始まったディスティア空爆作戦・・。
空爆が始まります。
同じ頃、司令本部に集められていたエイナル達の不満は絶頂を迎えていた。
「ルシンダ提督!少なくても戦艦10隻の小艦隊を編成して、本星の防衛任務にあたらせないと」
「エイナル、落ち着くまでもう少し待てないのか。それより誰がこの帝国を攻撃してくると言うのだ」
そう話すのは柱の下で働いていたルシンダ総指揮官、現在は念のため護衛を3人伴っている。だが彼女は現場からの叩き上げで実力もあり部下からの信頼も厚く、狙われる事は無いと思われていた。
「確率の問題といいましょうか、私が敵でしたらチャンスとしか思えません」
「まぁ確かに、普通に考えればチャンスだね。わかった、信用出来る艦長を連れて防衛任務に行きなさい」
「ありがとうございます!」
エイナルは敬礼をすると即座に10名の艦長の名前を出し、足早に駐機場に向かって行くのだった。
副官「エイナル指令、本当に攻めて来ますか?考え過ぎでは無いですか?」
エイナル「あのアーネストなら情報を掴んだら確実に来る!間違い無い!」
副官の甘い見通しは、本星を攻められた事がない故の判断だった。だがアーネストの対応能力を冷静に分析していたエイナルには脅威と映っていたのだ。
「ですが、早期哨戒レーダーは無反応ですよ、ほら見て下さい」
副官はタブレットを弄り、早期哨戒レーダーのリヤアルタイムマップを見せた。普段なら数十隻以上の戦艦や貨物船が映るのだが、叛乱を恐れたエセルバートが宇宙軍に対し活動停止命令を出したため、恒星圏外を哨戒中の駆逐艦しか映ってなかった。
「油断は禁物だ、スクランブル発進だ!」
「了解」
足早に駐機場に向かったエイナルを乗せたシャトルは、急速に高度を上げていくのだった。
ーー
ディスティアでは早期警戒監視業務、艦船の誘導など本星に近づく艦船の航路を指示する管制塔が数カ所存在する。それは本星より少し離れた位置の準同期起動を回る大型宇宙ステーションだ。重力を発生させるためだろうかゆっくりと回転している。
「識別コードが古い偵察艦が何でこんな所にいるんだ?」
「さぁな、指令本部に問い合わせしないと、これ以上はわからん!」
その管制塔に勤務する二人の職員は、古い認識コードのまま侵入してきた偵察艦をモニターしていた。通常ではありえないが船体番号以外表示されず、本星の司令本部に問い合わせを行おうとしていた。
「全くだ、士官がいないと詳細データが見れないのはヤバすぎるよな」
管制官達は表示された偵察艦の詳細が出ないモニターを見て怒っていた。通常、士官が滞在中にログインすれば、詳細が見れるのだが、艦船データは機密情報扱いのため責任者が不在だと閲覧できないのだ。勿論出来ない理由はクーデターを恐れた司令本部が全員呼び出していたからだ。
「とりあえず呼びかけて確かめよう」
「ああ、そうだな」
<こちらディスティア管制宇宙局、貴官の所属と名前を述べよ>
管制官が対応を考えていた頃、二人はCICの中で何やら操作していた・・。
「わわわ、ルイジ来たよ、管制官から来たよ」
「慌てるなペイジ、作戦通りにやれば大丈夫だ!」
「うん」
ペイジは無線機のスイッチを入れ返答しようとしたが、何故かAiに拒否された。
Ai「リモートモード中は応答出来ません。マニュアルに切り替えるか、リモートを遮断してください」
ペイジ「はっ?ナニソレ」
ルイジ「ほらシャトルだよ」
「ああ、そういうことか」
「ねえ、やばくいない?」
「そうだね、撃っちゃえ!」
「うん、ポチ!」
ルイジは対艦ミサイルの発射ボタンを迷わず押すが、Aiが無情に状況を伝える。
Ai「リモート中は発射出来ません」
「ギャー、早く早く!」
「もうルイジはうるさいな〜、これでロックオンすれば飛んでくよ」
ペイジがコンソールを弄り回しリモート解除、操作権限が戻り最初に設定したロックオンマーカーが画面いっぱいに映し出された。その目標は現在位置とは反対側にある防衛用浮遊砲台だ。もちろん連合軍が侵入予定している航路上だ。
<繰り返す、こちらディスティア管制宇宙局、貴官の所属と名前を述べよ>
「はいこちら偵察艦DL-159、技官のルイジ中尉です」
「おい、何勝手に返答してるんだ」
「だって、コレ読めって言われたよ」
「ふん、知らん、俺は押すぞ、このスイッチを押せば仕事は終わりだ」
<DL-159、貴官の所属を述べよ>
「うわ!所属って何だっけ」
「知らん、おれは押す!」
ペイジは確認することなくポチッと発射ボタンを押した。すると艦外に設置された大量のミサイルがシュババと大きな音を立てながら発射された。だがしかし本星とは逆方向に飛んで行くのだった・・。
「なっ!対艦ミサイル発射だと」
「ええ、思いっきり反対方向ですね、暴発でしょうか誤射でしょうかね」
レーダー画面を意外と冷静に見ている管制官、それもその筈、その放たれたミサイル50基は本星と反対方向の頓珍漢な方に向かって飛んでいったのだ。
「ルイジ次はこれだっけ?」
「そうだよ、完全停泊中のの戦艦に対艦ミサイルを撃てば良いんだよ」
二人は作戦第二弾、本星近くまで接近できた場合、停泊中の戦艦を攻撃しろと命令されていた。
「ぜーんぶ撃てば終わりだよ」
「そうだね!」
気楽にポチッとボタンを押したペイジ。間髪入れずに、バシューン、偵察艦に搭載されている20セルの対艦ミサイルが一斉に放たれた!
