250・やっと空いた時間が出来たのでシリルとお茶です
「シリルさんお邪魔しますね」
「ええどうぞ、でもリズさんが授業中に来るのは久しぶりですね」
「そうなの、一学期ももうすぐ中間試験でしょ。
何とか試験問題の作成からは外してもらったから」
「そうでしたね、リズさんは薬学科全学年を見ているわけですから、試験前なら少し時間がとれそうですね。
では、お茶とお菓子です」
シリルのお茶とお菓子を出してもらう。
なぜか生活指導室にはお菓子がいるも用意してある。
「ありがと」
フー、茶を一口飲む。
この世界のお茶と言えば紅茶だが、紅茶でも落ち着くものだ。
「それで、わざわざ、ここに来たのですか」
「うーん、最近色々あったでしょ。リコの婚約とか。
それでね、自分の知識不足が気になったの」
「へーそれは珍しいですね。リズさんって何でも知っていると思っていました」
「シリル、私の夢見人の知識は看護師と格闘家のものです。
それも異世界のものなので、この世界の知識はそれほどでもないの。
それで聞くけど、この世界の貴族って何をしているの」
「うーん貴族ですか。
難しいですね。領地をもって納めている人も貴族になりますし、王都や領地の政治をしている人も貴族です。
王族や領主も貴族と言えば貴族ですね。
王様はわかりやすいですけど、貴族も代々、仕事を受けづいています。
仕事を受けづけなかった子供が、平民になることもありますね」
「貴族をやめて平民になるって大変じゃないの」
「ええ、大変です。
まあ、政治にかかわっている貴族の応援がありますから、割と商売をやっても成功していますけどね。
それと、少数ですが未開拓の地に行って自分の村を作り領地にして、貴族を続けた人もいたはずです」
シリルもあまり詳しくは知らないようだが、貴族の定義もはっきりしていないのかもしれない。
それと、この世界の貴族の権力ではそれほどお金持ちになれない、バレッサのほうがお金持ちなくらいだ。
王都議会や各省庁を貴族が動かしており、許認可権を持っているのが貴族の強みくらいだ。
「それと、今度バラトが準貴族になったけど、そのあたりのことは知ってるのかな」
「そうですえね、リコでしたらバレッサの娘でもありますから、貴族に嫁に入ることも不可能ではなかったと思います。
多分リコが貴族になることは嫌だったんでしょうね。
そして、バラトさんが優秀なので、魔法省の仕事を続けて欲しかったからではないですか」
「ふーん、そういうことなんだ。
でもシリルは難しいことをよく知っていますね」
「ええ、小さい時に無理やり教育されましたかれね」
なるほど、シリルのいた組織の仕事に必要な知識だったんだな。
これで何となくだが、この世界の貴族のことがわかってきた。
何といっても、バラトさんに会うまでは、貴族とほとんど話をすることが無かったからね。
「シリルありがとうね。またわからないことが有ったら聞きにくるね」
「ええ、わからないことが無くても、お茶を飲みに来るだけでもいいですよ」
私とシリルで話していると。
ニャーン
話しているシリルの膝の上にコーネが乗ってきた。
「フフフ、コーネはシリルにべったりですね」
「ええ、今回学園に戻ったのもドナの指示もありましたが、べアリルではコーネが落ち着かなかったのもあります。
それでこの間アグさんにコーネの考えを聞いてもらったら、やはりべアリルにいるよりも王都のほうが良いらしいです」
確かにコーネは学園の生徒にかわいがられていたし、通訳のアグが居るので暮らしやすいんだろうな。
「じゃあ、次の授業が始まるから行くね」
そろそろ次の授業が始まる。
うーん、やはり今年度は忙しいな。




