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ヴァンの秘密

ヴァンフリートの秘密が・・・。

「それではミーシャ君、念のために聞くが強いのか」


ミーシャはタチアナ達と一緒に狼族の所に戻ったのは良いが、アロルドの部下たちが力比べをふかっけてきたのだ。


「陛下には力比べをするなと言われているニャ」


「まぁ、そう言うなよ。猫族がウロウロしているとムカつくんだよ」


「フッ、アホな脳筋野良ニャ、見境ないニャ〜」


「何だと偉そうに、口だけニャンニャンなんだろ」


「分かったニャ!受けて立つニャ」


「おお、それでこそ戦士だ!」


「・・・フッ(脳筋ニャ」


さすがのミーシャもここで引き下がると何かと絡んでくる事が予想されるので受けて立つことにした。そして修練場に移動し模擬刀を使い実戦形式でやり合うことになった・・。


「ルールは簡単だ、急所に模擬刀を当てるか剣を飛ばしたら負けだ」


「ニャ!始めるニャ!」


「それでは、始め!」


「来いニャ!」


「クソネコ!」


とうとう始まってしまった初戦はミーシャがいきなり中指を立て挑発すると、激昂して顔が真っ赤になった部下の一人が興奮して突進してきた。


「瞬殺ニャー」


「ズン!グハッ!」


フラッと残像を残しミーシャの姿が消えると、気がつけば男の額に飛び膝蹴りが入り吹き飛ぶのだった・・。


「おお、予想以上に戦いなれしているな、メイド服姿を少し見くびったようだな」


「隊長!次行きます!」


「行くのは良いが距離を取れ、ミーシャは相当早いぞ」


「わかりました!」


最初にふっ飛ばしたのは最弱の下っ端で様子見で出してきたようだった。次に来たのは中堅で戦い慣れしている奴だ。剣を構え距離を取り少しずつ間合いを詰めて行くが、下段構えのミーシャの剣がシュバッと見えなくなった瞬間、持っていた筈の模擬刀が手元から外れ頭上に飛ばされていた。


「遊んでいるニャ?アレくらい受けてくれないと話にならないニャ〜」


「流石だな、一国の女王の護衛だけの事はある。さて私が出よう」


気合を入れた隊長アロルドが模擬刀を持って闘技場に入ってきた。先程の部下に比べ段違いの強さを誇るのだろう。構えた剣先が静止したままピクリとも動かなかった。


「チョットは強そうだニャ!行くニャ」


そしていきなりシュバ!バキン!ガキン!バキン!と手元が見えず音だけが響く異様な立ち会いになった。


「軽いと思っていたが、中々の重さの剣だ!」


「見た目で判断したら駄目ニャ!」


両者とも軽く数合、剣を合わせたに過ぎなかったが、アロルドの剣を持つ手は少し痺れ、違和感を感じていた。


「剣先を叩いているのか、それにしても見た目と違い凄いパワーだ」


「隊長!早くやっつけてくださいよ〜」


「ふん、お前ら怪我しなかっただけマシだぞ。さて、ミーシャの懐には飛び込ませてはくれないな・・」


アロルドを煽る部下たちは分かってなかった。ミーシャは棒立ちに近いステップで剣をいなしていたのだ。それを見て感じた隊長は実力を隠しているミーシャを攻めあぐねていたのだ。


「ケケケ、行くニャ!面白くなってきたニャ!」


いきなりミーシャの雰囲気が変わり始めると耳がピンと立ち、犬歯が見え隠れし目は鋭く恐ろしい化け猫のような表情に変わった。


「来る!」


残像を残しミーシャが突進してきた!予備動作を読み取ると下段からの振り上げと思った、しかしそれはフェイクだ!クルッと剣を返したかと思った瞬間、頭上から剣が降ってきた。だが、冷静に動きを見ていたアロルドは防御姿勢を取るとガンっと鈍い音が響き、顔の前ギリギリの所でそれを止めるのだった。


「もう辞めるニャ、あんたじゃ勝てないニャ」


「まだ全開じゃないのか・・・」


「当たり前ニャ〜、けどもう止めるニャ」


余裕のミーシャは右手で剣を振り、腰をかがめ左の拳を放とうとしていたが止めていた。そしてゆっくりと下り、軽く一礼をするとスッと踵を返し歩きだし模擬刀を部下に渡すといつもの可愛らしい表情に変わるのだった。


