アデールさんクーン城に来たる
アデールがやってきました。
「嗚呼、そろそろアーネスト陛下が戻ってこられる・・」
クーン城の客間を動物園の熊さんの様にウロウロと動き回っているのは勿論アデールだ。お気に入りの薄緑のドレスを纏い、頭には綺麗な花飾りを添えアーネストの帰りを待っているのだが、朝食の時から落ち着きがなかった・・。
「もう、少しは落ち着きなさいアデール」
「アーリー様、だって戻られたら婚姻の儀式の段取りですよ、けど色々不安で・・」
「そう?頭の中がバラ色で埋め尽くされているわよ。不安なんて一欠片も感じないよアデール」
「アーリー様、手紙を何度も読み返したり、アーネスト陛下の事を考えると胸が苦しくなるのです。そんな私の頭の中が何故バラ色なのでしょうか?」
アーリー「・・・・・(呆」
トンチンカンな答えに少し引き気味のアーリーは、この子には初恋はなかったのかと普通に考えてしまう。実はアーネストが出撃後、アデールが単身クーン城に入りアーリーが色々ちょっかいを出していた。それは初心過ぎて反応が面白かったからだ。だがアーネストの事を本気で好きになっているとは夢にも思ってなかった。
「アデールって、アーネストのこと好きなのね!」
「ウヒャ!、す、好き?ですか」
「そうよ、貴女の意識は恋する乙女そのままよ〜」
「こ、この気持がそうなんだ・・これが恋・・」
「うわぁ〜、自分の気持がわかって無いんだ〜、それにしてもエルフの美貌で更に可憐な表情って凄いわね・・・(呆」
自分が考えている以上にアーネストのことを好きになっていたアデールは、その思いに浸っているのか優しい眼差しと可憐な表情を見せていた。それはまさに反則級の美貌だ。
「アデールは挙式の時は誰か呼ぶの?」
「カティーナが女王に就任したので、忙しくて誰も呼べないと思います」
「そっか、それならあまり派手にやらないほうが良いわね」
「私もそれを望んでいます」
「アーリー様、アーネスト様が間もなくお戻りになります」
「WWW、来る、来る」
ケネスが連絡を受け伝えに来たのは良いが、アデールはまた客間をウロウロと徘徊を始める。アーリーが生暖かい目で見守っていると、キーンと金属音が響き渡りハミングバードが降りてくるのだった・・。
「戻ったよアーリー」
「お帰りアーネスト!チュ!」
「ウヒャヒャ〜」
「パパ〜」
駐機場では2人が出迎えてくれた。ユリエルとロレンツォは侍女達に抱っこされ手を振っていた。アーリーはアーネストに軽くお帰りのキスをするとアデールが過剰反応して真っ赤に茹で上がっていた。
「久しぶりだねアデール、もう来たんだね」
「中々の初心で可愛らしいですよ!」
「ア、アーネスト様、お、おか、お帰りなさいませ!」
もの凄く緊張しているのか顔は引き攣り言葉も辿々しく、しかし真っ赤のまま混乱状態のアデールはペコンペコンとお辞儀をしていた。
「ねぇアデール、アーネストにエスコートして貰いなさいよ」
「わ、わ、私が、この場合、アー、アーリー様でしゅよね!」
「プッ、噛んだ!」
「アハハ、アデール緊張しすぎだよ〜」
「だって、仕方ないもん!」
アデールは可愛らしく腕を前に伸ばし体を横に揺らしながら恥ずかしがっていた。それを見ていたアーネストはゆっくりと近づき腕の隙間を開け待っていると、スッと白く細い腕が入ってきた!
「さぁアデール、客間でお茶をしながらお話をしようか」
「はい、アーネスト様!(喜」
「ンッ!」
目の前に空いた隙間を見た瞬間、心が先にいけと伝えた。そして気持ちを切り替え落ち着きを取り戻したアデールは優しく微笑む。うん、抜群の破壊力だ!アーネストは不覚にも一瞬ドキッとしてしまった。
アーリー「ありゃ、やっぱエルフの美貌は段違いだわね〜」
クレア「ほんと、反則ですよね〜、アーネストもちゃんと気に入ったみたいですね〜。ほらチョットデレてるわ〜」
一緒に降りて来たクレアはアーネストの表情を見て少し嫉妬しているのか、プッと頬を膨らませていた。
「ウヒャ!」
「アデール大丈夫?どうしたの」
「アーネスト様好き!」
「はっ?」
クレアの言葉に反応したアデールは可愛らしい奇声?喜びの声を上げ、反射的にアーネストの意識を読んでしまい自分に対する好意の感情を知るとびっくりして、心が落ち着く前に理由を聞かれ、思わず気持ちを、想いを吐露してしまった。
「アレレ思わず吐露しちゃって、可愛いね!」
「もう!クレア様!」
「宜しくねアデール」
「はい、アーネスト陛下!」
「さぁ、二人のお披露目会の日程を決めないとね!」
「そうそう、色々イベントがあるからね〜、あなた月の物はいつなの?」
「あ、あ、そ、そうですよね・・」
婚姻=初夜だ。月の物のタイミングが重なるのは基本NGだ。アデールは思い出したのか、顔が真っ赤に早変わりだ。そしてそのまま客間に入りお茶を飲みながら話は更に進む・・。
