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ファーストコンタクト再び

アーネストは獣人の星に向かいます

ユリエル「ブーン、キッキー」


ロレンツォ「ドーン、ガッチャーン」


「きゃはは」


「あはは」


客間の一室でユリエルとロレンツォが楽しそうにシャトルのおもちゃを使って遊んでいる。そんな彼らを優しい眼差しで眺めながら、アーリーとクレアはのんびりお茶を嗜んでいた。


ケネス「アーリー様、ラッセル様から連絡が入りました」


「アレ、ラッセルさんなんて珍しいわね。つないでくれるかしら」


「失礼します」


ケネスがテーブルの上の茶器をずらすと、埋め込まれている薄いモニターが上昇してくると既にラッセルの姿が既に写っていた。


<アーリー女王お久しぶりです。アーネスト陛下は戻られたでしょうか>


「あら、ラッセルさんお久しぶり。アーネストはまだ戻ってきてないわよ」


ラッセルはジャンプ直前、ジャンプアウトしてくる艦隊を感知していた。デルタリアに戻り報告をすませると、心配になりアーリーに連絡を取ったのだ。


<そうですか・・・、戻って来てもおかしくない時間なのですが、何か連絡は入りましたか>


「今のところはないわね。一緒に行動していたのでしょ、行方不明にでもなったの?」


<はい、アイツが殿しんがりを務め私達は先に移動したのですが、連絡が途絶えてまして>


「ラッセルさん、アーネストが行方不明なの、大丈夫なの、探しに行かないの?」


話しを聞いていたクレアが不安なのか会話に割り込んできた。表情にこそ表には出さないが、その喋る口調からはものすごく心配している様子が見て取れた。


<定時連絡を待っているのですが、次の時間に入らなければ偵察機を飛ばします>


「そ、そんな・・アーネスト・・」


「クレア冷静になって彼は不死よ、慌てるより情報収集が先よ。それとアデールには言わないでね」


「は、はい、わかってます」


「ラッセルさん知らせてくれてありがとう、そのうち帰って来るわよ。基本死なないから大丈夫よ。こちらからアーブラハムに連絡用の小型機を飛ばすわ」


<分かりました、何か情報が入り次第お伝えします>


アーリーは冷静に対処してはいたが、画面からラッセルが消えると流石に大きな溜め息を吐く。


「ふぅ〜」


「アーリー・・・」


普段絶対見せない不安の影が一瞬だけ垣間見えたが、すぐに普段の表情に変わりミーシャに指示を出す。


「連絡を待つしかないわよ、ミーシャ、サイレントバードは戻ってきてるのでしょう、飛ばす準備をしてくれないかしら」


「はいニャ、既に指示を出したニャ、準備ができればすぐに飛べるニャ」


「そう、次の定時連絡で連絡が取れないなら、アーブラハムに飛ばしなさい」


「了解ニャ!」


「ケネス、予備兵を招集、動ける戦艦を用意しなさい」


「はっ、畏まりました」


アーリーもやはり心配なのだ。しかし彼女は女王だ。これから起こるかもしれない最悪な事態に備え幾通りの選択肢が頭を過り、そのための準備をしなければならなかった。


「さて、むやみに心配しても仕方がないから。とりあえずアデールをいじりましょう!」


「へっ?」


「だってあの子が遅れて城に来た理由は床の作法が進まなかったからよ」


「アハハ、ウブなんだ。けど私はアーネストが戻るまで静かに待っています」


「それ、私には出来ないわ。暗くなるの嫌いだし碌な考えが浮かばないから」


「あのー、アーリー様、アーネスト様に何かあったのですか」


不安のオーラを感じたのか、誰かの思考を読んだのかアデールが客間に入ってきた。もう既に表情が暗くなっていた。


「貴女の能力って黒ちゃんに聞いていたより凄いわね、クレアの意識を読んだのかしら」


「はい、失礼だとは思いましたが、少し読ませて頂きました。御気分を害したのでしたらお詫びします」


軽く頭を下げるアデール、この城に来てまだ2日目の彼女は緊張が解けてない上に、悪い知らせが入り淀んだ空気を感じ不安そうに二人を見詰めていた。


「あら、気にしなくていいのよ、クレアってアーネストが絡むと結構緩くなるから」


「もう、アーリー!」


元貴族の感情を読ませない無表情と意識阻害はアーネストが絡むと綻びが出るらしい。心の揺れまでは隠せないようだった。


「アデール、とりあえず一緒にお茶をしましょう!」


「はい、ご相伴に与ります」


「ウヒヒ」


「嗚呼、アーリーに獲物を与えたちゃ駄目ね・・」


「なにか言いまして、さてアデールさん夜のお勉強はちゃんと覚えてましてよね」


「ええ、一応習得しました・・(恥」


まぁこの後、根掘り葉掘り色々聞かれ恥ずかしさのあまり、テーブルに突っ伏す彼女の未来が想像できるクレアだった。


「分かったアデール、次はあなたがやってみなさい!」


「うひゃひゃ・・もうダメ(沈」


「私でも恥ずかしいことを平気で教えるんだ・・」


「何でよ、”ご奉仕”は大切なんだからね!気分が違うのよ」