「た、隊長!勝負は、まだ決着が付いていません」


「相手に戦う意志がない、今回はドローだ!だがお前ら絶対に手を出すなよ死ぬぞ」


「わ、わかりました。隊長がそこまで言うのなら手を出しません」


「ああ、それが懸命だ(駄目だ格が違う・・」


ミーシャはわざと勝敗を決する事はしなかった。それはアロルドが負けることでさらなる挑戦者を呼び込むことになり、わざとドローにすることで相手のプライドも保て、一石二鳥なのだ。


「ハミングが戻ったら猫族の所に行くニャ」


「お、おう、そうだな」


ミーシャはそう言い放つとタチアナが用意した部屋に戻って行くのだった。


「ヴァン、あなたフォークとナイフつかえたっけ?」


ヴァンフリートは狼族の館に戻ると、”カーチャン腹減った”と言い出した。確かに気がつけば既に昼を過ぎていたのだ。そしてタチアナが気を利かせ昼食を出してくれたのだ。


「うん、使えるよ!(ヤベ」


「あれ?ナイフは初めてだよね!」


「見よう見真似だよ」


「ふーん(ジト目」


ヴァンフリートは小さい手で、器用にナイフを使い肉を切り分け、口に入るように小さく切り、付け添えと一緒に食べていた。2歳ではあり得ないナイフ捌きだ。


「ワルワラさんもフォーク、ナイフを綺麗に使いますね。それなりの身分の方なのですか?」


「いえ、普通の庶民ですよ〜」


タチアナは食事の動作を観察することで、躾の度合いを見極めようとしていたらしい。ワルワラもヴァンも音を立てずにスープを飲み、フォーク・ナイフも静かに使いこなしていた。


「庶民でそのテーブルマナーなのか・・・」


「クーンでは普通ですよ〜、フィッシュナイフの使い方は難しいですけど」


「さ、魚専用のナイフがあるのか!」


「ええ、お店で食べる時に使うのですが、小骨を取るのが難しいんです。ヴァンは棒二本で器用に食べますよ」


「ボウ?棒で食事をするのか?」


そう、ヴァンフリートは器用に棒(箸)を普段から使い食事をしているのだ。


「かーちゃん、箸って言うんだよ。何回行ったら分かるのかな〜」


「そうそう、ハッシねハッシ」


「ハシだ!箸!」


「それを、その箸という物をだな、使っている所を見せてくれないか」


「分かったよ」


ヴァンフリートは食事もそこそこに済ませると、アロルドに頼み乾燥した木を削ってもらい箸を完成させて豆つかみを実演することになった。


「こうやってペンを使うように持って、ここに差し込んで使うんだ」


「うぐぐ、これは難しいな」


勿論、悪戦苦闘しているのはタチアナだ。豆をつかもうとするが中々掴めない。ヴァンフリートは器用に皿から皿に移していた。因みにワルワラも以前練習して何となく使えるようにはなっていた。


「これって使い慣れるとお料理の時に便利なんですよ〜」


「バッキ!アッ!、イテ!クッソ」


力みすぎてタチアナは箸を折ってしまうのだった。反動で豆が飛んで自分の顔に命中した!


「ほんと力で何とかしようとするからだよ」


「う、煩いわ!だがコレは頭を使うし器用になれるな」


「タチアナ様、思いついたのですが貧困層に箸を使わせることにしませんか。疫病対策にこれは使えます」


アロルドは何か思いついたのかタチアナに進言していた。


「ウム、それは確かに名案だな。費用が安いし器用になれる」


「もしかして、貧困層の方は手掴みで食べているのでしょうか」


「この様な金属の器具は高価で買えないのだ、せいぜいワンセットあるかどうかだ。木のフォークとスプーンを使っているが手で食べることが多くてな」


「それは衛生的に良くないですね。箸を使うなら硬いものは小さく切って提供することも併せて教えると効果的です」


この星の貧困層は木で作られた安価な器具、食器を使うのが普通だ。食べにくい食材などは手掴みで食べていた。そして毎回季節の変わり目になると決まって彼らから疫病が発生するのだ。タチアナはこの問題の解決策を模索していたが決め手にかけていた・・。


