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レオの過去とヴァンフリート

ワルワラの出生の秘密がわかります。

ワルワラを見送ったレオは感傷に浸り少し寂しそうだったが、娼館に戻ると振り切るかのように目つきが鋭くなった。


「戻ったぞ、問題はないか」


「はい、新人の子も緊張もせずに部屋に消えていきやしたよ」


部下の彼は新人の世話をしているのだろうか、彼女たちが部屋に消えていくまで見守っていた。


「そっか、何とかなりそうだな」


「はい、レオ隊長のお陰で彼女たちは生き生きと仕事をしています。ありがとうございます」


レオに頭を下げる部下は実は黒豹族と豹族のミックスだ。少し毛並みが暗いので一発で見分けができる。それとここの女の子の約半分はミックスだったり、孤児だったり訳有の女の子を引き受けている娼館だ。勿論、性奴隷などではなく、違法な”個人売春”を行っている彼女らをレオ達が説得して、安心安全なこの場所に連れてくるのだ。


「いいよ気にするな好きでやってるだけだ、彼女達だって好きで不幸になった訳じゃない」


「だけど、ワルワラちゃんみたいに幸せになるミックスもいるんですよね」


「ああ、彼女もミックスで大変だったろうけど、幸せそうだったな」


「なにせアーリー様に直接忠誠を誓った初めての軍医ですから、それもミックスですよ」


色々と話題を振りまくワルワラのお陰で、ミックスの立場が少しずつ良くなって来たらしい。厳しい表情だったレオからは少し笑みが溢れるのだった。


「今更、親父なんていえねーよな・・(小声」


部屋の隅で静かに腕を組み思考を巡らすレオは現在狼族の長だ。もちろん実力で勝ち取って誰もが認める長だ。そしてワルワラの母親マリーと出会ったのは18年前に遡る。


その時の彼は彗星の如く現れ無敵無敗の次世代族長候補、”彗星のレオ”と呼ばれていた。数年に一度行われる族長選考会予選会でトップの成績を収め意気揚々と仲間と街に繰り出しテラス席で酒を酌み交わしている時、隣のテーブルに座っていた二人組の女の子の一人に声をかけられた。


女の子「あら、今日はなにか良いことが合ったのですか」


仲間「族長選考会の予選で快勝したんだよ、なぁレオ」


レオ「おう、俺は族長になるのが夢なんだよ」


「へぇ〜、狼族の族長争いって熾烈だと聞いてますけど〜」


声を掛けてきたのは二人組の一人で黒い毛並みの犬族の女の子だった。レオの仲間達は強そうで皆いい男だ。その女の子は気になって声を掛けたのだろう。と言うか遊び慣れている感じだ。連れのミルキーホワイトの毛並みの女の子はやり取りを聞いてニコニコ微笑み、つものことだと思っていたのだろう。


「そうだよ、だから戦勝祝いだ、なぁ一緒に楽しもう」


「うふふ、それは楽しそうですね」


「もうヘルガ、飲みすぎないでね!」


マリーはいつもの事だと思い可愛らしく軽く肩をツンツンして注意していたが、それに気がついたレオが彼女を一目見て気に入ってしまったらしい。


「か、可愛らしい・・このミルキーホワイトは反則だ」


「あー、この子は奥手だからね〜、遊んでくれないよ〜」


「もう!ヘルガ!」


「俺はレオだ!、よ、よろしくな」


「マリーよ(恥」


ふとした出逢いがきっかけになり知り合った二人は、急速に親密な関係までに発展して行ったのだ。そして半年後・・。


「レオ、わたし赤ちゃん出来たみたい・・・」


「おお、俺の子が出来たのかありがとうマリー」


だが、喜ぶレオとは正反対に、マリーの表情は芳しくなかった・・。


「けど・・貴方は狼族よ、それももうすぐ族長になるんでしょ」


「そうだ、だから皆を説得する」


「そう言ってくれるのは嬉しいけど、私のために争わないでね」


狼族に限らずこの時代は多種族との間に出来た子供を正式に認めない風習と言うか鉄の掟が合ったのだ。レオは認知させるために駆けずり回り説得をしたが結局無駄だった。そして彼は生まれた子供を隠し子としてマリーに託すしか無かった。


