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Next Story  作者: rimu
第2章 旅立ち
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アクア編

「ヘレンよ、ソナタは第2次世界大戦のこと、

 ラーファが力を使ったことは知っておるか?」


王の問いに、ヘレンはかなりラフな口調で答える。


「ええ、知っているわ。

 ラーファ様の力によって、人類を勝利へと導いた。」


王は小さく頷く。


「そうか、それは話が早くて助かる。

 これから話すのはそのすぐ後の話だ。

 ラーファは力を使った後、

 我の前にゆっくり舞い降りたと思えば、

 立つことすらままならず、その場で倒れてしまった。」


ヘレンは眉をひそめる。


「我はラーファに近づき、抱きかかえた。

 すると、ラーファは話し始めた。」


「真っ先に魔国の王の首を取ってください。

 そうすれば、戦争は終結します。

 その後は…私に貴方の子を産ませて下さい。

 私は最後の力を使って、今日中に子を産み、

 私の力を譲渡します。

 この力は、子が力にある程度耐えれるようになるまで

 力は封印します。

 私の神器を子が持てるようになった時、

 封印が少しずつ解かれるでしょう。」


ラーファはなんとか

意識を保ちながら話を続ける。


「もし、封印が解けたのなら、数日後に、

 とある少女が現れるでしょう。

 その者の名は、

 ヘレン…ヘレン•K•アルトリスタといいます。

 青色の髪と瞳の少女で、私と共に暮らした子です。

 彼女には、すでに私の槍を持った物と共に旅に出て、

 世界を復興するようにと伝えてあります。」


ふとヘレンを見ると、少し震えている。


「子には、ヘレンと共に世界を巡せて下さい…

 人々の願いを聞き、助け、導き、

 多くの人々と心から繋がりを持てるよう…に」


ラーファは少しずつ意識が遠退いていく。


「繋がりは、いわば信仰に近しい物…そうすれば…

 いずれ力は完全解放され…再び…人類を…

 守れる…でしょう。」


お母様はお父様にこう仰った後、

意識を失ったそうだ。王はミカの顔を見る。


「その後はラーファの指示通り、魔国軍の残党を払い退け、

 真っ先に魔王の首を討ち取った。

 吾輩はラーファと共に王宮に戻り、

 ラーファに我が子種をくれてやった。

 そして、その日の間に我が子が生まれたのじゃ。」


ミカは戸惑う。


「それが…私…」


槍が抜けた今、私にはお母様の力を使うことができる。

しかし、私は今から人類最強の兵器になるために、

世界各地を渡り、人々を助け、力を完全解放するという

使命をかせられたのだから。


「私は…人類最強の兵器になる為に…

 産まれてきたのですか?!」


ミカは少し声を荒げてしまう。


王は低い声で答える。


「ああ。だから、お主に力を譲渡している最中、

 ラーファはこう嘆いた…。」


王は遠く上を見上げる。


「子には…これから…過酷な運命が…

 待ち受けているでしょう。私は酷い母親です。

 母親を名乗る資格も、この子の名をつける資格など…

 私にはありません。どうかこの子の名は…

 父君である貴方がつけてあげて下さい。

 あぁ…どうか、この子に…世界の祝福がありますように。

 どうか…報われる時がきますように。」


「そして、ラーファは子を抱くことなく、亡くなった。

 ワシはそれから、子をミカと名づけ、

 王としての責務を果たしながら、

 ミカの世話をメイドに教わり、

 少しでも共に入れるようにと最善をつくした。

 ある程度大きくなったお主は、

 街の住人の手伝いをするようになっていた。

 私は特にお主を咎めることはせず、

 腕利きの護衛を側につけ、あとは自由にさせた。

 母親の愛情を感じられぬお主に、

 国のことであまりお主の相手をしてやれなくなった

 ワシが出来ることは、それぐらいしかないと

 考えたからじゃ。ミカよ…どうか、我を許しておくれ。」


王は俯く。


「これが、今回起こったことの真相じゃ。」


しばらくの沈黙の後、顔を上げた王は、

ヘレンの方を見る。


「さて、それではソナタのことを教えてはくれぬか?」


ヘレンは面倒そうに話出した。


「下界で産まれて、5年間下界で過ごした後、

 天界で二年過ごし、ラーファ様と共に下界へ降りた。

 それからは、霧の山脈で16年過ごしてきた。

 普段は魔法陣の開発研究をしてるわ。」


天使と悪魔の混血?。

そんなことがあり得るのか?。


王は問う。


「何故ラーファと共に下界で過ごしていたのだ?。

 ソナタ一人ならまだしも、

 ラーファは3大天使の一人であろう。」


ヘレンは横に顔を外らせる。


「神殺し…神殺しの疑いをかけられたのよ。

 私が悪魔と天使の混血だから。」


神殺しを疑われた?。

突然のことにその場にいた二人は理解が追いつかなかった。


ヘレンは小さくため息を吐く。


「ハァー…まぁ、そうなるわよね…。

 細かいことは機会があれば話すわ。

 今は私が魔術師であることだけ理解してちょうだい。」


王は小さく唸る。


“本当に我が娘と旅に出して大丈夫だうか?

 信頼して良いのだろうか?

 ラーファ自身が言っていたからには

 信頼しても良いのだろうが…冷静になれ。

 世界の命運がかかっておる。

 いや、我が愛しき娘の今後がかかっとるんじゃぞ!!”


また少しの沈黙の後、王は口を開く。


「コホンッ、ソナタの素性は分かった。

 ソナタが混血であること、神殺しの疑いがあることは、

 ラーファと共にいたことから、今は不問とする。」


王は椅子から立ち上がる。


「王命だ。これから主らには、世界の復興のため、

 共に旅をしてもらう!!来たる時に備え、

 ラーファの力を完全に扱えるようにするのじゃ!!

 なお、ソナタらには外交の権限を与え、

 貿易再開を果たすことを命ずる!!」


二人は王宮を後にする。


「ミカよ、これから先、お主には多くの困難が

 待ち受けておるじゃろう。

 じゃが、お主ならきっと、持ち前の明るさと判断力で

 切り抜けることだろう。

 我は我のできることをし、 

 少しでもお主の役に立てるよう、

 これからも尽くすつもりじゃ。

 お主の武運を祈っておるぞ。」


王は城の窓からミカ達を静かに見送った。


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