第26話「世界の再生」
テルーナとレオンハルトの紋様が一つになったとき、彼らの意識は、石版に刻まれた古代の記憶と深く繋がった。
彼らは、世界が「光」と「闇」の力によって、どのように調和を保っていたのかを知った。そして、アリシア王国の先祖たちが、その力を「禁忌」として封印し、世界を不安定にさせてしまった真実を目の当たりにした。
「世界を分けたのは、私たち一族の力ではない。力を恐れ、奪おうとした人々の心だった…」
テルーナは、その真実を理解し、涙を流した。 そして、二人の手から、石版に記された封印の呪文が発動された。
呪文は、世界中に広がり、不安定になっていた世界のバランスを、少しずつ元に戻していく。 テルーナとレオンハルトの紋様は、その力を使い果たし、淡い光となって消えていった。
マリアは、その光景を呆然と見つめていた。 彼女は、自身の行動が、世界を救うことではなく、滅ぼすことだったと悟った。
「私が、間違っていたのか……」
マリアの身体から、力が抜け、彼女はただの、疲れ果てた一人の女性となった。
「あなたは、罰を受ける必要はありません。あなたは、ただ、真実を知らなかっただけです」
テルーナは、マリアにそう言って、優しく微笑んだ。
世界は、ゆっくりと元の姿に戻っていく。 空に、かつて失われたと言われる、二つの月が輝き始めた。
テルーナとレオンハルトは、アルフレッドと共に、石版の前に立っていた。 「これで、世界は救われたのですね」
テルーナの言葉に、アルフレッドは頷いた。 「しかし、まだ終わりではありません。この真実を、世界中の人々に伝えなければならない」
レオンハルトは、その言葉に力強く頷いた。 「俺は、故郷の騎士として、アリシア王国に戻り、真実を語る。そして、この世界の歴史を正す」
テルーナは、レオンハルトの決意に、静かに微笑んだ。
「私も、自分の故郷の村に戻り、古代魔法の知識を、正しい形で伝えていきたい。それが、私の使命です」
二人の旅は、終わりを迎えた。しかし、それは、新たな始まりでもあった。




