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差別

戦闘が終わり、あの二人は何処へ

<アーネスト陛下、我等の力を試して頂けますか!>


画面いっぱいにムサ苦しい顔が映り、そう話すのはフォルトゥナート特殊部隊隊長だ。やる気が漲り今にも泳いでエイナルの船に行きそうだった・・。


「わかった、指揮官の船に乗り込んで連れてきてくれないか。強襲艇で合流しよう」


<了!>


今回ラインスラスト軍は練度が少し足らず、強襲艇とミサイル駆逐艦は集合地点で予備隊として待機していたが隊長は血が騒ぐのだろう。機甲歩兵ユニットに乗り込んで颯爽と船を走らせていた・・。


「接岸確認よし!」


強襲艇はエイナルの戦艦に横付けし、歩兵ユニットを後部格納庫に滑らせ中に入っていった。


「アーネスト陛下から聞いている、”万歳”(自爆)は無駄だからよしてくれよ」


「ああ、そのユニットは爆風に耐えれるのだろ、強そうだな」


「当たり前だ、自爆なんぞ屁の突っ張りにもならん。ガハハ敵の前じゃ初のお披露目だな」


エリアスが作った試作機をベースにラインスラストは独自の改良を施していた。セラミック多重装甲をベースに、ヘルメット型マルチディスプレイを採用したことで観測窓を省略。乗務員の生存率を大幅にあげ、武装はガトリングガンからレーザー速射砲、50口径狙撃銃など多様な武器を選べ、近接戦から後方援護までこなすマルチタイプへと激変していたのだ。あのディスティア軍名物の万歳自爆などでは傷一つすらつかないのだ。


「我軍にはその様なユニットはないな」


「ふん、無駄に死なせたくないんでね、さぁ、大人しく付いてきて貰おうか」


エイナルはフォルトゥナートとのユニットをじっと見て大人しくしていたが、後ろから士官らしき人物が爆弾を抱え走ってきた。しかいパン!と乾いた音が後方から響くと額に小さな穴が空きバタンと倒れるのであった。高性能な人感センサーを搭載しているので隠れて走り込んでも丸見えなのだ。


「ほんとアフォだな」


信管が作動していたので、倒れた士官を急いで宇宙に放り出すと数秒後ボンと爆発して消えていった。


「クッソ!」


そしてエルフォードに乗せることなく強襲艇の会議室で、エイナルと面会を行うアーネストは、テーブルを挟んで自己紹介を始めた。


「私はクーン精霊王国、国王アーネストだ。貴官の名はディスティア軍、エイナル中将でよろしいか」


「ああそうだ、若い王様なんだな君は。それにしても動物が部下なんだ」


今回、クレアは士官の1人として後ろに控え、周りは獣人の警備兵で固めていた。


「クーンは獣人の国だ、人間と大差ないが多少個性が強いかな。さて、君達を捕虜にするつもりはないが、戦艦1隻は頂くつもりだ」


「4500名と戦艦1隻か悪くない取引だ。だが俺の評価は最悪になるがな」


自分の評価が落ちるより乗務員の安全を優先したエイナルは即座に決断し、一方、アーネストとしては最新型の戦艦を捕獲し最新情報を得たいのだ。多少相手は不満が残るだろうが両者の利害が一致した。


「エイナル中将は話が早くて助かる。次期総裁が決まったら伝えてくれ、こちらとしては戦争を望んでないとな」


「ハン!本星空爆しといて戯け(たわけ)た事を言いやがって」


「悪いが先に手を出したのはそちらだ今回は報復と思ってくれ。一応、攻撃目標は吟味し一般市民に対しての被害は少ないだろ」


「まぁそうだな、だが次は負けん」


「話は終わりだ、とっとと明け渡して帰れ」


面会して20分ほどで話し合いは終了した。エイナルは機甲歩兵の監視下の元、戦艦を明け渡しディスティアに戻っていくのだったが、ラッセルがあることを思い出した。


<なぁアーネスト、偵察艦の二人は回収したのか?>


「いや、俺は知らんぞ。おい、誰か回収したか?」


「いえ、惑星の周りを周回していたのは確認しましたが、高度を下げて以降観測していません」


「あいつらの功績があってこそだったからな、回収してやらんと」


「陛下、距離12万キロ、左舷方向高速で動く物体を感知!あの偵察艦と思われます。このままのコースですと衛星と衝突しますね(笑」


「ありゃりゃ、結構ボコボコになってますね」


クレアが主砲の照準を合わせるとモニターには壊れてボロボロの偵察艦が映し出されていた。艦隊の左舷方向を恒星圏外に向かってゆっくり回転しながら突き進んでいた。悪いことに作戦モニターには衛星に衝突90%の文字が併せて表示してあった・・。


<あいつら等相当悪運が強いな>


「あはは、だれか迎えに行ってやれ」


「了解!」


今回の作戦の一番の功労者のルイジとペイジはこの後無事に回収。格納庫で拍手喝采で迎えられたが経過報告を聞くとラッセルは頭を抱え、アーネストは大笑い。怒られると覚悟していたようだが、結局独断の判断が成功に結びついたという事で評価され、デルタリアに戻ると勲章と報奨金を貰い、更に昇進が決まったのだった。


