表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
88/431

ディスティア再攻撃

高性能戦艦ヴァレリアを沈めに行くアーネスト達連合艦隊。

空爆されたディスティア国内の被害は生体エネルギー製造工場を含め、保管していたエナジーボールの殆どを失ってしまった。救いだったのは補給に向かうため貨物船に搭載された約数百個が無傷だったことだった・・。


「総統代理、被害報告が上がってきました」


「嗚呼、そんな報告は聞きたくない!それより速く戦艦の勇姿を国民に見せるのだ!」


今回の空爆で大戦果を上げた唯一の戦艦ヴァレリアが敵を撃退したと報道され、何とか軍の面目が保てた。しかし現政権の支持率は少し上昇するに留まり、解決策として総統選の時期を早めるしか無い状態だ。そして議会は開かれる事になった。


議長「満場一致でディスティア帝国議会は総統選挙を早める事に決まりました!」


「おー!」


「但し、議会解散は前総裁任期満了日の来月9月となります。これにて議会は散開します」


「わー!」


「総裁選が始まるぞ〜!」


今月末告示、来月25日に予定されていた総統選挙は、緊急提案を受け翌日告示、月末投票となり、来月1日に新総裁が決まる事になった。


ーー


議会が終了したハインツは議会棟内にある諜報部政務官室を訪れていた。


「ねぇ、あのネタはいつ公表するの?」


「明日一部を公表して先に選挙に出ない重鎮を一気に潰す!」


ルッチラが集めていた汚職議員の動かない証拠は告示後の夜、一斉にばら撒くつもりだったが、地位を利用して隠蔽や揉消しを行う重鎮や古参議員を先に潰す作戦に変更した。


「あれれ、忙しくなるね」


「俺はもっと忙しいよ、立候補締め切りまで頑張らないと」


ハインツは若手を中心に絶大な人気を誇る。邪魔者は古参、重鎮議員だ。そもそも帝国議会には野党が存在しない。派閥やグループは存在はするが力関係で全てが決まるのだ。


「切り崩すつもりでしょ、手伝うわよ」


「君の情報だけで十分だ。いざとなったら連絡するよ。それより軍の動きを教えてくれないか」


「いいわよ」


ハインツは軍部にも協力者は存在するが、細かい動きを掴むなら諜報部を頼った方が早いのだ。


「クーデターの情報が無いから大丈夫だとは思うけどな」


しかし明日、大混乱になるとは知る由もなかった・・。


ーー


<<星団連合、新型戦艦ヴァレリアが撃退する>>


出典ディスティアジャーナル。


ミランダ経由でディスティアジャーナルの速報が伝えられた・・。


「あれれ、俺たち撃退されている事になっているぞ」


「あはは、そうだな。逆に考えればこれしか勝ったと言えないんだろ、だとすれば国民の支持率が悪い筈だ」


アーネストとラッセルはエルフォードの貴賓室で軽く盃を交わしていた。そこにミランダから生の情報が緊急回線で投げ込まれたのだ。


「だがアーネスト、ヴァレリアが正式に就航したらしいぞ。この写真は国民に向けてのアピールだ」


「分かっている、だが逆にチャンスだ。これを見ろ艦隊がちゃんと編成されていない」


アーネストは紙面を見る限りディスティア軍内部はまだ混乱していると考えていた。それは数枚の写真から見て取れた。ヴァレリアを取り囲むのは駆逐艦ばかりなのだ。お披露目の際は必ず20隻以上の戦艦を率いてパレードを行うのが通例らしい。


「なぁアーネスト、明日の作戦エリアスも参加するんだろ」


「アーブラハム軍は最後の一手、というか彼の兵器が頼りだ」


「あれか、あのレールガンか、アレは強力な武器だな。それで作戦は?」


「そんなに複雑じゃない。俺たちが注意を引くだけだ」


アーネストが考えた作戦はクーンとデルタリアの艦隊を2つに分け離れて待機。新型艦ヴァレリアは1隻だけだ。艦隊中央にドンと配置し、周りを戦艦が取り囲む陣形を展開しながら挟撃を恐れ警戒しながら進軍するはずだ。そして全面に集中させその隙きにヴァレリアの側面にアーブラハムの艦隊を送り、あの強力なレールガンを使い速攻で落とすだけだ。