「他に疫病を蔓延させない手立てはあるのか」


「はい、私は医者の端くれですが防疫に関しての知識は持っています。お任せ下さい」


「かーちゃん、土足文化を止めさせると効果抜群だぜ!」


「ほんと何処からそんな情報を知ったのよ、もう!」


「なぁヴァンフリート、それは簡単なのか」


「靴を脱いで家の中は専用の靴を履くだけでもかなり違うよ、それとね・・」


元日本人のヴァンフリートは衛生観念について語りだし、ワルワラはその知識量に驚き、ウンウンと頷いていた。内容は簡単で土足はバイ菌との距離が近くなり病気を誘発させやすく、履き替える事で菌を部屋に持ち込まないと説明し、次に手を洗うことを推奨した。


「これならすぐに実行できる!ありがとうヴァンフリート」


「えへへ〜、役に立っただろかーちゃん」


「もうヴァン!私も活躍させてよ。そうだ消毒液の作り方を教えますね!」


「な〜んだ、酒を蒸留すれば簡単じゃね。美味しくないやつを使えばいいよ」


「んっ?ヴァン、お酒の美味しくないって何で知ってんの!味が分かってるってことだよね」


「知識知識、本で見ただけ!(やば〜」


我が子を今まで疑わなかったワルワラは流石に疑いの目を向けてきた。そもそもアーリーと対等に喋っている事自体おかしいのだが・・・。


「ちょっと、こっちに来なさいヴァン!」


手を引かれ隣の部屋に移動した2人。普段怒らないワルワラの表情は少しオコ顔だ!そしてヴァンフリートは問い詰められるのだった・・。


「ヴァン、色々と辻褄が合わないの。本当のこと教えてくれないかな(オコ」


「俺の名前は古木洋介だ!」※1


「古木ってだれ?」


※1 古木洋介、星団最強の主人公、古木アーレイの息子。


「まぁ、話せば長くなるんだよ。ヴァンフリートはまだ全然喋れなくてあーうーって言っているよ」


「はっ?ヴァンが2人?」


混乱マックスのワルワラに洋介は難しいことを説明しても無駄だと悟り。ごく簡単に説明を始める。


「おれって数百年先の未来から来たんだよ。時期が来たらトーチャンに設計図を渡すだけだ。そうだな、後3年位で消えるからそれまで待ってくれない?」


「わわわ、何を言っているの?」


「もう、大事な用があって、あと3年経ったら俺は消えて本物のヴァンだけになるから」


「う、うん。それならなんとなく理解できた。したことにするわ」


無理やり飲み込んだワルワラは、一旦冷静になり考え始めると顔が真っ赤に変わった・・。


「どうしたのかーちゃん」


「あなた本当は何歳なの?」


「えーっと、大学中退してガルーダに行って3年だから、22歳くらいかな」


「エ゛!私より年上?ガルーダ?なにそれ、けどいつから意識がるのよ」


「赤ちゃんだよ、だから歩くことが出来たらオムツいらなかったでしょ」


「もう、私のオッパイ見たよね!」


「だって、母乳は俺じゃなくてヴァンが欲していたから仕方ないし、今でも吸い付きたいらしいよ」


本物のヴァンフリートの意識はまだ普通の2歳児だ。早めに乳離れしたので寂しいらしい・・。


「わわわ、なんか吸わせたら浮気しているみたいじゃないのよ!」


「まぁ、意識の半分は他人だけど、ヴァンには変わりないよ。それとアーリーは知っているけど、未来の話はしないでくれって言われたよ変わるらしいね」


「そう、わかった。私も聞かないわ」


ワルワラも洋介が知っている未来を聞くことを止めた。それはアーリーが拒否した理由と同じだ。それを知ることで余計な不安を持ちたくないのだ。


「カーチャン、もう少し付き合って」


「うん、わかった。ヴァンおいで」


なんだかんだいってもワルワラは息子のヴァンのことが可愛くて、優しく抱きしめるのだった・・・。


宜しければブクマ評価お願いします~

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