第14話「地下の図書館と守護者」
地下への階段を降りたテルーナとレオンハルトの目に飛び込んできたのは、朽ち果てた遺跡ではなく、巨大な地下図書館だった。無数の書物が棚に並び、中央には、古代の紋様が刻まれた大きな石版が置かれている。
「これは……!我々の一族が、真実の歴史を後世に残すために作った、記憶の図書館だ」
レオンハルトは、驚きと感動を隠せない。テルーナもまた、その壮大な光景に息をのんだ。書物はすべて古代魔法語で書かれており、テルーナは目を輝かせて書棚へと駆け寄った。
しかし、そのとき、図書館の奥から、一人の老人が姿を現した。彼は長い白髪と、優しげな顔つきをしている。
「よくぞここまでたどり着いた。そして、よくぞその紋様を保っていた。我が名は、アルフレッド。この記憶の図書館の、最後の守護者だ」
アルフレッドはそう言って、テルーナとレオンハルトを温かく迎え入れた。彼もまた、銀髪赤目を持つ一族の生き残りだった。
アルフレッドは、二人の紋様を見て、涙を流した。 「二つの鍵を持つ者が、ついに現れた。これで、一族の悲願が果たされる」
彼は、二人に真実の歴史を語り始めた。
「アリシア王国の歴史書に記されていることは、すべて嘘だ。我々の一族は、禁忌の力を利用しようとはしていなかった。むしろ、その力を封印し、世界を安定させるために、この記憶の図書館を作ったのだ」
そして、アルフレッドは中央の石版を指差した。
「この石版に、禁忌の力を完全に封印するための呪文が記されている。しかし、それを解読するためには、二つの鍵が揃い、そして一族の血を引く者が、すべての真実を受け入れなければならない」
アルフレッドは、テルーナとレオンハルトの手にそっと触れた。
「あなたたち二人には、世界を救う力がある。だが、その力を使うには、深い覚悟が必要となる」
アルフレッドはそう言って、テルーナに一冊の古びた書物を手渡した。 「この書物には、あなたの出生の秘密、そして世界の成り立ちが記されている。すべてを読み、真実と向き合うのです」
テルーナは、震える手で書物を受け取った。