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少女は、世界を救うか、滅ぼすか。  作者: 吉本アルファ
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第22話「嵐の後の静寂」

テルーナたちの船は、嵐の海を乗り越え、荒れ狂う波を切り裂いて進んでいった。船の帆に宿る古代魔法の光は、まるで道しるべのように、暗い海を照らし続けた。


数日が経ち、嵐が過ぎ去った頃、テルーナは疲れ果てて船倉で眠っていた。レオンハルトは、彼女が眠るのを見守りながら、ジェイクに語りかけた。


「彼女は、私が思っていた以上の力を持っている。もしマリアがその力を完全に手に入れていたら、世界は本当に滅びていたかもしれない」


ジェイクは静かに頷きながら、船の舵を握っていた。 「あの子は、ただの魔法使いじゃない。世界を救うための、特別な存在だ」


レオンハルトは、テルーナの眠る顔を見つめた。彼女は、王都を追われた孤独な少女から、レオンハルトと共に戦う強い意志を持った戦士へと変わっていた。


その日の夜、テルーナは目を覚ました。船は穏やかな海を進み、空には満月が輝いている。レオンハルトが甲板にいるのを見つけ、テルーナは彼の隣に立った。


「私、眠ってしまっていて…すみません」


「気にするな。君はよくやった。君の力がなければ、私たちは嵐の海を乗り越えることはできなかった」


レオンハルトはそう言って、テルーナに微笑みかけた。 テルーナは、彼の優しさに胸が温かくなった。


「私、自分の力が少しずつわかるようになってきた気がします。でも、まだ、すべてをコントロールできるわけじゃない」


テルーナの言葉に、レオンハルトは頷いた。 「それでも、十分だ。真実の扉を開くために、必要な力は、必ず君の中に眠っている」


二人は、月明かりの下で語り合った。レオンハルトは、幼い頃に故郷を失った悲しい記憶を、テルーナに語った。テルーナもまた、自分の出生の秘密を知り、孤独に生きてきた過去を語った。


二人の心は、互いの痛みに触れ、少しずつ寄り添っていく。 そのとき、ジェイクが二人に声をかけた。


「おい、見てみろ!」


二人がジェイクの指差す方を見ると、水平線の向こうに、古びた灯台の光が見えた。 「あれは…!古代の地、トゥノワールの入り口だ!」


レオンハルトの言葉に、テルーナは胸を高鳴らせた。 彼らの旅は、ついに、目的地へとたどり着こうとしていた。

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