※第4話 敬天の変(西郷隆盛による反乱)
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1877年
「敬天の変」(西郷隆盛による反乱)
土地や俸禄の買い取りにより、士族の金銭的不満はなく、西郷軍に参加したのは、「金銭や生活ではなく、純粋に武士の道義や精神を重んじる」極めて少数の理想主義的な士族(桐野利秋、篠原国幹やその同志)に限定
《西郷隆盛》
土地ちゅうもんは、民の血であり、根でごわす。それを売り払わせ、金ちゅう流れやすか砂に変え申して、その扱いを利欲に走る輩へ任すとは…まっこと嘆かわしか。
厚生省とやら、表向きは民を救う舟のごとく装いながら、実のところ士の魂を腐らせ、国の芯を私利私欲の火で焼き尽くす企てにほかなり申さん。
このまま放っておけば、形ばかりの富は成すとも、魂なき国となり果て、いずれは人の道を失うでごわす。そんな国が、たとえ外つ国と競い勝ったとて、何の値打ちがあり申すか。
命を捨てることは惜しゅうもございもはん。されど、正しき道の火だけは、断じて消してはならん。今こそ立ち上がり、この不義と利欲に染まった仕組みを断ち切り、道義のある世を示す時でごわす。
統合社会保障基金は創立間もないが、土地と禄の現金化による急激な資金流入があり、その資金をインフラ整備に重点投資した事による兵站向上が高い軍事的な即効性を生み出し、さらには軍人年金等の充実により士気も高まっていた
西郷ら決起隊は限られた兵を集め帝都の厚生省本部を襲撃し占領
官軍が速やかに包囲網を敷き籠城戦
決起隊は統合社会保障基金の崩壊を狙っていたが、基金が単なる「金庫」にあるのではなく「全国の郵便局を通じて毎日積み立てられ、銀行ネットワークを通じて産業に投資され続ける『資金の流れ』」にあることは認識外で、ネットワークという非物理的な敵に直面
西郷は「利に溺れる政府に不満を持つ者」「士族の精神を忘れない者」が呼応し、市民の同意を得れると期待していたが、逆に基金賛成派による大規模集会が厚生省本部前にて連日開催されどんどんと規模が広がる
「我らの安堵を乱すな!」
「禄を金に換えて何が悪い!」
《西郷隆盛》
笑止なこつよ。
民の声は、今や「西郷を討て」と叫んでおる。
かつて彼らが求めた“安堵”と“救い”が、今度は我ら“道義の士”を討つ刃となり申した。
禄を金に換え、土地を資本となし、
その“運用益”ち申す鎖で、民の心を御政道につなぎ留めたのでごわす。
武士の魂までも、商人の算盤にかけたちゅうわけじゃ。
その仕組みは、鉄砲隊よりなお強く、
我らが道義は根っこから力を奪われ申した。
結局、我らは“経済”ちゅう近代の化物を、最後まで読み切れなんだのだ。
この国は、“利”を選び申した。
その現実、もはや認めざるを得ん。
じゃどん、我らの死は徒やございもはん。
いつの日か、この“金で得る安堵”が国を迷わす時が来る。
その折、人々は悟るであろう──
道義なき富の虚しさを。
ゆえに我らは、“利”に敗れし“誠”の存在を、
この東京の中枢に、血の証として刻みつけ申す。
敬天愛人──
我が命、この国の未来に通ずる“道”の礎となさん。
人質は解放されたが、決起隊は自害し、厚生省本部は火がかけられ、帳簿などの記録が焼失し、市民、政府とも混乱する
政府は全力で立て直すべく郵便局という分散ネットワークの末端に残っている記録をかき集め全力で再建に務める
だが再建時に少なくない不正がみつかる
・基金の複雑な仕組み(運用益、非課税など)を完全に理解していない末端の郵便局員や地方の役人による単純な記録ミスや計算誤り
・ 士族への俸禄買い取り金の現金化の際に、高額の現金を狙った地方の役人や郵便局員の横領
・ 基金の地方投資案件(例:地方鉄道敷設、水利事業)の際に、地方出身の金融家や地元の有力者が、不当に有利な条件で融資を受けたり、土地の評価額を操作したりした不正
西郷隆盛の「利に溺れた仕組みは必ず腐敗する」という警告が、皮肉にも死後に証明される
《渋沢栄一》
「西郷先生、貴方は正しかったのかもしれぬ。我々が作ったのは、確かに『利』の鎖だ。だが、この鎖がなければ、民は今日食べる米にも事欠き、異国の軍靴に怯える日々を送っていたのだ。貴方の『誠』は、我々がこの膨大な富を正しく使うための『重石』として、永久にこの省の礎に留めておきましょう。」
史実の西南戦争が基金による禄の買取により士族の不満がトーンダウンし「乱」レベルになりました
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