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プロローグ



魔導────それは力。



魔導────それは才。



魔導────それは道。



以てして守る者、魔導士と呼ぶ。





魔導士────それは、人々の希望である。







◆ ◇ ◆


『理事長、挨拶。』


スピーカーからアナウンスがされると、礼服を纏った老紳士が壇上に上がった。

そこから見えるのは実に1000を超える少年少女の姿。そこにあっても老紳士は緊張を見せることなく、慣れた手つきでマイクを取る。


「皆さんはじめまして。学園理事長の、ギルバート・バンダレーと申します。

そしてようこそ。最も格式ある魔導学校、『ガイーシャ魔導学園』へ。」


ガイーシャ魔導学園。それはこの国において一番大きな魔導の学校。

500年以上の長い歴史を持ち、一度門をくぐれば一流の魔導士になって帰ってくることが確約されるとまで言われているエリート校だ。


ここに集う1000余名の少年少女は、そんなガイーシャへ新たに入学する希望の芽達なのである。


「ここで皆さんがすべきことはただ一つ。

───海からの侵略者『アルヴァン』に対抗する、一流の魔導士になるための技術を磨くことです。」


『アルヴァン』。その言葉を聞いた瞬間、新入生達の間に緊張が走った。


「長らくの間大予言によって、人類の脅威としてその存在を示唆されていたアルヴァン。今から十数年前、彼らは姿を顕しました。

その高度な魔術は我々人類を圧倒、蹂躙していきましたが…………彼らは撃退されました。我らが英雄ソラス・レイルによって。」


大魔導士ソラス・レイル。この国でその名を知らない者はいない英雄である。

事実彼の名が出た途端に、この場にいるあらゆる顔から不安の表情はさっぱりと消えていた。


「今は亡きかの英雄は、強力なタレントと魔術を以てしてアルヴァンと戦いました。

そして勝利を納め、この地上を守り抜いたのです。」


その物語は今どきの子供にとってはおとぎ話のようなものだ。

だが一つ決定的に違うところは、それが確かに実在したものであるという部分。故に少年少女は英雄の名に憧れを抱き、彼の軌跡に心を踊らせる。


「……しかしその当時に侵略してきたアルヴァンはごく少数でありました。恐らく彼らの大部分は依然として深海に潜んでおり、そう遠くない未来、再び姿を顕し人類を脅かすこととなるでしょう。

ソラス・レイル亡き今、我々には新たな英雄が必要です。皆さんにはこのガイーシャ魔導学園で魔導の道を極めるとともに、彼の意思を継ぎ人々を守る一流の魔導士となっていただきたい。そのような思いで、私は皆さんをお迎えいたします。」


新入生達は胸を膨らませる。理事長の言葉はそのように、憧れの英雄と自身とを重ねさせるものだったのだ。


「どうか皆さんが人々の希望になれますよう、実りを祈っています。以上です。」


マイクを戻すと喝采が起こった。少年少女は万感の思いを募らせ、未来の自分に思いを馳せる。


一流の魔導士、かの英雄のような姿。そんな夢のような幻に。

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