384・王都のメイン通りを歩きます
恐竜図鑑を売っていた本屋はドーツナの街の外れにあるが、街道沿いにあった。
街道はそのまま門をくぐると王都のメイン通りにつながる。
王都で一番華やかな通りだ。
「メイン通りって、歩くの久しぶりね」
「そうなのです、いつもは屋敷から一番近い門を使うのです。メイン通りは使わないのです」
「ビーナ、馬車の方が多かった」
ヘレンの影武者時代に馬車で通ったのだろう。
また、メイン通りは馬車の往来が多く危ないので、小さな商店街は裏道に多かった。
「ビーナ、買いたいものが有るの。お店はあっちなの」
「ビーナ何を買うの」
「教えないの、恥ずかしいの」
そう言われればそれ以上聞けない。
ビーナはメイン通りから、何本か裏の道に入っていく。
「此処なの、買い物してくるの、リズさんとリコさんは表で待ってて欲しいの、すく終わるの」
ビーナは店に入る。
「リズ姉、看板の無い店なのです」
「そうね、でもお店はお店みたいよ」
「興味が有るのです、今度ビーナに内緒で来てみるのです」
「うーん、それって雇用主としてはどうなの」
「必要なので、管理責任が有るのです」
「そっか、変なもの買っていても困るか」
「お待たせしたの、終わったの」
小さい紙袋を持ってビーナが出てくる。
「それでは屋敷に帰るのです」
「リコ、お腹すいたから、屋敷に帰る前に何か食べない」
「そうなのです。どこかで食べるのです。何処か言い食堂が有ると良いのです」
「ビーナ美味しいところ知ってるの。そこが良いの」
「それじゃあ、ビーナのおすすめのお店に行きましょ。此処から遠いの」
「遠くないの、すぐそこなの、ビーナこのあたり詳しいの」
「詳しいって、ビーナはお城から出てきてからはバレッサの屋敷とリコの屋敷で暮らしていたから、余り外には出ていないはずじゃあなかったの」
「お使いで来ていたの。お屋敷の料理の材料のお店が近くにあるの。服を作る布や日常品のお店も有るの。王都の中でこのあたりが一番安いの」
「おかしいのです、屋敷では十分なお金を用意しているはずなのです。高級店でも買い物は大丈夫なはずなのです」
「リコさんはピノさんの恐ろしさを知らないの、無駄な高級品を買うと怒るの。だから使用人は市場調査の為に街を回っているの」
「リコ、それって市場調査と言って、美味しいお菓子を絶対探しているのよ」
「理由を付けたさぼり、バレッサの伝統なのです」
「さぼりじゃないの、料理も美味しくなるの。使用人の服もお洒落になるの」
「わかったわ、で、さっきの紙袋は何かな」
「しょうがないの教えるの、中身は飴なの。飴が目的ではないの。あそこは組織の情報交換の場所なの。リズさんリコさん絶対秘密なの」
「・・・ ・・・ 誰にも言わないわ」
「言わないのです」
その後はビーナお勧めのお店で昼食をとった。
「ビーナ、美味しいお店でしたね」
「そうなの、あそこも組織に教えてもらったの」
ビーナの入った看板の無い店の情報だった。




