13・模擬戦準備…なんでこうなった
「よし! それじゃあ始めるわよ」
桜月は、そう宣言すると俺の前には、茶色い人型の巨人が立っていた。
色々言いたい事があるが、とりあえず一言……。
「……なんでこうなった」
勝手に話が進んでいる中、何故こうなったか思い出してみる。
確か俺と桜月が始まりの草原から帰った後だったな―――
≫回想inガイ
「ガイの方ーーっ!!」
「マスターの方ーー!!」
「まだやってんのか? アイツら」
「まあ、行く時のケンカよりマシでしょ」
桜月の転移術を使って、村(の付近)に戻って来た俺達が最初に目に映ったのは、マオと神綺が取っ組み合いをしていた。
「んー……と、ラカンは、いないようだし。
あの人達に聞いてみよっか」
桜月に言われて、ラカンがいない事に気付いた。
そして、後に続いた言葉でマオ達とは違う別の方向に向けていた桜月の視線に俺もその方向に向いた。
「何やってんだ。オメェら」
「い、いやー…」
「マオちゃんと…」
「今日来た美少女がキャットファi……もとい」
「ケンカしていると聞いて見g……仲裁しに来たのだ!」
「色々言いたい事があるが、それでなんでオメェらが黒焦げになってんだ?」
桜月の視線の先に居たのは、黒焦げ状態の村の男勢(約十数人以上、既婚者もいた)だった。
「本音がびみょ~に漏れているわよ。
どうせ、あられもない姿で見にこっそり来たところで神綺の魔法の余波(はずれ弾)でも当たったんでしょ」
「「「「う…………」」」」
どうやら図星のようだ。
桜月の言葉に全員 言葉が詰まり、目を逸らす。
黒焦げ状態だが特に命の危険もなさそうだ。
「まあ、私から(・・・・)は何も言わないわ。
代わりにここで何があったの教えて?
ラカンも何処に行ったのも」
「それは、ですね―――――」
コイツらの話しだとマオ達のケンカは、一旦終わったようだ。
その後、桜月の自慢の為に(コイツらはわからなかったようだが)魔法について話してたそうだ。
「それで途中までマオちゃん達の傍にいたラカンのアニキ何だけど……」
―――ラカンのアニキ
最近、村の男勢がラカンの事をそう呼んでいる奴が増えてきた。
ラカンは、村の防衛は参加していないが、何かイベントがやると率先して楽しんで(暴れて)いる。
その際の準備とか、それ以外に人間が出来ないような力仕事など(たまに)やってくれているので村の人達は、ラカンに対して好評なのだ。
そして、アニキと呼ばれるキッカケになったのが露天風呂が出来た時だ。
そんで、露天風呂が出来たと言う事は、当然覗く奴が増えてくる訳だ。
そして、ある程度覗く奴らが増えたら、一丸となって女湯に(見つからないように)突撃してきたのだ。
それもラカンが率いて。
その辺りの感性は、人間に近いのに少し驚いたがノリノリでやってきたんだがな……。
ちょうど覗きに困ってた女勢が「見張り役を見つけるまでだから今回だけ」って事で見張り役していた俺と覗き組とぶつかった訳だ。
その際、いつものケンカとは違う雰囲気のラカンに一撃で負けそうになったが女勢が退避するまで時間稼ぎには、なったようで覗かれずに済んだ。
目標を失った覗き組は、そのまま意気消沈して解散となった。
この後、覗いた男勢の評判は当然のように落ち、何か知らんが俺の評判は高くなったようだ。
そして、俺と死闘(?)と繰り広げ、男勢を率いた事により『アニキ』と呼ばれる事が多くなった。
「――一旦、マオちゃん達のキy……ケンカが終わった後に帰ったみたい」
おっと、思考が脱線していたな。
どうやら、ラカンはこれ以上の大きな怪我をしないと判断したらしく帰ったようだ。
まあ、確かにこの取っ組み合いで大きな怪我はする事は、無いだろ。
妖力とか魔力が尽きてるようだし。
「なので私達が引き続き、鑑s…監視していたのです! 怪我しないように」
「いや、その前に止めろよ。
今ならテメェらでも止めれるだろうが」
「いや~この様子を何時までも見たくて~」
黒焦げになっている連中は、口に揃えて言った。
その様子を見た俺は、呆れていた。
「とりあえず止めるか。……おい! そろそろ止めろ!」
大声で静止の声を掛けると取っ組み合いをしていた二人は、ピタッと止まる。
そして、再起動したかと思えば二人揃ってこっちやって来て……。
「「ガイ/マスター の方が凄い よね/ですよね!」」
……まだ、そんな事でケンカしてたのかよ。
傍から、マスターの方が~、ガイの方が~、とまた口喧嘩を始める
「はいはい、ケンカしないの。
…そんなに言い合いをするんなら模擬戦してみる?
私も凱の強さも知りたいし」
この言葉により急遽 模擬戦をする事になった。
俺の意思? あの猫と桜月の弟子に却下されたよ。別に模擬戦くらい構わんが。
「よし! それじゃあ始めるわよ」
「……なんでこうなった」
そして、冒頭に戻る。
いや本当に模擬戦事態は良いが、周りには避難したマオと神綺が目を輝かせながらこちら見ていて、黒焦げになっていた連中がいつの間にか完全復活をし、野次馬をしている。
賭け事をしながら……っておい、マオも賭けるな!
「んで、一番気になった“それ”はなんだ?」
俺の前に立っている3~4mくらいの高さはある。
茶色い体を見るにどうやらを土や岩で構成され、全体が四角い感じに加工されている巨人を眺めながら桜月に聞く。
「ゴーレムよ。“街”の警備用に造ったのよ。
現代で言えば警備用のロボットよ」
「《 》は、んな事まで出来んのかよ」
「《 》に限らずファンタジーのモンスターとしてはポピュラーよ」
「あと、お前と闘るんじゃなかったのかよ」
「ふふふ、――――これを感じてまだそんな事を言える?」
その瞬間、この辺りが一帯が重苦しくなる。
「…………チッ」
この重苦しい感じは、桜月が俺だけ(・・・)に向けた殺気だろう。
現に俺以外、マオ達の応援の声が聞こえるが特に変化が無い。
そういえば桜月は俺より先に、2000年間この世界で生きてんだな。
《 》やら魔法やら研究してたって言ってたが何も一度も襲われない訳がないわな。
だからこの巨人やら妖怪に対抗する物もある。
戦闘経験が違い過ぎるか……。
「あ、このゴーレムを倒せたら私としてあげるよ。
―――じゃあ、やっちゃえ! ゴーレム!」
桜月「後書きコーナー始まるよ♪」
和人「いや、いきなり出てきて何仕切ってんだよ」
桜月「私もこっちに参加しようかなーと思ってそのまま仕切ってみただけだよ」
和人「それだと俺がここにいる意味がなくなるだろっ!」
桜月「あれ? 意味あったの?」
和人「……」
ガイ「あの二人は、ほって置いて、次回はゴーレム戦と桜月戦だ」
桜月「次回もよろしく♪」
和人「俺の出番が………」
和人「ところで最後のセリフ、Fateのイリヤの台詞だよな?」
桜月「そだよ、バーサーカーじゃなくてゴーレムだけどね」