「シャトルが買える!」


「家の頭金が増えた!」


フラグを立てたが無事に回収したようだ。二人は満面の笑みを浮かべていた。しかし・・。


「軍機違反については大目に見てやるが、詳細なレポートを提出するんだ!」


二人「喜んで!」


「すごいシンクロ率だな・・」


相変わらず綺麗にシンクロ敬礼をアーネストに向けてする二人だった・・。


--


エドガーの急死から始まった混乱は、空爆を経てさらに悪い方向に向かっていた。クーデターこそ起きなかったが、エドガーの配下のほぼ全てが暗殺され、ついには帝国議員も狙われる始末だった。


「エイナル中将、なんとも無様だな」


エイナルはディスティアに戻ると即座にエセルバートに呼び出しを食らった。しかし超不機嫌だった・・。


「エセルバート総統代理、お言葉ですが彼の判断がなければ、更に被害が大きくなってました」


「ルシンダ君、今回の空爆に関しては君にも責任をとってもらおうじゃないか」


戻ってきたエイナルは褒められるどころかエセルバートに詰め寄られ、終いにはルシンダに全責任を追わせようとしていた。


「エセルバート総統代理、責任を取るのは私たちではなく、クーデターを恐れ司令本部に命令をだした貴方ですよ」


「総統代理に対してその発言は不敬だ!身分をわきまえろ!」


真意を突かれたエセルバートは激昂し顔は真っ赤、大きな体を揺らし喚き散らしていた。だがエイナルは今回のミスの全ては命令を出した彼にあると確信していた。


「状況を冷静に分析して頂けませんか。間違いなく今回のことで議会から突き上げを喰らい、下手すると辞職ですよ。それに軍が協力して何回暗殺を免れたと思っているのでしょうか」


「うぐぐ・・ではどうしろと言うのだ!」


「政治に疎いので的確かどうかわかりませんが、速やかに国民に対し謝罪し国内を安定させてください。それと艦隊の再編成を急がないと、またアーネストが攻撃してくる可能性があります」


エイナルの強気な発言は確かに的を得ていた。それを聞いたエセルバートは落ち着きを取り戻し腕を組み悩み始めた。


「エセルバート総統代理、新型艦ヴァレリアが星団連合を蹴散らし撃退したと報道するのが良いでしょう。その後会見を開き謝罪し速やかに総統選挙を行うと表明してください」


「くっ、このまま総統の椅子には座れないか、三日天下だな」


「しがみつくと間違いなく殺されてしまいますよ」


「ふん!ヴァレリアを稼働させろ、勇姿を見せれば少しは落ち着くだろう」


こうしてヴァレリアが稼働する事になったが、艦長が不在、というかエドガーが決めてなかった。


「総統代理、艦長が決まってません」


「キミがやればいいだろう」


「いえ、戦艦を奪われた今の私の評価は最悪です。他の士官を指名して下さい」


「ふむ、ラウールを呼べ」


「お言葉ですがヴァレリアを彼に任せるのでしょうか」


エセルバートはここで子飼いの士官ラウールを指名した。自分の影響力を少しでも軍部に残したかったのだろう。


「彼は士官だ問題ない。俺が信頼できるやつはほかに知らんから」


「お言葉ですが、彼は・・」


「エイナル中将、気持ちはわかりますがここは控えて」


エイナル的には経験が足りてないと判断し、助言を出そうとするとルシンダに止められた。


「わかりました」


さすがのエイナルも人事権を持っているエセルバートにこれ以上文句は言えなかったのだ。


ーー


「なんだ、これは獣なのか・・・」


ヴァレリアの砲撃で爆散したクーンの戦艦はバラバラになりながら地上に落下。現在、現場検証が行われている。そこで検視官が見たものは士官服を着たクマ族の遺体だった。ほとんどの乗務員は一瞬で爆風か高熱に晒され即死、原型をとどめていなかったが、艦橋内の椅子に座りシートベルトをしていた副官は奇跡的に形を留めていたようだ・・。


「戻ってきた捕虜の報告では数種類の獣人が存在し、人間たちと普通に会話していたらしいです」」


「ディスティア帝国は獣に攻撃されたのか!」


「姿はそうですがこの服は士官用ですよ、幹部ということでしょうか」


「ゆ、許せん!そんなこと許せるわけがないだろう、動物だぞ!」


ハインツ「ふむ、なぜそこまで君は激昂するんだ」


検視官に質問するのはハインツだ。諜報部から連絡が入り墜落現場に見学に来たようだ。


「動物だぞ、見ろコイツはクマそのものだ。これが服着て喋って攻撃してきたんだぞ」


怪訝な顔をしたその検視官は遺体を足先で蹴っていた。空爆され怒っているのか、そもそも人種差別主義者なのかわからんが、獣人の存在が不快らしい。


「君はフェデラリー人も嫌いなのか」


「同じ人間だがゴツゴツとパーツがでかい、我がディスティア人とは大違いだ!」


「まぁ、そうだが・・・(これは使えそうだな」


「君は腹が立たんのか、為政者なんだろ愛国心は無いのか」


愛国心が強い検視官の言葉を聞き、この時ハインツは人種差別を使い、帝国国民の意識を1つに纏め上げられると感じたのだ。


「ふむ、私は愛国者だ。もしかしてアーヴィン王国は似た顔立ちだから気にならんのか」


「アーヴィンの血が入ったディスティア人もいるが見た目の違いはない」


「まぁ、DNAもほぼ一緒だしな」


「頼むから獣と仲良くしないでくれよ」


そう言い放つと、嫌々仕事に戻って行く検視官だった。


宜しければブクマ評価お願いね!

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