田んぼに家の鍵を落とした。
私はホラーのつもりで書きましたが、色々とごちゃごちゃしてよくわからなくなり怖くなくなった気がします。
絶対に期待しないで下さい。
対戦よろしくお願いします。
「まだ6月だと言うのに暑いな」
そう言ったのはたけるだ。言葉通り暑そうに服をバサバサさせている
「ふっふっふっ。僕はもう暑さ耐性がついてるから大丈夫だな」
本当は暑いのに痩せ我慢している方が、れんと。この僕だ。
「将来、俺らがおじいちゃんになった時、50度で涼しいって言ってそうだ」
「50度は言い過ぎだろ、、とも言えないかもな」
少し前、学校で2分の1成人式と言う10歳になったらやると言う儀式をした。
そこで少し将来について考えたが、ろくなものにならないだろう。
僕達は、少し田舎の方に住んでいて小学校の帰り道には田んぼがちょこちょこある。
風の強い日に帽子が飛ばされ田んぼに落ちるなんてよくある事だ。
まぁ、まだ1回しか見た事はないが、、
そんな田んぼも田植えの時期という事で水がはってある。
「田んぼに石蹴ってどっちが飛ぶかやろうぜ」
「いや〜、田んぼの人が怒るよ」
いや〜、と言った時にはもうたけるは石を探し始めていた
「いいじゃん! やろうよ!」
「でも、それは、良くないよ、、」
「じゃあ俺からな!」
そう言って、たけるは見つけた石を地面に置き、思い切り蹴る
飛んだ石は弧を描いて落ち、田んぼの水面に波紋を生み出す
僕は、結構飛んだように見えたがたけるにはイマイチらしい。
「もう一回やろ」
「え〜、もうやめようよ」
説得も虚しく、また、たけるは石を地面に置き今度は助走を取り始めた。
「行くぞ〜!」
助走を取り終えたたけるは、全力で石に向かって走り出す。
石の前まで来て軸足を踏み込む。
すると、ポケットから鍵が落ちる。
「あ、鍵」と言葉を発する間もなく石を蹴り上げる。と、同時に落ちた鍵も一緒に蹴り上げる。
「あ! やっば、、!」
ぽちゃんと、2回なり、鍵と石が田んぼに落ちる
「最悪だ、、家の鍵が、、」
明らかに落ち込んでいる
「それはやばくね?」
「うん、あれが無いと家に入れない、」
今日が早帰りなのも相まって余計にアレだ。そう、アレ。
「ちょっと入って探してくる」
「え、、うん。僕は、見てるわ」
たけるは、靴と靴下を脱いで、水のはってある田んぼへ入る。
鍵が落ちたであろう場所で止まり、
「落ちたのってこの辺だったっけ?」
「うん。多分」
腰を落とし探し始める。
まぁ、家の鍵を落としたんだったら田んぼの人も許してくれるだろう。
何故こうなったのか聞かれたら、、、うん。たける、バイバイ。だな。
「アレが無いと家に入れないんだよな、、」
とかブツブツ言いながら探している
そして、探すのをみるのも飽きた頃
疲れたのかたけるも、もう静かだ。
「あったー?」
大きな声でたけるに聞いてみる。
まぁ、あったら、喜んでこっちに来てるだろうが。
「全然なーい」
そうだろうな。
もう、飽きたし帰ろうかな。
「僕、もう帰っていい〜?」
「いいよ〜! 俺はもう少し探してみるわ〜」
「おっけー!」
ばいば〜いと、言おうとした瞬間、たけるがバシャーンと言う音と共に一瞬視界から消える。
どうやらコケたようだ。
「大丈夫〜?」
泥で汚れてお母さんに怒られるだろうと思う。
「家の鍵を探さないと、家の鍵を探さないと、、、」
何事も無かったかのようにまた探し始める
あいつ話聞いてないのかな、、
ちょっとイラッとして、「ばいば〜い」とだけ家に帰った。
その日の夜、たけるのお母さんが訪ねて来た。
「うちのたけるを見てませんか?」
「さぁ、見てないけれど、、心配ね。
「そうだ、れんとなら知ってるかしら」
「れんと〜! ちょっと来て!」
「何〜、あ、こんにちは」
たけるのお母さんが来るなんて、何かあったのか、、?
「れんと君、たけるを見てない?」
たける、まだ帰ってないのか、、?
もしかしてまだ探してるのかな、、もう暗いのに
「あ、今日下校の時田んぼに家の鍵落としたって言ってずっと探してましたけど、」
「あぁ、そうですか。では、失礼します」
何故か、全てを諦めた様な感じで立ち去った。
不思議に思うも、そのまま1日を終える
次の日。
今日は、雨が降っている。
いつもたけると一緒に登校しているが、中々待ち合わせ場所に来ない。
遅刻するのである程度の所で切り上げて、登校を開始。
たける、まだ帰って無いのかな、、
ただの風邪で休んでたるんだったら良いな、、
たけるの事を想いながら歩いていく。
例の田んぼまで来た。
そう、田んぼは通学路だから通る事になるのだ。
たける、流石にいないよな、、?
