第16話 パリ講和会議
1919年
パリ講和会議にて日本の提案した人種差別撤廃案が、戦争の最後にノコノコやってきたアメリカの「全会一致でないから」と撤廃される
日本はヨーロッパに少なくない血を流したが、英国、亡命ロシア(後のロシア帝国東領)以外からは二等国扱いを受け、計り知れない衝撃、屈辱を受ける
《伊藤博文》
「ウィルソン大統領は、自分の理想が『色』に遮られるのを見て見ぬふりをした。諸君、失望してはならぬ。これでようやくわかったのだ。世界が平等を認めぬなら、我らが実力をもって、彼らが跪かざるを得ない『高き文明』を築くまでのこと。日本はもはや世界に認められることを乞う国ではない。世界が日本の『信義』に縋らねば生きていけぬ時代を、我ら自身の手で創り出すのだ。」
《渋沢栄一》
「アメリカは『一銭』の重みよりも『肌の色』を選びました。ならば、我々の基金は、彼らには一銭も貸さぬまで。これより円の信用は、日英露の三カ国にのみ注がれる。彼らが人種で人を分かつなら、我々は『信義』で富を分かつ。道義なき国はいずれ自らの強欲に食い潰されるでしょう。我々は、その崩壊の波を食い止める『高き堤防』とならねばなりません。」
《東京朝日新聞》
「文明の名の下に平等を否定する米国の態度は、自由と民主を掲げた理想国家の名を汚すものである。日本はもはや“教えられる側”ではない。“示す側”である。」
《大阪毎日新聞》
「米国は自由を語りながら、色をもって人を裁いた。欧州は民主を唱えながら、帝国を手放さなかった。いずれも信義なき理想である。日本は、行いによって文明を示さねばならぬ。道徳なき力が欧州を壊し、信義なき理想がアメリカを腐らせるなら、我々は「信を以て国を立つ」新文明の先駆となるべきだ。」
嫌がおうでも巻き込まれる可能性がある戦争悲惨さ恐怖、拭い難い人種差別を体感し、他国の犠牲を看過してでも日本を守る必要があるという現実主義が台頭
「我らは人の上に立たず、人の下にも立たず。ただ自らを守るのみ。日本が世界を信じるのをやめ、しかし世界を見捨てなかった瞬間であった」
「武とは、他を討つためにあるのではない。己が国を守り、民を守るためにある。平和を愛するなら、まず強くあれ。されどその強さは、他を屈せしめるためにあらず。己を保つためにこそ鍛えらるべし。」
《秋山真之》
「もはや列強の仲間入りなどという幼稚な夢は捨てよ。日本はこれより『沈黙の要塞』となる。我々の技術、我々の武力、我々の知恵は、ただ我ら自身と、血を分けた友邦を守るためだけに研ぎ澄ます。他国の内政、他国の領土争い……そんな泥沼に、二度と日本の若者の血を注がせてはならぬ。だが、この要塞の壁を傷つけようとする者には、神速の裁きを下すのみだ。」
パリ講和会議以後、日本外交は平等・法・道義を掲げ続け、軍事よりも鉱物・金塊・信用・投資といった長期的支配力を重視し、英国・ロシア帝国東領のように「一緒に血を流した」「約束を守った」国のみを「信義対象」としていき、このまま発展しても人種差別や投機資本主義の権現であるアメリカとの対立は不可避であると認識し、統合社会保障基金を利用し、対アメリカにも負けない強い国力を身につけ、勝てる策を練る為に邁進する
《大隈重信》
「人種の平等を拒む者が文明を語るとは滑稽の極み。我らが示すべきは、議論ではなく、実績である。教育・技術・徳こそ真の文明なり。白人の正義が我々を拒むなら、我々の正義を自らの手で築けばよい。我らは二等国ではない、“二度と欺かれぬ国”である。」
「欧米の文明は、競争をもって進歩となし、排除をもって秩序とする。我が文明は、協調をもって進歩となし、共存をもって秩序とする。統合社会保障基金を以て、教育・科学・福祉・国防を一体として運用し、自立した“文明経済国家”の確立を目指す。」
以後、
・教育の充実(公的教育費対GDP比5%)
・先端技術への投資(R&D費対GDP比5%)
・自然との共存(水力・地熱・森林資源の有効・安定活用)
・食料自給率100%以上(投機的穀物市場の影響をも遮断)
を国是として成長し、アメリカの金の大規模継続購入を開始
(統合社会保障基金の規模の増大とともに公的教育費対GDP比、R&D費対GDP比共に段階的に上昇)
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