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122・アグとビーナが買い物です

「ビーナ、今日はここに書いてある物を買ってきてくれるかな」

学園に行く前に、私はビーナに買い物リストを渡す。


「了解なの。でもビーナは一人で買い物するの不安なの」

今回の買い物は王都の中でなく、塀の外のドーツナの店を指定してある。


「そう、じゃあアグも一緒ならどうかな」

「アグさんと一緒なら安心なの。シャンも一緒がいいの」

ビーナの了解はとれた。


「アグ、ビーナと一緒に買い物お願いね」

「リズさんいいけど、シャンも一緒で大丈夫かな」

シャンは全長が二メートルはある。


「大丈夫じゃないかな。アグもシャンもかなり有名だから、怖がったり文句を言う人はいないと思うの」

巷では、私より『魔狼使いのアグ』の方が有名みたいだ。

なんといっても、新王お披露目で王女の乗る馬車にの御者をしたのが効いている。


ビーナとアグに買い物を頼み、私はリコと学園に向かった。


「アグさん、よろしくなの」

屋敷を出るとビーナはアグの隣を歩く。


「うん、じゃあちょっと買い物リストを見せてくれるかな」

アグはリストのチェックをする。


屋敷から王都を囲む塀にある門まで歩いて三十分くらいだ。

門には門番がいて、身分証明と通行許可書のチェックをしている。


「アグさん、門番がいるの。ビーナ通れるのかな」

ビーナは王都に入れず帰っていく人がいるのを見て心配になっている。


「ビーナは商業ギルド発行のカードを持っているだろ、あれを見せれば大丈夫だよ」

アグはビーナのカードのことは知っていた。


「アグさん、おはよう。今日はどこかへお出かけかい」

係員はアグに気軽に声をかけてくる。

「はい、ドーツナに買い物です」

そう言いながらアグは冒険者カードを見せる。

アグはほぼ顔パスなので、係員もちらっとカードを見るだけだった。


「これカードなの」

ビーナは恐る恐るカードを係員に渡した。


「おっ、初めて見るお嬢さんだな。アグさんの友達かな」

そう言いながら係員はカードをチェックする。


「お嬢さんは、バレッサの社員なんだな。バレッサの社員なんて大したもんだ」

バレッサはメシール王国でも一二を争う大きな会社だ。

なかなか社員になれるものではなかった。


「ビーナはバレッサのお屋敷の住み込み使用人なの。だから社員にしてくれたの」

ビーナにはぞのすごさが今一理解できていなかった。


ビーナの商業ギルドカードには名前と勤め先しか書かれていない。

カードを専用の魔道具にかざせば細かい情報も出てくるが、ビーナの情報は名前と勤め先と出身地と誕生日だけだった。

冒険者カードもそうだが、カードは魔道具でカードが本人の者かのチェックもすることができる。

本人でない人がカードを持って専用魔道具にかざすと警告音が鳴るようにできていた。


門を出るとすぐにドーツナの繁華街が広がる。


「リズさんのお買い物リストはすごいの、お店の地図まで付いているの」

私の書いたお買い物リストには、店の場所もしっかりわかるようにしておいた。


「ビーナ、この買い物リストを見てどう思った」

アグがビーナに聞く。


「アグさん、どういうことなの」

ビーナにはただの買い物リストにしか見えない。


「このリストに書いてある買い物って、あまり屋敷では必要なさそうなんだ。

それより、ビーナと私がドーツナの町で遊んでくるようになっているみたい」

要するに、ビーナとアグが、服でもなんでも 欲しいものがあったら買っていいよと、食べたいものがあったれ食べていいよと。そう書いたつもりだ。


「でもビーナお金あんまり持っていないの」

ビーナにはお金は持たされていない。

「大丈夫、私がリズさんから預かっているから」

お金はアグに預けておいた。


ドーツナは王都の塀をぐるり一周回るようにある。

もともと王都が狭く、中に入るには厳しい条件があったので、王都の周りに商店が出来、人が増え町となったところだ。

色々な商品がメシール王国で一番集まるところでもある。

市場には各地の野菜や果物、ドーツナの周辺は畑もあるので新鮮なものも並んでいる。

服やは平民向けの店ばかりだ。貴族向けは王都の中に店があった。

雑貨類も充実した店が多く、通りを覗きながら歩くだけでも楽しかった。


アグは田舎の農家の娘であり、早いうちから私と冒険者として暮らしたので、おしゃれらしいおしゃれをする機会が少なかった。

ビーナもお城の中で王女の影武者として暮らしていたので自分で服を買ったことがない。


「リズさんの指定した店に行くの」

私はそんな二人のために、適切なアドバイスをしてくれる店を選んでおいた。


アグとビーナ、進んで自分からドーツナに遊びに行かない。

これからも、いろんな理由をつけて二人を遊びに出すつもりだ。

私は学園で楽しい思い出をたくさん作れた。二人にも楽しい思い出をたくさん作って欲しかった。

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