怪と戦り合う時に《 》と使い分けるくらいかな」
「ガイ~大丈夫かにゃ~?」
「ん?」
桜月と話ている横から俺を心配する声が聞こえ……ってマオか、すっかり忘れてたな。
「あぁ、大丈b「ふふーん♪ これでマスターの方が凄いって分かったでしょ♪」……」
「むぅぅぅ……」
俺の言葉に割り込んだ神綺は、これでもかと言う程の誇らしげに言い、マオとまた一触即発状態になる。
「はいはいケンカはそこまで、神綺。
ちゃんと魔法に専念しなさい」
「あ、はいマスター」
そんな雰囲気を桜月が止めると俺の治療に専念させる。
「ガイ~にゃんで負けちゃうのさ~」
「しょうがねェだろ。実力の差が余りに離れすぎているしな……勝つにはその実力の領域まで鍛練をやり続けるしかないしな。
まぁ、それよりも《 》の研究をしてた割には剣術のキレも凄かったな」
「そりゃまあ、《 》が実用化するまでこれ(剣術)に頼ってた訳だし、腕が落ちないように鍛練もしてたよ、研究の息抜きも入れてね」
「じゃあ~ガイがさっちんには勝てにゃいの~…?」
「さっちん?」
「あだ名にゃ!」
「まぁ良いけど、そのあだ名ちょっと幸薄そうなんだよね~……某吸血鬼みたいに」
「にゃ?」
「……ふぅ、さっきの言ってた勝てない云々(うんぬん)だけど、いずれは多分追い抜かれるわ」
「え?! マスター!?」
今まで黙って治療に集中していた神綺は、時間を掛けたら俺に追い抜かれるの言葉に驚き治療の手を思わず止める。
「だから治療の手を止めないの。
……言っとくけど追い抜かれる云々は格闘戦闘に関してだけよ。
《 》も使えば勝率は私の方が断然上だけど、剣術だけじゃあ、研究第一の私と鍛練第一の凱……時間を掛ければどちらが上になるか分かるでしょ?」
「むぅ……はーい」
微妙に納得していないのか、生返事で答える神綺。
「さてと、神綺の力量だとそろそろ治療が完了する頃だけど、どう?」
「はい、ちょうど完治しました。腕の具合はどうですか?」
そう言われたので腕を適当に回してみる。
「あぁ、大丈夫だ。少し痛みがあるが明日には治るはずだ」
「よしっ」
ちゃんと成功したのが嬉しかったのか神綺は、周りにわからないように小さくガッツポーズを決めていた。
マオ以外バレバレだったけどな。
「うん、魔法の技量も順調だね。あとはもうちょっと砕けた喋り方をすれば、なおよしだね」
「えっ、あ、流石にマスターにタメ口は無理ですよ。命の恩人でもあるですし」
桜月のタメ口をすればいいのに、の発言に慌てて断る神綺。
「あんまり堅っ苦しいのは好きじゃないし、もっとフレンドリーに話した方が良いに決まってるよ」
「ど、努力します」
「んで、もうよにゃか(夜中)だけど、二人はどうするの?」
「今日は“街”に帰るよ。実験途中の物や“街”を纏めたりしなくちゃね」
「お前、“街”のリーダーをしているのか?」
「まぁね、今の文化まで造り上げたのは私だし、私がやらなくちゃ色々と面倒事があるしね。
まぁ私の後継人が育つまでの辛抱だね。その後はいつでも凱の所にもこれるし、神綺との修業・実験・開発が出来るから、その日まで我慢我慢」
「そうか……それでもう行くのか?」
「うん、もう夜だし、速く帰らないと寝る時間が削れちゃうよ」
「大変だな」
「まぁね」
そう言うと桜月が一瞬 集中すると体が浮かび上がる。
「ここまで飛んで来たのかよ」
「神綺の魔力コントロールの修業も兼ねてね。―――神綺! そろそろ“街”に帰るよー」
「あ、はい」
「今度来たら決着を着けてやるにゃよ!」
「今回は引き分けてたけど、私が勝ってみせるわよ!」
このやり取りを聞いてみると、どうやらライバル関係になったのか、どっちも次は勝つと意気込んでいた
「連れて来てよかった」
「確かに、好敵手がいるのならお互い高め合って行けるしな」
そして、はたから見るとわからないが桜月と神綺が自分達のコンディションを確認して終わったのか、神綺も体を浮かし始めた。
「んじゃ、また今度な」
「暇が出来たら来るよー♪」
こうして、桜月達が帰ると桜月との模擬戦の疲れがまだある所為か、俺は家に帰るとさっさと寝る事にしたのだった。
和人「かなり遅くなってすいませんでしたぁぁぁっ!!」
凱・桜月「「うるさい」」
和人「そこっ、主人公なんだから一言いれろよ!」
凱「・・・・・・すまん」
桜月「ごんめんなさい♪ はい次行こかー」
和人「軽いし、短けぇ!」
桜月「はいはい、詫びるのはそこまでにして後書きコーナーを始めるよ♪」
桜月「あっ、投稿が遅れた理由は『活動報告』の方に書いているよ。大雑把?にだけどね」
和人「あー、今回の桜月のセリフで神綺の原作の口調のフラグが経ちましたー」
桜月「まぁ敬語を使う神綺に違和感ありまくりだったしねー、自分の師匠+年上(※1)だからしかたないかな」
※1:現在の神綺の年齢-約200歳- 出会いは、この14話の時点から約175年くらい前…と言う設定です。まぁそこら辺の事は次回(予定)くらいに。
和人「さて、今回のVSゴーレムとVS桜月ですが・・・」
桜月「ゴーレム戦は能力無しで互角、私の時は圧勝よねー」
凱「……チッ」←一応悔しい。
和人「ちなみに今回のサブタイトルは、VS桜月の事です」
凱「今回の後書きはこれで終わりだ」
桜月「また次回でね~、ばいば~い♪」