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少女は、世界を救うか、滅ぼすか。  作者: 吉本アルファ
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第13話「異種族の里の痕跡」

追っ手を振り切ったテルーナとレオンハルトは、さらに奥地へと進んだ。山脈の麓に辿り着くと、レオンハルトは立ち止まり、周囲を見回した。


「このあたりに、俺たちの里があったはずだ」


しかし、そこにあったのは、苔むした石の柱が点在する、ただの荒廃した平原だけだった。かつて栄えた里の面影は、どこにもない。テルーナは、その光景を見て胸が締め付けられる思いがした。


「こんな…何も残っていないなんて…」


レオンハルトは、悲しみをこらえるように静かに語り始めた。 「アリシア王国の先祖たちは、我々一族を『禁忌の力』を持つとして、殲滅した。抵抗した者たちは皆殺しにされ、里は焼き払われた。生き残った俺たちは、身を隠すようにして生きてきた」


テルーナは、レオンハルトの瞳に宿る、深い悲しみと怒りを感じ取った。彼は、この復讐のために王国の騎士になったのだろうか。


「でも、希望はある。この里のどこかに、禁忌の力を封印するための手がかりが残されているはずだ。そして、それを守ろうとした一族の末裔が、きっとまだ生きている」


レオンハルトはそう言って、再びテルーナに希望を与えた。テルーナは、その言葉に力強く頷く。


二人は、里の痕跡を懸命に探し始めた。 テルーナは、自分の古代魔法の知識を使って、里に残された微かな魔力の痕跡を辿っていく。すると、彼女の背中の紋様が淡く光り始めた。


「こっちです!何かが、私を呼んでいる気がします」


テルーナはそう言って、苔むした大きな岩の前に立ち止まった。岩には、テルーナの持つ紋様と似た、しかし少し形の違う紋様が刻まれている。レオンハルトは、その岩を見て、驚きに目を見開いた。


「これは…!故郷の記録に残されていた、封印の岩だ!」


レオンハルトは、その岩に右手の甲の紋様を重ねた。すると、二つの紋様が強く共鳴し、岩がゆっくりと横にスライドした。 岩の奥には、苔に覆われた地下への階段が続いていた。


「この先に、きっと手がかりが…」


テルーナとレオンハルトは、固く手を取り合い、地下へと続く階段を降りていった。 それは、失われた歴史の闇を照らし、世界の真実へと繋がる、希望への道だった。

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