「アーネスト、向こうが二手に分かれなかった場合どうする、損害が大きくなるぞ」


「それはやむを得ないな、そうなったら速度差を利用して敵の隊列を縦に伸ばさないとアーブラハム艦隊が犬死するだけだな」


今回、一番可能性があるのは数の多さを活かし戦う戦法を選択することだ。それと厄介なのが防衛用浮遊砲台だ。未だ健在な砲台が多数残っており、誘い出すにしても航路が限られるのだ。


「浮遊砲台が厄介だな。それを回避しつつ隊列を長くさせるのは至難の業だぞ」


「それは分かっている、今回は無理をしてでもあの戦艦だけは沈めないとアレは後々厄介になる」


アーネストはミランダからヴァレリア建造に関する情報の提供を受けた際、建造費が高額過ぎて問題になり一隻だけ作った特別な試作艦だと知り、尚の事破壊しなければならないと考えていた。


「確かに厄介だな、だが建造費が高くてまだ作れないだろ」


「今回は撃退した象徴として扱われたんだぞ、高額な建造費でもそれを理由に不満を抑えられる。アレだけは絶対に沈めないと」


ディスティア軍としては高価な建造費だが、配備すれば勝てると判断するのは当然だ。だからこそ沈めればそうそうには作らないとアーネストは考えていた。


「アーネスト、何なら旗艦2隻で突撃して挟んで攻撃するか?」


「あはは、確実にどちらかの船が沈むことになるぞ」


「冗談だよ、今回の作戦は流石に不安になるな」


流石に今回は不安定要素が多く、二人共慎重にならざる得ないのであった。


「陛下、出発準備が整いました」


「さてラッセル、アーブラハムの夕食でも食いに行くか」


「そうそう、意外と旨いよな」


「そりゃ、エリアスが味にこだわりを持っているからな」


「今回はクレアは参加しないのか?」


「アーリーに止められたんだよ、子供を作りたいなら被爆量を抑えなさいってね」


「なるほど、そりゃそうだ」」


戦艦自体は被爆しない構造なのだが、軌道上で乗り込むときや格納庫で少なからず被爆してしまうのだ。とは言え地上より少し高い程度だ。アーリーは万が一を考えて止めたのだろう・・・。


「さぁ、行こうか!」


そして向かったアーブラハム軍専用宇宙ステーション。到着して即座に作戦室でミーティングを開き明日の作戦のすり合わせを行い、英気を養うために食堂に移動したのだが、各自の席の間に空席が設けられ何やら怪しい展開を見せていた・・。


「こらエリアス、明日出撃だぞ」


「はい、アーブラハムの美女で身を清めてください!」


「前祝いですか!」


美女「アーネスト陛下はどちらがお好きですか?」


「とりあえずお話ししませんか・・・なぁラッセル君も・・」


夕食会が終わり懇親会に突入すると同時に、お綺麗所のお姉さまたちが入場。指揮官クラスには一人ずつ、アーネストとラッセルは両手に花の状態だ。お持ち帰りしたらクレアに報告して好きあらばと考えているのかエリアス?。いや多分ご好意だろう。うんそうだ。だが明日は戦いだ、お話だけしてそれぞれの船にも戻ると決めたのだが・・。


「   」


「あれ?アイツどこに行きやがった!」


「ラッセル様はすぐに個室に行かれましたよ!」


「なんだと!あっ、そうだ、スージーは2人目を妊娠中だ!あの野郎!」


ラッセルはここぞとばかり悟られる前に雲の様に静かに消えていた。まぁ咎めるつもりはないが、ひと声くらい掛けて離席してほしかったな、とアーネストは思うのだった。


ーー


「ガン、ガン、ガン」


爆炎が収束するとヴァレリアの前方、中央、後方の装甲板に小さな穴が3箇所空き、船体が膨らみ始め裂け目からオレンジ色の炎が吹き出した。


エリアス「このまま爆沈です!核融合を開始しました。成功しました!」


エリアスの言うとおり、ヴァレリアは内部から崩壊するように炎が艦全体から吹き出しバラバラに崩れていった・・。


<エリアスさすがだ、ここまでの威力とは>


「はい!弾頭を急遽改良して、艦内で核融合を起こさせました」


エリアスは急遽、ヴァレリアを3発で完全破壊する弾頭を作ったのだ。もちろんゼロから作るのではなく、弾頭後部に戦術用小型水爆をセットしたのだ。原理は簡単だ。弾頭前方は対戦車砲と同じくシールドに当たると高温高圧が発生し耐えきれず船体に穴が空き、既に作動した水爆が艦内に入って核融合を起こし爆発したのだ。