「ねぇアデール、あなた子供がすぐに欲しいならきっちり合わせないとね!」
「あうあう、プッシュ〜」
持ち前の想像力が働いたのか、速攻で茹で上がりグワングワンと体ごと揺れているアデール。
「ふむ、だがピッタリ日程を合わせるのは大変だぞアーリー、色々予定が目白押しだぞ」
「あ゛!そうだったよ・・・」
今後の予定の確認を始めると思い切り調整が難航するのだった。アーネストとアーリーは48時間後、デルタリアに向かい今後の軍備に関する会議と戦没者式典、懇親会とやらで1週間取られ、クーンに戻るとこれまた戦没者追悼式典だ。流石に半年は時間を置き喪に服さないとお披露目式など出来ない状態なのだ。さすがの女王もコレばっかりは待つ以外、致し方ない。
「ねぇアーリー、流石に半年以上は喪に服さないと駄目よね〜」
「そうね〜、アデール残念だけど戦没者が今回多いから、祝い事はすぐに行うわけにはいかないね」
「はい、勿論理解しております。私の考えでも1年は待つ必要があると考えています」
「そっか、もう婚姻自体を結ぶことは了承しているから、先に子作りに励む?私も丁度欲しくなってきたから」
「知ってたクレア?残念だけどエルフの仕来りで初夜は婚姻の日か、翌日って決まってるのよ」
「そ、そうですね・・初夜・・うぴゃ!」
嫁いできたのは良いが婚姻の日がドンドン伸びてしまい、少し落ち込みながら変な想像をするアデールさんだった。
「けど、キスとか添い寝くらいなら問題ないわよ!」
「ピャ!」
「こらこら」
過剰に反応するアデールの仕草や表情が楽しいのか、アーリーは悪戯顔になって、好きあらば弄ってくる。
「うふふ、可愛い仲間が増えたのよ、嬉しいじゃない!ねぇアデール!」
「もう、アーリー様!(恥」
間髪入れずに弄ってくるアーリーは笑い、アデールは恥ずかしそうにテレテレしていた。
「アデール、アーリーはあなたを仲間として認めたのよ。そこは喜んでいいのよ」
「はい!これからよろしくおねがいします!!」
「アーリー、腹が減ったよ。食事にしないか」
「そうね、ケネス頼んだわよ」
「はい、準備は済んでおります。皆様移動をお願いします」
そして、初めて四人で昼食を取ることになり、席についたのは良いのだが、アデールの席だけ食器の配置が違っていた。大きめのスープの受け皿がデンと鎮座していた・・。
「クーンの野菜は美味しいです!もぐもぐ」
「アデールってホント野菜しか食べないわね〜」
「ええ、基本菜食ですが少しは肉も食べます」
昼食のメニューはハムサンドを中心としたスープとサラダの簡素なメニューなのだが、アデールは野菜が多めに入ったスープを飲んだ後、皆の5倍はあろうか大量のサラダをもぐもぐと、ひたすら食べていたのだ。
「そうね、肉食べ無いから細いのね・・体重って40キロ切ってんじゃないの?」
「あの、その、最近まで、その37キロ位でした・・少し戻って40キロほどです」
夜の教育のプレッシャーから精神を削られ、アデールは一時的に体重が落ちていたのだ。なんとなく理解したアーリーはその話題には触れなかった。彼女にとってそれほど衝撃的だったと思うと流石に弄れないのだ。そして慌てて話題を切り替えることに・・。
「軽っ!私は子供生んだから最近、重くなったのよね〜」
「ふん!Gカップ女王様」
「プッ」
「はぁ〜貧丘〜」
なんだか丘の話にクレアが参戦してきた・・・女同士では胸の大きさに関してカーストでもあるのだろうかと想像したアーネストはチョット吹き出し、アデールは逆に自分の胸を見てため息が出ていた。その体の細さに対しBカップほどの双丘はとてもマッチしているのだが、やはり凶暴爆乳アーリーと美麗な丘を誇るクレアの2人を見ると萎縮してしまうのだろうか、きっと永遠の悩みになるに違いない!
「アデールは種族的に大きくなり難いから、気にしちゃ駄目よ」
「けど、大きくするとなると、やはり肉中心の食事ですか!」
「駄目よ、無理に食べちゃ、アーネストが問題なければ気にしないで!ねっ!そうよね」
「こら、俺に振るなよ。アデール気にしなくていいよ。人それぞれだから」
「はい!」
また意識を読んだのかアデールはパッと明るくなって、元気に返事をするのだった。
「お食事中失礼します。アーリー様、ミーシャの元に向かい支援して参ります」
食事中、フル装備のジャガーが現れた。これからハミングバードに乗り込みミーシャの支援に向かうのだろう。
「ジャガー、七部族の長を説得して一同を集め会議を開くから、その段取りを頼んだわよ」
「承知いたしました」
「ジャガー、各国回りが済んだらあの星に向かうよ。それまで頼んだよ」
「はい!お任せ下さい」
今回、ジャガーは外交官を引き連れ、武器を満載したハミングバードはクーン宇宙港を後にするのだった。
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