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始動。

ディスティア攻略辺

「なんだかな、怖い話をしながら誘惑するのはやめてくれよ」


「もう、女性のお誘いは素直に受けなさいよ!」


ルッチラはソファーに深く座り足を組み、ミニスカートの奥が見えそうだけど見えないそんな誘惑をしていたが、ハインツは目線を一度も下に降ろさなかったのだ。


「俺が総統になったら君に諜報部を束ねて欲しい。君の正義感なら問題ない」


アホな会話を断ち切るように、ハインツは目を細め真剣な眼差しで彼女に未来の協力を求めた。


「うん、その時は任せて、これでやっと活躍できるわ」


彼女は元々正義感が強く、自分の行いは国が良くなる為だと思いキツイ訓練にも耐えて工作員になった。しかし最初の任務は失敗、愛人になることを条件に責任を問われることはなかったが閉職に追いやられいつしか表舞台に舞い戻りたいと思いを募らせていた。そんな時、ハインツから衝撃の事実を伝えられると逆に協力を求めたのだ。


「それにしてもステンは馬鹿だったな、と言うか自慢したかったんだろうけど口が軽すぎた」


「聡明な貴方が気がついてくれて本当に良かったよ」


悪事がバレた理由はエドガー主催の懇親会の際、若手ホープと繋がりを求め、ステンはハインツと談笑をしているときに、”愛人”を手に入れるには”手段”を選ばないと言い放ち、終いには「どうだ君も作らないか、好みの女がいたら俺が”罠”に嵌めるぞ」とペラペラと喋ったのだ。


そしてハインツは諜報部の知り合いを通じルッチラが愛人だと突き止め、そこに至るまでの経緯を調べると、どうやら彼女は初任務に失敗し責任を問わない代わりに強要されていると簡単に推測できたのだ。


「ステンは権力の使い方を間違えた、恥ずべきことだ!」


「使い方じゃないわよ、完全に私利私欲の為よ!」


証拠を掴むため、問題の作戦を詳しく調べると報告書はそれなりにまとめられていたが肝心なことが杜撰そのものだった。作戦失敗で殺された二人のうち一人は情報屋で諜報部がよく利用していた奴だった。建前はとある組織から追われ命の危険があるとして保護を求められそれに応じた形をとっていた。


「情報屋は馬鹿だったな、女が死んで逃げなきゃ本当に保護したのに」


「けど、いつかは処分されるでしょ、あんな奴」


その男は組織の色《愛人》から情報を仕入れる際、対価として”金”と”薬”を渡し、受け取った女はその場でキメたが重度の依存者なのか、そのまま天国気分で天国に召され諜報部に処理を頼めば良かったのだが、慌てて逃げて追われることになり、結局口封じのために殺されたのだ。


「野党の犬は仕方ないな、なるべくしてなった」


「あたし的にはショックだったよ、初めて組んだ奴が裏切り者だったなんて」


結局二人共も作戦失敗で死んだことになり闇に葬り去ったのだ。ハインツは全てを調べ上げた上で彼女にコンタクトを取り、ステンが仕組んだ罠だと教えると、まぁ行動が早かった。諜報部お得意の裏技を使いメイジーという名で別人を作り上げ、ステンの秘書として潜り込む準備をしマチルダは忽然と姿を消したのだ。


「明日からマチルダの名前と顔で諜報部に出社しようかしら」


「そうだね、ステンが死んで君が姿を表したら、きっと歓迎してくれるよ」


「うふふ、楽しみだわ」


「だがその前に議員権限で”証人”の君に暗殺命令を出したと報告しないとね」


ステンは以前にも同じ手口で愛人を作り上げ、真実を知ったり飽きたりしたら処分《暗殺》していたのだ。もちろん証拠は彼女が持っていたし当人が被害者だ。この事が公表されれば確実に暗殺案件だ。今回表向きには事件が公表される前に責任を取り焼身自殺と発表、関係者には騒ぎになる前に”処分《暗殺》”と報告し闇に葬り去るのだ。


「うふふ、ねぇこれも使ってよ、彼が違法で集めた裏金とその被害者たちのリストよ」


「ほんと、呆れるくらいに準備がいいな」


その手腕に呆れるハインツ、”けど彼女は当たり前の事でしょ”と言わんばかりに涼しい顔だ。そして次の日、マチルダとして堂々と諜報部に出社。秘書課に出向きメイジーだったと告げ、ステン殺害は命令でかつ必然だと言い放つと拍手喝采を受けるのだった。


