202・冒険者ギルドで会いました
花見から帰った日の夕食。
「いただきます」
「いただくの」
「いただくのです」
「いただきます」
食事が始まると、話は今日のドラゴンのことになった。
「リズさん、あのドラゴン私たちを襲いに来たの」
アグが聞いてくる。
「多分そう、邪気の魔石を飲んでいるみたいだったから」
「あそこではネモがいたので話せなかったのです。
ネモのお父さんの闇の軍団は前にもドラゴンを使って襲ってきたのです」
「ああ、王様のお披露目の時ね。
リズさんとリコさんがあっという間にドラゴンを倒すから、護衛の騎士に人が驚いていた」
「ビーナは馬車の中で見られなかったの。残念だったの」
「これで私たちにドラゴンが効かないことははっきりわかってくれたかな」
「リズ姉、ネモがいるのに襲ってきたのです。倒されることは分かっているはずなのです。
今回は、いつでも襲えるぞと言う警告なのです」
「そう言う事ね、でも、闇の組織の人たちって、もともとゴランドの森の子孫でしょ。
あんな風に攻撃してこなくても、話し合えば一緒に協力することも出来るはずなんだけど」
「それはきっとリコのせいなのです。リコの出生が謎なので警戒しているのです」
確かにリコはゴランドの森の子孫である証拠はない。
それどころか、生物学的な両親が誰かもわかっていなかった。
「とりあえず気を付けるの」
ビーナのその一言でドラゴンの話は終わった。
以前ドーツナの草原でアグたちもドラゴンにあっている。
今回もドーツナの草原だ。
気になるので、次の日リコを連れてドーツナの冒険者ギルドの行ってみることにする。
「リズ姉、王都のギルドではないのです。何故ドーツナのギルドに行くのです」
「確かに、本部長や王都支部の支部長は王都にいるけど、情報はドーツナのギルドの方が早いと思うの」
やはり現場に近い方が話が早いだろう。
「失礼します」
「失礼するのです」
ドーツナにある冒険者ギルドに入る。
王都には本部と、王都支部があり、ドーツナに有る事務所は王都支部の管轄だった。
「いらっしゃ、どんな御用剣でしょうか」
カウンターの受付嬢が声をかけてきた。
私たちはギルドカードを見せて。
「すいません。この辺のドラゴンのことを聴きたいのですが」
受付嬢に聞く。
受付嬢はカードを確認すると。
「えっと。リズ:トレイシー、ランクC って」
「ええ、カカロ村のトレイシーです」
優秀な冒険者でないと名付きにはならない。
それもカカロ村のトレイシーは特に有名だった。
「そうですか、ですが、ここではドラゴンの情報は少ないですよ。
この間、アグさん達のパーティが倒したのと、昨日、あそこにいるパーティが報告してきただけです」
そう言って、受付嬢はギルドの隅のテーブルに着いている三人組の女性パーティのほうを見た。
私も受付嬢につられて女性パーティのほうに振り替えと、目と目があったしまった。
「あっと、昨日はご迷惑をおかけしました」
軽く頭を下げながら声をかける。
「リズ姉、昨日の警備の冒険者なのです。行ってみるのです」
リコは三人の座るテーブルの近づき。
「こんにちはなのです。日曜日もお仕事大変なのです。座っても良いのですか」
「ええ、どうぞ。私たちもできればお話したかったの」
私とリコは同じテーブルに着く。
「失礼します。えっと私はリズ、冒険者ですが今はローズ学園の教師をしています」
「リコなのです。同じく冒険者で教師なのです」
「私はコロ、三人でパーティを組んでます」
「私はカリ、よろしく」
「魔法使いのセリです」
コロがリーダーだそうだ
「リズさんとリコさんも冒険者だったのですね。
それにしても一瞬でドラゴンを倒すなんてすごいですね」
コロが話してくる。
「ええ、ドラゴンとの戦いも長いですから。
コロさん達はドラゴンと戦ったことは」
「無いです。私たちもランクCなので、本当は退治できないと駄目なんでしょうけど、対応できる武器が無いので」
「そうね、ドラゴンの皮膚は簡単には切れませんからね。
でも、女性三人のパーティでランクCってすごいですね」
私たちもランクCだが、これはひとえに環境が良かったからだ。
「まあランクCと言ってもキグナスの冒険者ギルドでのことですし」
「コロ、あまりキグナスのことは言わないほうがいいよ。
私たちは実力でランクCになったんだからね」
「そうだよ、コロ。私もカリも頑張ったんだよ」
「そうね、ごめんね、頑張ったんだよね。
でも、やっぱりキグナスから出て、本当の実力を試したかったんだよね。
でもリズさんやリコさんの実力が本当のランクCなんだろうな」
どうやら三人はキグナスの冒険者ギルドでランクCになったようだ。
ランクはFから始まる、ランクアップには依頼をこなしてもらえるポイントを溜め、テストか支部長の推薦でアップできる。
ランクBになると、いろいろ面倒な指名依頼が入るので、実力があってもランクBにアップする冒険者はいない。要するにランクCとはDよりちょっと強い人からランクB並の実力者までいる。
「ギルドによってランクの試験に多少のムラはありますけど。
別にキグナスだからってことはないと思うのですが」
私とリコはロズ村のギルドでランクアップしている。
ロズ村のランクアップは厳しいので、他所からきてランクアップをする者はいなかった。
反対に、ランクアップをやさしくすると、実力以上の依頼を受けて冒険者が怪我をするので、最低限の基準はあるはずだ。
「いや、確かにそうなんだが、キグナスの支部長は金でランクを売っているという噂が出てしまって、それで女性三人のパーティでランクCだと、実力以外でなったのではないかと疑われるんだ」
コロさんが説明してくれる。
「あのギルド支部長ですね。
実は私たちも被害者なんですよ」
あの支部長と言ってしまったが、依頼を受けに行ったのは、生徒のサイラなので、私は実際には会っていなかった。
「そうなのです。リズ姉はいいように使われたのです。悔しいのでドラゴンの魔石は渡さなかったのです」
キグナスでヘレン達とドラゴンを倒したが、キグナスのギルドには報告しないで王都に勝ってきている。
「もしかしえ、領主の依頼でドラゴンを倒したのはあなた達ですか」
カリが聞いてきた。
「リコではないのです、リズ姉と学園の生徒なのです」
「生徒さんでも倒せるのですか、ますます自信がなくりますね」
セリはうつむいてしまった。
「そんなことはないですよ。ドラゴンを倒すのは特例だし、今でも依頼はカカロ村の冒険者が請け負っているでしょ。
実力が無ければランクCになれるわけないんだから。
ねえ、よろしければ、これから一緒にバレッサスイーツに言っておいしいものを食べませんか。
おごりますよ」
落ち込んだ時はスイーツが一番なので私はバレッサに誘ってみる。
「「「はい」」」
一瞬で三人の目に輝きが戻った。
「リズ姉、リコもおごって欲しいのです」
「だめ、リコは三人前食べるでしょ」
今度はリコがシュンとしてしまった。
取りあえず、冒険者ギルドを出てバレッサスイーツに行くことにした。