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120・ちょっと 憂さ晴らしです

「リズ姉、お帰りなのです」

リコ達のいる、ローズ学園の食堂に帰ってきた。

昼前は王都第二学校に行っていたのだ。


「ただいま、今日は模擬戦の相手をさせられて大変だったのよ」

王都第二学校に、マナの指導に言っているのだが、なぜか模擬戦をやりたがる生徒が多い。


「リズ、あまり相手にしないほうがいいぞ、どうせあそこの生徒では勝てるはずがない。

リズなら、王都騎士団百人でも勝てるだろ」

王都騎士団長の娘のアニスが話しかけてくる。


「そうなんだけど、どこまで身体強化が出来るようになったか試したいのですと言われるとね。

相手をしないわけにもいかないでしょ」

騎士と冒険者では戦い方が違うので、私と戦ってもあまり意味がないと思うのだが。


「リズ姉、リズ姉の代わりに行っている冒険科の生徒だといい勝負をしているのです。

もしかするとリズ姉に勝てると勘違いしてるのです」

私が忙しいとき、カカロ村から来てくれている生徒に王都第二学校のマナ指導をお願いしている。

彼女はマナマッサージが得意で、体の中のマナの流れを整えたり修正したりして、第二学校の生徒のマナ操作の能力を上げることができた。


「あの娘なりに気を使っているのでしょうね。まさか年下の女の子に負けるとは思っていないでしょうから」

たぶん彼女が本気になれば、十人くらいまとめて相手しても勝てるだろう。


「だがリズ、どうにかして騎士を強くしないと、学園の冒険科出身の警備隊員のほうが強いんじゃないかと町では言われている。

それに、騎士団が舐められると、他国が侵略を考えてしまうからな」

アニスは騎士団の存在意義をよく知っている。

メシール王国がほかの国より弱いと思われてはいけないのだ。

強い国にケンカを売る国は少ない。


メシール王国は隣のアサラ連合国やロベルト帝国とは今は友好関係にある。

しかし、港町リンマでは他国の船がやってきているし、ロベルト帝国の先、山をいくつか超えたところにも国があり、アサラ連合国の森の先にも別の国がある。


それらの国が何らかの力を得て攻め込んでこないとは限らないのだ。


「エマは、港町リンマに来る他国の状況は知っているの」

私はエマに聞いてみると。


「今のところは、メシール王国の方が強いかな。

少なくともリズに勝てる人は見たことがない。

それに、ここの三つの国に攻めるには、ひと月以上かけて山や森を越えてこなければならない。

船で攻め込むにも、まともに船がつけるのはリンマだけだからな。

まあ、空飛ぶ船でも作って数千人の兵隊を送り込んでこない限り負けることはないな」

今はエマの考えが正しいだろう。

しかし、絶対安全ではない。少しずつでも戦闘力の向上は必要だった。


食堂で昼を終えると、久しぶりに冒険科の訓練施設に行ってみる。

二年生のサイラと一年生の二人、カカロ村から来ている生徒に会うためだ。


訓練施設でサイラを見つけると。


「サイラ、カカロ村の二人を呼んできてくれる」

サイラに二人を呼んでくるようお願いすると。


「いいですよリズ先生。でも何をするのです」

サイラの問いに、


「昼前に第二学校の生徒と模擬戦をやってきたのですが、かなり手加減をして戦ったので、もう少し手ごたえのある人とやってみたくなりました。それで三人い相手をしてもらいたいの」

そう、ちょっと不完全燃焼なのだ。


「わかりました。呼んできます」

そう言って、サイラは二人を呼びに行った。


「では、三人同時に相手をします。かかってきなさい」

サイラが二人を連れた来たので、さっそく相手をしてもらう。


三人はカカロ村のランクDの冒険者である。

当然私がランクCでトレーシーの名持ちなの知っている。

多分容赦なく全力で来るはずだ。


三人は連携を組むのは初めてのはずだが、さすがにカカロ村の冒険者だ、見事な連続攻撃で私に襲い掛かる。

マナ操作による身体強化もローズ学園の生徒より抜きんでているが、まだ私のスピードのほうが速い。


「もっと、本気でかかってきなさい。けがをしますよ」

そう言ってはいるが私もかなりぎりぎりの戦いをしている。

なんといっても相手は三人いるのだ。


アニスが騎士団百人に勝てると言ったが、確かに勝てる。

この場合、問題は体力だけだからだ。相手のマナを吸収できる私にマナ切れの問題はない。


そして一番やりにくいのが相手が三人の時だ。

第二学校では、必ず三人で相手一人を倒すことを教えた。


すでに二十分は戦った頃、三人は目配せして後方に飛びのいた。


「リズ先生、終わりにしてください」

サイラが肩で息をしながら言ってくる。

かなりマナを消耗しているようだ。


「そうね、終わりましょ」

そう言ってあたりを見渡すと。


訓練施設にいた全員が黙って私たちを見ていた。

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