「私のために怪我までして・・・もうやめて・・」


説得できずマリーの元を訪れたレオは顔に包帯を巻き、いたる所切り傷だらけだ。説得のさい乱闘や殺し合いにまで発展したとひと目で分かった。


「マリーごめん皆強情で話にならん。力でねじ伏せても従おうとはしない」


「あなたがこれ以上傷つく事は望んでないの。だからもう会わない」


「マリー・・」


「あのね、私一人で育てるから心配しないで。あのね珍しいんだよ一人だって」


「すまん・・」


とは言えレオは子供が生まれ数年間は頻繁にマリーの元を訪れていた。やはり我が子は可愛いのだろう。しかし別れの歳、毎回悔やむ彼を見て彼女はとある決断をした。


「レオ、もう会わないほうが良いと思うの。族長だったら尚更よ示しがつかないわ」


「養育費は送るから」


「うん、それは助かる」


いつかこの時が来るのだろうと考えていたレオはマリーと未だ小さなワルワラを抱きしめ、後は頼んだと言い放つとそのまま部屋を出ていくと二度と来ることはなかった。


「隊長、街の見回りに行きますか」


「そうだな、個人商店には危ない奴らが付きまとうからな」


そう、レオは不幸な女の子達を更に不幸になる前に救う活動をしていたのだ。若くして犯した過ちを償うために・・。


--


「満足してくれたかな」


「アーネストありがと、凄く良かったよ」


クレアとアーネストは激しく求め合い同じタイミングで果て、2人とも抱き合い繋がったまま余韻を味わっていた。


「なぁ、クレアはまだ子供はほしく無いの?」


「うーん、ユリエルのお世話の手伝いしてると欲しくなっちゃうね。けどもう少し後でいいかな、歳が近いと喧嘩するでしょ」


「相変わらず細かい気遣いだね。俺は欲しいけど君の判断に任せるよ」


「ほら、アーリーの相談に乗ってあげて、もう、私はお腹いっぱいよ」


「悪いねクレア、行ってくるよ」


「うん」


優しくキスしてクレアに送り出され部屋を後にしたアーネスト。そして部屋に入るとユリエルの側で寝顔をながめながら横になっていたアーリーがゆっくり起きて、微笑みながら手を取り隣の部屋に入っていく。


「ねっ!可愛らしい寝顔だよね!」


「最近はヤンチャで憎たらしいけど、寝顔は格別だね」


「あのねアーネストが出撃した後、祠に連れて行ったの、単刀直入話すと加護が付与されて無いのに予言出来るそうよ」


「えっ?マジ、凄いね」


「うん、自分を守るためって言ってたよ」


「ユリエルは能力といい、普通じゃないね」


「うん、その事なんだけど・・」


急に言い淀むアーリーの表情は暗い、未来を知っているのか予見なのか芳しくは無かった。


「何か感じるのアーリー」


「ユリエルの未来が見えないの、わたし予知は得意ではないけど見えないの」


黒の精霊「それは彼の能力の影響だ」


いきなり現れた黒の精霊はユリエルの能力のことを知っているようだった。


「詳しく教えてくれないか、ユリエルは予知能力を持っているんだろ」


「同じ時期に近くで生まれた子供も持っている。だが格が違いすぎる」


「はっ?ナニソレ」


「まさか、ディスティアの彼女?」


数日違いで生まれたロレーナの長男の名前はロレンツォ。現在は母親と宿舎で安全に過ごしている。 勿論アーリーの計らいなのだがほぼ毎日、城に呼ばれユリエルの遊び相手?仲良く一緒に遊んでいる。


「ワンコだ」


「ねぇそれってワルワラじゃないの?彼女も数日違いだったはず」


「ウラッツェンは何も言ってなかったけどな・・」


「人間の方はすごい能力だぞ」


ワルワラはアーリーと数日違いで三つ子を無事出産し、現在は育児休暇中だ。生まれてきたのは犬族の男の子と女の子、名前はラブロフ、アマイア。もう一人が人間族のヴァンフリートだ。


「ラブロフ、アマイアご飯よ〜」


「んー!」


「もう!」


「仕方ないよ子供だもん」


ワルワラが二人を呼ぶがキャッキャと遊びに夢中で生返事だ、一方ヴァンフリートは既にテーブルに座り勝手に食べていた。


「ヴァンはほんと頭いいよね〜」


「そうだね、ねぇママ魚を食べたいな」


「へっ?」


流暢にワルワラと当たり前のように普通に喋るヴァンフリートは、一歳の時、歩き始めた途端オムツを脱ぎ捨て1人でトイレを済ませ、気がつけば普通に喋っていた。


「とりあえず塩焼きが食べたい」


「わ、わかったよヴァン、今晩たべようね!」


そのヴァンは箸が無いと知るや太めの串を上手に使い離乳食を食べ始め、教えてない食材を食べたがり、既に文字が読めるのか勝手に本を読んだりするスーパー2歳児だ。


「あともうミルクはいらないから」


「え〜、あんなにママのオッパイ飲んでたのに〜」


「”ママのは”卒業するわ、2人にタップリ飲ませていいよ」


「う、うん、何か寂しいな〜」


ヴァンフリートは最近胃腸が適応し始めたのか大人と同じものを食べれるようになった途端、ミルクを欲しなくなった。普通ならまだ母乳を飲んでもおかしくない歳なのだが、キッパリ断りを入れてきた。


ヴァン「乳離れだよママ(いや流石にもういいや、授乳はチョット違うわ」


「ヴァンフあしょんで!」


「アマイア後でね、ママとお話し中なの」


「いや!あちょぶの」


アマイアは女の子だから喋るのは早いとはいえ、まだまだ辿々しい。しかしヴァンフリートは男の子だ。普通はまだ喋れないが余りにも流暢過ぎる。何か変だ・・。


「もう、ご飯食べなさい!」


「はーい」


「ありがとう、ヴァン」


ヴァンフリートは二人を椅子に座らせ、ご飯を食べさせていた・・。


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