13・模擬戦です
「えーこれから、ローズ学園教員指導員による模擬戦を始めます。
彼らは第123回生の同級生であり、今日のローズ学園の発展に大きく寄与した者達です」
変な説明を入れながら司会進行するのはタミ先生だった。
「では、プログラムの発表します。
第一模擬戦は、ハリス対ロメルです。両者ともランクDの冒険者です。
第二模擬戦は ソニア対ナタリーです。二人とも貴族のお嬢様ですが、剣の実力は並みの冒険者をしのぎます。
そして、同級生ではありませんが、リズ先生たちとパーティを組んで旅をした、アグとシャンによる一発芸です。
その後に、ナルによる、広域魔法攻撃の披露を用意しました。
次に第四模擬戦は、アニス対エマです。今日は騎士団もおこしなので説明させていただきます、彼女は王家騎士団、団長の娘であります。対するエマは、魔力による身体強化の出来る希少な一族の出身です。
最後の模擬戦は、リズ対リコです。多くのファンが待ち望んだ一戦であります」
「リズ姉、今のアナウンスは学園の授業では無いのです。格闘技の興行のアナウンスなのです」
「そうね、タミ先生、昨日からノリノリだったけど、さらに乗っているわね」
タミ先生のアナウンスは観客には受けていた。
そして第一戦が始まる。
「ハリス対ロメル 始め」
「ロメル良いな打ち合わせ通りだぞ」
「わかっている。しかし俺たち前座扱いだな」
「文句を言うな、始めるぞ」
ハリスとロメルは模擬戦用の木剣を持ち、適度な間合いを開けて構える。
「えー、実況のタミです。解説のギルダ先生よろしくお願いします」
「解説のギルダだ。私とタミ先生は、彼らが学生時代の担任でもあり、良く知っているので実況と解説をすることにした」
二人は勝手に実況をするらしい。
ハリスとロメルはマナを体になじませ身体強化をする。
「両者とも身体強化をしました。お互い手の打ちを知り合っています」
「そうですね。性格からいって、ますハリスから打ちに出るでしょうね」
ギルダの予測通りハリスから攻撃を仕掛ける。
ハリスの攻撃をロメルは剣で受ける。
バキッ ガシッ バッキーン
身体強化した者同士の剣のぶつかり合いだ。ものすごい音がする。
「良い動きをしていますね。さすがランクDになると急に決まった戦いにも対応しています」
「そうですね。二人とも速さと力、バランスよく身体強化を使っていますね」
ハリスとロメルの剣は自己流ではない、幼い頃よりマーリックドラッグの護衛として働くため訓練してきている。
そこに三年間、学園でリズやアニスからマナの扱いを教わったのだ。
迫力のある模擬戦に。
「なあ、あの指導員は魔力がないんだろ」
「そのはずだが、あの威力は何なんだ」
アスラの生徒たちは驚いている。
「時間三分、やめー」
二人の模擬戦は終わった。
アサラの生徒や付き人以外は、このくらいの戦いは予想していたのだろ。
多くの拍手はあったが、驚きの声は少なかった。
「次、第二戦、ソニア対ナタリー 始め」
二人も互いに向かい合い身体強化をはじる。
「ギルダ先生、貴族のお嬢様同士の戦いどう見ます」
「そうですね。ソニアは小さい頃より貴族の剣を嗜んできました、そしてリズのマナの指導により、身体強化を覚えたんですね。入園時にはマナが扱えなかったのが、卒園時はリズに次ぐ使い手になっていましたから、かなりの戦いをするでしょう。対してナタリーは、マナも剣もソニアから教わっていますから、やはりソニアの方が有利ではないでしょうか」
ギルダの解説の最中も二人は剣を合わせている。
「ナタリー、強くなってきましたね」
「当たり前です。あなたがいなくなった寂しさを紛らわすために、あれから無我夢中で剣を振っていましたからね」
ハリスやロメル同様この二人もお互いの手の内を良く知っている。
ナタリーも頑張るが、はやりマナの扱いにより身体強化に優れるソニアがナタリーに合わせることになった。
「時間三分 やめー」
美女同士の戦い、本人たちよりも観客の方が盛り上がっていた。
ロメルたちの戦いに勝るとも劣らない戦いにアサラの生徒は黙り込んでいた。
二戦が終わると、短い休憩がある。
次はアグの番だ。