恐るおそる田んぼを見る。
そこには、たけるがいた。
疲れ果て、目の下にクマができ、フラフラのたけるだ。
雨に濡れて、余計に怖い
まだ「家の鍵を探さないと、家の鍵を探さないと、、、」と、言っている。
声を掛けるのも怖くなり、そのまま通り過ぎ、学校へ行った。
学校では、クラスの友達がたけるの事を話していた。
が、やはりどこか諦めている感じだった。
僕がその話の輪に入っていっても、当然僕も何故たけるがああなったのか知ってる前提で話が進んでいく。
話が通じないから、今日はあまり話さなかった。
放課後、先生がたけるの荷物を鞄にまとめていた。
どうしてそんな事をしているのか聞いても、相手にしてくれない。
僕だけ知らなくて、誰に聞いても教えてくれない。
お母さんも、お父さんもそうだった。
僕は、たけると、あの田んぼが怖くなった。
もし、明日たけるが普通に登校の待ち合わせ場所に来ても、普段通り会話できないと思う。
下校の時、怖いから道を変えて家に帰った。
もう雨は止んでいた。
次の日。
やはり今日も登校の待ち合わせ場所にたけるは来ない。
登校の道を変えようと思ったが、たけるの観察のためあの田んぼの前を通る事にした。
例の田んぼの前につく。
昨日から変わらず、まだ家の鍵を探している様だ。
かすれた声で「家の鍵を探さないと、家の鍵を探さないと、、、」と言っている。まぁ、かすれているので、本当にそう言っているのか怪しいが。
そして、昨日と1番の変化は、立った姿勢から四つん這いになっていた。
僕は、とても怖かった。だが、意を決して声をかけてみる事にした。
声をかければ何か変わるかもしれない、と淡い期待を添えて。
「たける〜!」
一瞬こっちを向いた。
しかし、すぐにまた探し始めた。
たけるは、目が血走っていた。
これ以上ここにいるのは恐怖で無理だと判断し、学校へ向かった。
学校では、たけるの机が撤去されていた。
学校の図書室で田んぼの事について調べてみたが、何もわからなかった。
帰り道。
またたけるのいる田んぼへ向かった。
今度は、もう少し話してみようと思い
「たける〜!」
「僕も探すの手伝うよ〜!」
と言ってみた。本当にする気は無いが、何か変わるかもしれない。
たけるは、こっちを向き、何か言いたそうに口を開いた。
2.3秒見つめあった後、また探すのを再開した。
テレビでたまに見る未確認生命体と同じ雰囲気をしている。
この他に良い行動が思いつかないので帰る事にした。
帰宅後、テレビを見ていると、葬式のCMをしていて怖くなってテレビを消した。
次の日。
何故かここ2.3日寝つきが悪い。
もう、どうせたけるは、待ち合わせに来ないと思い、たけるを待たずに登校を始めた。
一応例の田んぼへ行く。
そこでたけるは、倒れていた。
人が倒れているのを初めて見た僕は、どうして良いか分からなくなり、暫く固まってしまった。
途中で、何人かに見られている事に気づき、きまづくなってそのまま学校へ行った。
学校では、たけるの話をしている人はもういなかった。
その日の帰り道。
たけるが倒れているのを見たくなかったが、情報収集は大切だ。
あの田んぼについた。
「うそ、、だろ、、」
そこにたけるの姿は無かった。
僕は、どこにいったのか、何故ああなったのかを調べる事にした。
そして、12年後の秋。
古い文献などを調べていくうちに、あの田んぼの事が分かって来た。
しかし、諸説ある為本当かは、分からない。
・あの田んぼの底が魔界に繋がっていて、だんだんと魔界に引き込んでいっていた。と言う説。
・コケたと同時に謎の力で洗脳し、その場から離れなくさせ、ゆっくりと田んぼの肥料として分解していっていた。と言う説。
・コケると言う動作により、本人と別のものとが入れ替わり、その時考えていた目的を達成するまで取り組み続ける機械になる。と言う説。
この3つが有力だ。
しかし、周りの人達が何かを知っていた反応だったのが気になるが、、、
アレから怖くて田んぼには近づいて無かったが、今日、来てみた。
今日も田んぼに水がはってある。
「僕、もう帰っていい〜?」
「いいよ〜! 俺はもう少し探してみるわ〜」
「おっけー!」
ばいば〜いと、言おうとした瞬間、田んぼの中にいた子供がバシャーンと言う音と共に一瞬視界から消える。
どうやらコケたようだ。