<今から突撃を行うので逃げろよエリアス>


「ジャンプシーケンスが終わるまでお願いします!」


エリアス達アーブラハム艦隊を援護するため、クーン艦隊は突撃していく・・・。


ーー


30分前。ディスティア本星近くにジャンプアウトしたクーン、デルタリア艦隊。


「アハハ、相当混乱しているらしいな」


<こら、アーネスト笑ってる場合じゃないぞ>


ヴァレリアは大艦隊を率いて応戦すると思われたが、何と20隻にも満たない艦隊だった。現在位置はディスティア本星から100万キロほど離れた場所を哨戒活動中だ。連合艦隊出現位置はディスティア艦隊側から見て正面左側にアーネストの艦隊、更に左奥のずっと離れた地点にラッセルの艦隊が待機中だ。


「エリアス、悪いが出番が早まるぞ。あはは潰してやれ」


エリアスは遥か後方、恒星圏外、レーダー索敵外で待機中だ。


<了解しました、座標が届き次第、即座に行動、砲撃開始します>


うん、いちいち説明しなくても先読みできるエリアスは本当に楽だ。そしてアーネストは笑いながら突撃命令を出すのだった。


「全軍突撃!ラッセル、敵艦隊左舷方向に進軍する、途中右旋回したら右舷側にジャンして挟撃してくれ」


<了解!>


「エリアス、作戦開始したぞ」


<ほっほう!了解!>


ノリノリエリアスだ、レールガンは即座に打てるだろう。アーネストの艦隊は25隻だ。ヴァレリアに向けて突進コースを取りつつ旋回の時を待っていた。待機しているラッセルはジャンプのタイミングを伺っていた。近距離ならば10分もすれば再ジャンプ出来るだろう。


「ヴァレリア主砲エネルギー充填中!射程距離に達しました」


「砲撃開始、ヴァレリアに集中攻撃!」


「了解」


「速度このまま、距離を保ちつつ砲撃を続ける」


命令とほぼ同時に両軍の素粒子砲が火を吹き、遂に海戦が始まった。敵味方共にシールドで被害なし。アーネストは時間稼ぎのため様子見をしていたが、速度を上げる指示を出し一定の距離を保つように指示を出した。


ーー


ディスティア軍目線。


「クーン軍、左舷側に突っ込んきます」


「左舷だと、これは好都合だ、追うんだ!これなら挟撃されない大丈夫だ!」


「了解!」


ヴァレリアに乗るラウールはラッセル達との艦隊との距離があり、左旋回すれば惑星の影に入り挟撃は免れる。そしてアーネストは本星との間を爆進中だ、チャンスを逃さないとクーン艦隊を追う指示を出した。


クーン艦隊目線。


「陛下、ディスティア艦隊が旋回を開始しました!」


「ヴァレリアの向きを注視、直線コースに入る直前に右急旋回だ、大気圏をかすめながら距離を取りつつ離脱する」


「了解!」


アーネストの艦隊の後方を取るべく動き出したディスティア艦隊の戦艦はヴァレリアと同調し旋回していた。意外にも回頭性は悪くないが、少し大きな軌道を描きながら、綺麗に陣形を崩すこと無く回り込んで来る。


ディスティア艦隊目線。


「ラウール司令、スクランブル対応の戦艦は20分弱で作戦行動に移ります」


「こんなに早く再攻撃を行うなんて聞いてない!せめて今週末ならこの倍の艦隊を組めたはずだ」


戦艦ヴァレリアはお披露目が終わると、無傷の戦艦を引き連れ周回軌道上に集結していた。だが暗殺された指揮官の船は遺品回収、士官の再登録などで足止めを喰らい。数が揃えられなかったのだ。


宜しければブクマ評価お願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