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少女は、世界を救うか、滅ぼすか。  作者: 吉本アルファ
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第12話「窮地と共闘」

騎士団の追跡は、テルーナたちの予想以上に執拗だった。彼らは訓練された兵士であり、テルーナたちが森の奥深くへと逃げ込もうとしても、その足跡を正確に追ってくる。


「このままでは振り切れない!」


レオンハルトは歯を食いしばり、テルーナの手を引いてさらに森の中へと駆け込んだ。しかし、テルーナは走り続けたことで、すでに息が上がっていた。


その時、テルーナの目の前に、見覚えのある草花が群生しているのが見えた。それは、彼女が故郷の村で見た、古代魔法のレシピに記されていた薬草だった。


「レオンハルトさん、こっちです!」


テルーナはレオンハルトを小さな岩陰へと誘導し、その薬草を摘み始めた。 「何を…!」とレオンハルトはテルーナの行動に戸惑ったが、すぐに彼女の意図を察した。


テルーナは、摘んだ薬草をすり潰し、古代魔法の呪文を唱え、それをレオンハルトの右手の甲に刻まれた紋様に塗った。すると、紋様は青白い光を放ち、二人の姿を周囲の景色に溶け込ませるように、淡い霧を発生させた。


「これは、古代魔法の『隠蔽の術』…」


レオンハルトは驚きを隠せない。 テルーナは、村で読んだ書物のレシピを、ただの魔法の調合方法としてではなく、実践的な術として理解し、応用していたのだ。


騎士団の追っ手たちは、霧が立ち込めた岩陰に気づかず、そのまま通り過ぎていった。 追っ手の足音が遠ざかっていくのを確認し、テルーナとレオンハルトは胸をなでおろした。


「すごいな…君は」


レオンハルトは、テルーナの才能を改めて実感し、感嘆の声を漏らした。テルーナは照れくさそうに笑った。


「故郷の村では、ただの変わった草だと思っていました。でも、王都で歴史を学んだことで、これがただの草ではないとわかったんです」


テルーナは、恐怖に震えていただけの少女から、レオンハルトの相棒として、共に困難に立ち向かう意志を固めていた。


「ありがとう、テルーナ。おかげで助かった」


レオンハルトは、テルーナの頭を優しく撫でた。テルーナの胸に、初めて感じる温かい感情が広がっていく。 二人は、追っ手をやり過ごし、再び旅路を歩み始めた。

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