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9・舎監用の寮にて

舎監とは、寮で、寄宿している学生・生徒の生活指導や監督をする人 のことを言う。


学園は午後の授業(自習)が午後四時に終わる。

教員は授業後の整理もあり五時までだ。


食堂の夕食は四時から六時に設定されている。


舎監寮の談話室には風呂と食事を終えたソニアがいた。


「ねえ、ソニアちょっといいかしら」

「良いですよ。レイラ」

談話室でくつろいでいたソニアに、アサラの付添人のレイラが声をかけた。


「ソニアって、ここの卒園者って聞いてるけど、今まではメシールの国民しか入れないんでしょ、ちょっと気になったの」


アサラはローズ学園をかなり調べてきている、今回の留学生の件に裏があるとみているのだろう。

しかし、リコはただ単に、みんなの生活が向上することを考えて留学生を呼んでいるだけだ。


「ええ、私は生徒だった三年間、メシール王国の人の養子になっていたの。あの頃のローズ学園は定員不足だったから、入れてくれたのね」

これは学園長から、秘密組織からの依頼で来たことがばれることがないよう、綿密なストーリーを作り、覚え込まされていた。


「そうだったのね、でもロベルトの留学生はソニアがいるからいいのよね。うちの生徒なんか、メシールに行くってだけで色々あったんだから」

「確かに大変だと思うは、私もローズ学園に来たときは、思いっきりアホな子に扱われたもの」

「ソニアがアホな子なのは初めて会った時何となくわかったわ、それはメシールに初めて来たのとは関係ないと思うの」


『そうだったのか、やはりアホの要素を持っていたのか』

ソニアは心でつぶやいた。


「色々大変って、例えばどんなこと」

「まず、10人を選ぶのが大変だったことでしょ。

案内書には平民でも貴族でも構わないって書いてはあっても、やはり貴族がしゃしゃり出てきたの。

ほら、リズたちがスーザンやチロリナで教えた子供たちがマナや魔道具つくりが出来るようになったでしょ。

それで今回は自分の子の能力アップをさせたい貴族が沢山いたの、だから全員貴族の子。

付き添いの私たちは平民だから、それだけでも大変」

「ロベルトと逆ね、私が貴族で生徒はみんな平民だもの」


「それからね、魔法科四人、薬学科四人、冒険科二人って人数を決められていたでしょ。アサラの貴族の子のほとんどが魔力持ちで、きちんと訓練も受けているから、みんな魔法科を希望してしまったのよ、結局くじで決めたんだけど、もう少しで貴族同士争うことになりそうだったの」

「ねえ、ローズ学園って、メシール王国の国営だけど、中身は専門学校よ、それに設立の目的は、貴族やお金持ちの子供が冒険者にあこがれて、大けがをしたり死んだりしないようにするために作ったから、魔法科はおまけみたいに作られたところよ」


「知ってるわよ、ローズ学園とメシール王国については、めちゃくちゃ勉強させられたもの。

メシールでは魔力の強い子は魔法省の管轄の訓練施設に行くんでしょ。

ソニアがいた時にリコ先生が、魔法省の人をやっつけてから今の状況になったんだって教わったわ」

「それじゃあ、そんなに魔法科に魅力はないんじゃないのかな」

どう考えても魔法に関してはアサラの方が進んでいる。


「それはね、リコ先生なの。リコ先生の出生の秘密がアサラの情報諜報室で話題になったことがあるの」

「リコって、リズと双子で、バレッサ家の母と冒険者の父の間に生まれたんでしょ。メシールでは出生するとすぐに教会に登録するから、嘘は難しいと思うけど」


「アサラでも教会の登録は絶対ね。教会はアサラやメシールが国として設立する前からありますから。

でも、リズとリコが生まれたロズ村の教会は、村長の娘がシスターをしていて、そのシスターがリコの母親のマリサとローズ学園で一緒だったらしいから、裏工作があったってこっちでは睨んでいるの」

「そんなこと私に話して大丈夫なの、リコの家族以外たぶんその話は誰も知らないんじゃないかな」

ソニアは、アサラの情報収集力を、自分のいた秘密組織のふがいなさを思い出しながら感心していた。


「それから」

「まだあるの」

「そうまだあるわよ、リコの生物学上の両親はアサラの人らしいの。

ある目的のために、魔力の強い人に頼んで生んでもらって言われているわ」

「すごいこと知っているのね。でもなんで私に教えてくれるの」


「それはね、アサラの付添人、私を入れて三人ともアサラの情報諜報部の職員なの。

アニスにその活動に協力してもらいたいんだ」

「嫌だと言ったら」


「えー、ここまで話を聞いといて、それっはないって。ね、入ってくれると嬉しいな」

「嫌っ」

「じゃあばらしちゃう、さっき養子に入ったって言ったの嘘だって知ってるもん、秘密組織の一員だってことも知ってるもん」

レイラは拗ねてしまった。


「あのー、一人で盛り上がっているところ申し訳ないんだけど、養子の話はきちんと書類化されて学園にも国の機関にも保存してあるの、確かに嘘だけど、国家レベルで嘘を固めてあるから、レイラが騒いでも無駄だよ」

「えっ、ソニアはそんな需要人物なの」

「ううん、違います。此処の学園長がやり手なだけです」


結局、ソニアもレイラもお互いの秘密は他に話をしないことでこの場は終わりとなった。

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