「さて、艦隊に打電だ!」
「うん、もう送ったから」
Ai「エンジンストール!、メインエンジンストール!」
「わわ、真っ暗になったよ」
そして、CIC内にはありえない警告が響き渡りエンジン停止。電源が落ち真っ暗、少し立つと非常灯が点灯した・・。
「あー、ヤバい燃料が無いよ」
「ガーン(大汗」
ーー
<陛下、後部格納庫に放置してあるシャトルは、固定しても宜しいでしょうか>
「ん?、なんでわざわざ聞きに来る。戦闘配置に付いたら固定するのが普通だろ」
作戦モニターに映る困った顔の警備主任、判断できないのかアーネストにお伺いを立ててきた。
<えー、積荷目録によるとこのシャトルは偵察艦に搭載予定なのです>
「はっ?もしかしてディスティア製のシャトル?」
<はい、そうです>
「固定してくれて構わない・・・」
リモートを行うシャトルがエルフォード内に取り残されたことを知ると、早速ラッセルに確認を取った!
「なぁラッセル、格納庫内にディスティア製のシャトルが放置してあるのだが、なにか知ってる」
<なんだと!アイツらリモート用のシャトル置きっぱなしかよ・・・>
「ぎゃはは、お前、作戦会議後、最後まで面倒見ていたんじゃないのか」
<宇宙服に着替える指示を最後に出したが流石に・・・嗚呼、全く!>
衝撃的な事実の前に、怒る気力も失ったラッセルはどこか少し不貞腐れていた。
「まぁ、仕方がない。奴らが善戦することを祈って進軍しようじゃないか、失敗しても俺たちが暴れればいい」
「ふふ、そうだな。今までの借りを返さないとな」
「ジャンプ開始します!」
それぞれ3カ国の連合艦隊は綺麗にシンクロしてジャンプしていくのだった。数十分後、ディスティア恒星圏外にジャンプアウトした星団連合艦隊・・・。
「打電確認。ディスティア本星、近くで対艦ミサイル発射。防衛装置無力化、停泊中の戦艦に向け攻撃続行中」
「そうか内部まで進めたんだな。全艦隊に次ぐ、これよりディスティア空爆作戦プランAを前倒し、ジャンプ準備だ済み次第本星攻撃を行う!」
「了解しました」
進入を開始した連合艦隊は、送られてきた詳細な地図データーを元に再ジャンプの座標をインプットし決戦の刻を待っていた。
「皆聞け、再ジャンプが早いクーンとデルタリア艦隊は先鋒を務め、敵を引きつける」
アーネストは現状を確認すると一部作戦の変更を行った。そう時間差攻撃の指示を出したのだ。防衛隊が2つの艦隊を見つければ全速力で追ってくることを見越しての作戦だ。これを行えば間違いなく大混乱に陥るはずだ。
「攻撃目標を破壊しながら後方に回り込んで挟撃します」
「ああ、エリアス頼んだぞ、だが古い船より新し目の戦艦を狙えよ」
「当然です!」
やる気十分のエリアスの目から闘志が漲っていた・・。
ーー
ビー!激しく警告音が鳴り響き、レーダーには無数のミサイルが映し出されて、蜂の巣を突いた様に慌て出す管制塔内。
「て、敵襲!迎撃だ!」
「発射しましたが、ま、間に合いません、着弾まで残り5秒」
発射された迎撃ミサイルは対艦ミサイルを追うが、とても間に合う距離では無い。近くに停泊していた戦艦に次々と命中。すべての船がメインエンジンを落とし、対空砲すら動かせない状況だ。一切の反撃ができず無残な姿を晒していた。
「くっそ!間に合わなかった。迎撃ミサイルは自爆させろ」
「このまま偵察艦に向かわせましょう。ギリギリ届くと思います」
目標を失った迎撃ミサイルは自爆すること無く、大きく弧を描き偵察艦に向かっていくのだった。
ーー
エイナル「まだか、ああ!動かない戦艦は単なる鉄くずだ」
「司令、落ち着いてください。間もなく許可がおります」
ペイジ達が最初のミサイルを放った直後、エイナル達10隻の戦艦は発艦作業を終え、発進許可を待っていた。
管制官「エイナル仲将、発進許可が降りました速やかに発艦されたし」
許可が降りると同時に係留していた数十個のフックがガチャガチャと一斉に外れた。
Ai「係留フック解除確認」
「やっと来たか、補助エンジン全開!速やかに距離を取り、2列隊列を組むんだ」
「了解!」
エイナルの乗った戦艦がゆっくり動き出し、それに合わせる様に隣のドックからも数隻の僚艦が顔をだした。微妙な速度差を生かし綺麗に隊列を組み始めるのだった・・・。
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