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39・ヘレン達の冬休み

「ねえアニス、リコたち今頃何しているんでしょうね」

「そうだなナル、もうトランタには着いているころだな」

「私も旅に行きたかったな」

ナルとアニスの話にヘレンが入ってきた。


「ヘレン、無理だと思うな。王女様の旅って大行列なんでしょ、リズ先生の速さに着いて行けないよ」

「そんなことはないですよ、ニア。私の旅は大行列にはなりません」

「いや、ニアの言うことが正しい。ナルでさえ、アサラのナトリ国から来るときは、馬車三台に乗馬騎士十人だったからな」

乗馬騎士十人の隊長がアニスの父であった。


「ねえ、喋っていないで早く行きましょうよ」

ティンだ。

「そうよ、早く行かないと売り切れちゃう」

カレンだ。


「大丈夫、まだ時間はある。それにちゃんと予約してある」

アニスだ。

冬休み家に帰らなかったヘレンの要望で、今日はドーツナにあるバレッサの喫茶店に新作のスイーツを食べに行くことになった。


「でもアニス、これっれバレたらまずいんじゃない」

ヘレン王女を連れてお忍びでスイーツを食べに行くのだ。

「ああナル、とてもまずい、だからバレない様にしよう」

ヘレン王女に何かあったら二人の首が物理的に飛ぶ。


「あたいとシャンも居るから大丈夫だよ」

シャンを連れたアグも一緒だ。

「そうそう、平気平気」

学園に来てますます陽気になったシリルだ。腕にはコーネが抱かれたいた。


此処にいる生徒は、ヘレン ニア ティン カレンとスンとランだ。

アニス ナル アグ シリルとで十人いる。それに犬と猫一匹ずつ。

生徒は学園のローブをまとっているし、かなり目立つ集団だった。

その目立つ集団が、王都を抜け、ドーツナのバレッサの喫茶店目指して歩いている。


「でもニア、バレッサの新作スイーツって何でしょうね」

「ヘレンだったら、王族特権で発売よりも早く食べること出来ないの」

「無理無理、バレッサは王族貴族平民金持ち貧乏人、まったく区別しないの。

それにバレッサに無理を言って、姿を見なくなった人もいるって聞いてます」


「ヘレン、バレッサが区別しないのは間違いないが、消された人はいないぞ」

「いいえ、アニス。あのバレッサです。リズのような刺客が居るかもしれません」


『いえいえ それはありません』

みんなが無言で首を横に振っていた。


「リズに刺客は無理だな。私でさえ逃げ出したのだから」

シリルがさらっとすごいことを言っている。


話をしているうちにバレッサの喫茶店に着いた。


アニスが先頭でドアを開け店の中に入っていく。


「いらっしゃいませ、何名様でしょう」

「ああ、予約をしているアニスだ」

「アニス様ですね。承っております。新作スイーツ食べ放題コースですね。

では、十名様奥の部屋へどうぞ」


店員に案内され奥の部屋へ行く。

「では、ご注文が決まりましたら、ドアの横のボタンを押してくださいね」

そういって店員は部屋から出ていった。


「ねえニア、新作スイーツって何でしょうね」

ヘレンはメニューを見ながらニアに聞く。


「新作にもいろいろあるよ。今迄存在しないまったく新しいものあれば、上に乗っける果物が変わっただけの時もあるよ」

ニアが説明する。


「今回のは、初めてのものあるぞ。軟質小麦の小麦粉と砂糖と牛乳と卵を混ぜて薄く延ばして焼いた膜で、生クリームを巻いたスイーツでクレープと書いてある」

「そうね、生クリームと一緒に焼きリンゴを巻いてあるのもあるわ」

冬の新作なので、暖かいものが多かった。


「ねえ、アニス、食べ放題コースっていくつも頼んでいいの」

メニュー見ているだけですでによだれが出そうなスンである。

「ああいいぞ、だがな、残すとペナルティがあると書いてある。ちゃんと考えて頼むんだぞ」

若い女の子が十人だ、どれだけ頼んでも残すと言うことは考えられなかった。


「ねえアニス、時間無制限食べ放題って、こんなことしてお店つぶれない」

「ニア、内緒だぞ。これはバレッサからヘレンへの特別プレゼントだ」


「そうだとすると賄賂にならない」

「大丈夫だ、此処にいるみんなへのプレゼントにしてある」


「もしかしてアニス、この話持ちかけたのあなたじゃない」

「おおナル、よくわかったな。でもいいじゃないか。みんな幸せそうな顔をしている」

本当はヘレンをダシにしてアニスが新作スイーツを食べたかったのだ。


最後をアイスクリームで締め、ヘレン達は店を後にした。


「アニス、シャンとコーネが褒美の肉をよこせって」

「わかっている。ドーツナの商店街によって、シャンとコーネの好きな肉を買ってから帰ろう」

シャンとコーネはスイーツ店の屋根の上で警戒を行っていた。


「アニス、商店街に行くのですね」

ヘレンの目が輝きだした。肉だけ買って帰ることは無理みたいだ。

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