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11・アグ学園に行く

「おはようアグ」

「おはようございます リズさん」


「おはようなのです」

「リコさん、おはようです」


屋敷の朝は屋敷の食堂で始まる。


「リズさん、今日からあたいも学園に行くんですよね」

「そうよアグ、学園長の許可が出たの」

アスラのレイラには明日にでもアグを連れて行くと言ったが、さすがに許可に数日かかってしまった。


「それで何をすればいいのかな」

「一応、アサラの人たちの相談相手ってことになってるわ」


「それって、あたいにできるの」

「大丈夫なのです。アグはしっかりとしているのです」

「でもあたいが学園に行くとシャンが一人でお留守番になっちゃうよ」

「学園長にはシャンの許可も取ってあるから大丈夫ですよ」


三人と一匹で歩いて学園に向かう。


「アグはシリルのいる生活指導室にいることになったのよ」

学園に着くと、まずアグを生活指導室に連れていく。


「おはよう シリル 今日からアグがこちらでお世話になるから、よろしくね」

「おはようございます、リズ リコ アグ それからシャン」


ワン ワン

シャンも挨拶をする。


「それじゃ シリル。私たちは朝の会議があるので職員室に行きますますね」

「はい、いってらっしゃい」

シリルに見送られ、私とリコは職員室に向かった。


「シリルさん、久しぶりです」

「ええ、ドナと一緒の旅依頼ですね」


「それで、さっそく聞いていいかな。シリルさんこの部屋は何のためにあるの」

「生活指導室のことですね。此処は生徒間のトラブルの相談をするところです。まあ、リコが私を学園に引き込むための口実でしょうけどね」

さすがにシリルに教師を頼むのは難しかった。


「じゃあ、やることないんだ」

「そうでもなさそうなの、アスラの生徒たちと他の生徒がうまくなじめるか心配なのよ」

「それであたいも呼ばれたんだ」

「そうみたいね、アグはアスラの出身だから、私よりも適任かも」

「でも、アスラの生徒ってみんな貴族なんでしょ。田舎の町の平民の話を聞いてくれるかな」

「そうね、貴族って面倒なのよね」

シリルも貴族は苦手のようだ。


昼までは授業があるので、生徒が指導室に来ることはない、くれば昼からの自習時間だ。


シリルもアグも昼食は食堂で食べる。今日は教員用の部屋で食べてきた。


「えへへ、リズさんだけでなく、食堂にはみんなが集まるから楽しかったね」

「ええ、今はみんなが集まれるのは、あの時間くらいですね」

シリルとアグが食堂から戻っくると


トン トン トン

ドアがノックされた。


「シリルさん誰かな、アスラの生徒が問題でも起こしていたら嫌だな」

「そうですねアグ、とりあえず入ってもらいましょ。アグドアを開けて」

シリルに頼まれアグがドアを開けると。


「わー、ワンちゃんがいる。これシャンでしょ」

アグがドアを開けるや否な、ヘレンが飛び込んできたシャンに抱き着いた。


「ヘレン、落ち着きなさい、シャンは逃げないわよ」

遅れてナルが入ってくる。


「アグさんこんにちは。ヘレンがシャンに会いたいって言って自習を抜け出してきちゃったの」

ナルの後ろからニアが入ってきた。


「ねえ ねえ シャンって、魔獣でしょ。魔獣なんでしょ。魔獣に抱き着けるなんて最高」

ヘレンは抱き着いたまま興奮している。


「ヘレン、それって誰に聞いたのかな。王都では誰にも言ってないと思ったけど」

「アグさん、ナルから聞いています。それに聞いていなくてもわかります。シャンの周りは優しい魔力で包まれています」

「アグ、ごめんね、こういう風になるって思ってなくて、旅の話でシャンが魔狼と犬の混血だって教えてしまったの」

ナルとアニスの旅の話は、かなり詳しく語られたようだ。


「ナルもシャンの魔力はわかるのですか」

「ええ、シリル。魔力のある人なら普通の獣と魔獣を見分けられますね」

「でも、シャンは毎日アグと町なかを散歩しているのですよね。大丈夫だったのですか」

「それは大丈夫だったよシリル。ほら、メシールって魔力持ちが少ないでしょ、それに魔獣が町にいるなんて誰も思わないから」

かなりうかつなアグである。


「アグ、散歩のときはもう少し注意しなさい、魔力がなくても、一流の冒険者は魔獣独特の気配を覚えていますよ、魔獣だと気付く人もいます」

「あれ、リズさんだ」

アグがきょとんとする。

私は、ヘレンとニアが自習を抜けだしたの見つけ、様子を見に来ていたのだ。


「リズさんは、自習時間は薬学科の実験室に行かなくていいのですか」

「シリル、今から行きますが。えっと、アグ、お茶を一杯入れてください」

「いいよリズさん。いつも言ってたもんね。自習時間は薬学科全学年の生徒に囲まれた大変だって」

そう、大変なのだ。

「シリル、ここっていい部屋ですね。またさぼりに来ます」

憩いの場所を見つけた私は、お茶を飲みほし実験室に戻ることにした。


私たちが話している間もヘレンはシャンに抱き着いたままだった。

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