「一々、言わんでいいです!」


「アウアウアウ・・・(爆死」


スケベ女王はあくまでも快感を求めることに妥協が無いんだとさ・・。


--


「陛下、この惑星が例の獣人が住む所でしょうか」


「間違いないね、さぁ降りて生体エネルギーを採取しないと帰れないよ」


「はい、そうですね」


ジャンプアウトしたアーネストたちが目にしたのは、綺麗な海が広がり、緑が多い惑星だ。探索すると物凄い数の生体反応が出ていた。


「あの街の規模は首都かな、結構な人が住んでいるな」


「はい、一番多いですね。中央都市で間違いないと思われます」


上空から探索を行い人口が密集している都市が数箇所発見された。その中で特に多い地域を選び地表に降りる準備をすすめる。だが今回、破損の激しいエルフォードでの大気圏突入は危険と判断。無傷の戦艦に乗り換え地表へと降下を始めた。


「おお、城壁に囲まれているのか、結構な人数が住んでそうだな。周囲は農村地帯か」


「はい、少し離れた所の草原に着陸します」


「そうだね、いきなり刺激はしたくない。とは言っても轟音で嫌でも気がつくだろうけど」


アーネストが目指したのはこの惑星の中で最大規模を誇る大きな都市だ。広大な農地が広がり、その中心部には半径5キロほどの城壁で守られた街が存在していた。同じ大陸に何箇所か同じ様な都市を発見したが、この場所が一番栄え人口も一番多いので選んだのだ。


「着陸します」


轟音を響かせた戦艦は森の近くに広がる草原に着陸した。城壁の都市から20キロほど離れた場所だった。流石に農地に着陸するわけにはいかず距離を取るのだった。


「酸素濃度、特に問題ありません自然呼吸で対応可能かと、それと有毒物質は無比です。」


「ありがとう、早速降りるとするか」


「お供します」


早速、タラップを降りて地面を踏みしめる。初めて降りる惑星は流石に緊張するが、クーンと大差がない、というかほぼ一緒だ。


「さて、以外に空気が澄んでいて、気持ちがいい気候だな」


「はい、クーンの草原と同じ匂いがします。好戦的とは聞いてますが現れますかね」


「まぁ、精密探査したところ、銃火器は驚異ではないし。ゆっくりお茶でもして待とうじゃないか」


「はい、野営の準備を行いましょう。やはり大地は落ち着きますね」


アーネスト達はとりあえず仮設テントを建ててお茶の準備を始め、一時間が過ぎた頃・・。


「陛下、馬に乗り軽武装している集団を確認、到着は一時間後でしょうか」


「周囲の警戒を怠るな、接近してきても威嚇するなよ」


「了解!」


テントの中でのんびりとお茶を嗜むアーネスト。ディスティアの情報だと好戦的だと報告が上がっていたが、とりあえず会ってみないことには始まらない。そう思いながら待つしか無かった・・。


ーー


「隊長、デカイ船ですね。いきなり襲いますか」


「ああ、この前の奴らだと思うが、タチアナ様が様子を見てこいと言われた以上、むやみに襲うわけにもいかんだろ」


馬にまたがり単眼鏡で停泊中の戦艦を見ているのは、警備隊長のアロルドだ。屈強なその大きな体と艶やかな黒い毛並みを持つ狼族だ。他の連中も同じく狼だ。この世界では一つの種族単位で生活しているらしい。


「斥候を出しましょうか」


「まだだ、もう少し近づいて確認してから出そう」


「はっ!」


アロルド達は距離にして2キロ程離れた高台から様子をうかがっていた。意を決し慎重に馬を進め500m程の距離まで近づいて来るのだった。


「ん?なにか変だな」


「斥候を出しましょう」


「いや、このまま進もう」


アロルドは風下から接近していたのだが、流れてくる匂いに親近感と、何とも言えない空腹感を感じられずにはいられなかった。そして肉眼でも視認できる距離、約200先をみて愕然としたのだ。


「なん・だと・・」


その光景はまさに衝撃的だった。アーネストを中心に取り囲むように乗組員がワイワイ騒ぎながら食事を食べているのだが、多種多様な種族、そう全員獣人なのだ。ここでやっと流れてきた匂いの原因が判明し、アロルドはぽかんと立ち尽くしていた。


「陛下、結構な距離に近づいて来ましたよ」


「ああ、構わん奴らの武器じゃ誰も掠り傷一つ付けられんよ」


「まぁ、そうですが放置ですか」


「お腹が空いているならよだれを垂らしてる頃か、攻撃したければ発砲してるよ」


「なんともまぁ、その堂々とした態度王様ですね」


「職業王様だからな」


「あはは」


アーネストは近づいてくるアロルドの事は全く気にかけてなかった。それどころか立ち上がり呼ぶのだった・・。


「おーい、一緒に飯でもどうだ!」


「なん、だと(ジュル」


アロルドは涎を垂らしながら、驚愕の表情を浮かべていた・・・。


「た、隊長!涎出てますよ!」


「ああ、いかんいかん、つい美味そうな匂いだったのでな」


すでに胃袋を掴まれていたアロルドだった・・。


宜しければブクマ評価お願いします。

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