ーー


ゆっくりと数名の警備兵がコーモジの背後に移動しクレアは背後から声をかけた。


「コーモジさん、少しお聞きしたい事がありまして」


「はい、なんでしょうか」


振り返ったコーモジは警備兵の目線が自分に向けられることに気が付くと、ギョッと目を見開き、一瞬で状況を理解するのだった・・。


「それは勿論、貴方が送ったメールの件ですわ、アーネストもエリアス陛下もご存知ですよ」


「クッ!」


慌ててアーネストとエリアスを見ると、”嗚呼残念コーモジ”と言っているような諦め顔だ、クレアもまるで汚いものを見るような目線で冷たく言い放ち、コーモジは諦めるしか無かった。


「証拠はあるので素直に喋って頂きますか、送った相手はどなたでしょうか?」


「野党本部のハンスだ。彼は職員で私の窓口です」


「会議の情報を送ったのですね、うふふ、その情報はどこまで届きますか?」


「・・・(黙」


急に黙り込むコーモジの顔色は悪くなる一方だ。それもその筈、デジレに会議の内容は逐一報告しろと言われていたのだ。


アーネスト「コーモジ大使、情報の送り先が間違っている。貴方が行っていることは結果的にフェデラリーを苦しめますよ」


「何故だ、ディスティアに対し得点を稼げば攻撃されない筈だ」


「少し考えれば分かる事です。与野党一丸となって対処しなければ、必ず分断を狙ってきます。もし政権交代でもしたらそれこそディスティア傀儡政権の誕生ですよ」


勿論、コーモジはデジレがディスティアと裏で繋がっていることも知っていた。だがその事は決して口には出来ないのだ。


「黙秘だ、これ以上は黙秘する!」


黙秘したコーモジの目は焦点が合わず虚ろで怯えていた。もうその態度を見れば明らかだ。


「もう十分だね。それでは彼を逮捕してください」


「了解しました!逮捕だ!」


アーネストが指示を出すと嬉しそうにエリアスが逮捕を宣言。そして終始暴れる事なくお縄になったコーモジさん。がっくりと首が下がったまま部屋の外に連れ出されていった。作戦が終われば証拠と共にグスタフに突き出して任せれば良いだろう。


アイアス「アーネスト陛下、彼はディスティアの内情を知っているのでしょうか。色々と腑に落ちないのですが」


「推測だが彼はそれなりの情報を与えられ、野党が有利になることは独断で判断し行動したんだろうな」


「という事はディスティアと野党は別口で繋がっていると」


「間違いなく繋がっているよ」


「なるほど、だから防御力の高い施設に攻撃目標を変えたかったのですか」


「途中の会話で分かったよ重要施設には防御装置、停泊中の戦艦は丸腰、まあクーンも同じだけどね」


「そうですね」


「さぁ行こう!」


「はい!」


作戦会議は邪魔者がいなくなりすんなり終了。合同艦隊はディスティアに向けジャンプの準備を開始した。


<アーネスト、作戦は本当に同時攻撃だけなのか>


お留守番のラッセルは公の場以外はアーネストを”陛下”呼ばわりしない。昔の感覚なのままなのだろうか、まぁ、アイツに陛下、陛下呼ばわりされても気持ち悪いと思う陛下だった。


「ラッセル、シンプルイズベストだ、余計な事しなきゃいい。せいぜい対艦ミサイルが撃てる高度に下がれたら使うわ」


<そうだな、出たとこ勝負か>


「今からエルフォードに戻るよ、お留守ありがとう」


「ああ、俺は俺の船に帰るよ。ふふ、この新しい転送装置は面白いな」


ディスティアの技術を生かした新しい転送装置を両船ともに装備したのだ。


ーー


宇宙ステーションで会議中の頃、エルフォードでは最終作戦会議が行われていたが・・・。


「ルイジ、お前が偵察艦に乗って直接操船しろよ」


「いやだよペイジお前が操船しろよ、俺は武器を操作するよ」


そう話すのは狐族の双子の兄弟達だ。兄がルイジ、弟がペイジだ。2人は偵察艦をリモート操船する技官だ。作戦会議中、言い合う二人を見ていたラッセルは頭を抱えていた。


「こら、乗って操船じゃない、離れた所で操作するんだ!何を聞いていた!」


「ええ、あれだけ離れてのリモートはレスポンスが悪くて・・ゴン!ぷぎゃ!」


「阿保!」


ラッセルの鉄拳制裁がペイジに放たれた!


「ひどいなデルタリア人は、暴力反対!」


「アーネストから許可を得てるぞ、阿保には鉄拳制裁で構わないとな。言っちゃ悪いがデルタリアの下士官は君らほど馬鹿じゃないぞ」


「ちくしょう!」


ルイジ「きゃはは、怒られてやんの」


「ゴン!ぴぎゃ!」


コブが出来るほど強打した訳ではないが、頭を押さえて涙目のペイジを笑ったルイジにも雷が落ちた。


「ラッセル准将酷いでしゅー」


「アーネストの苦労が分かるわ、お前ら偵察艦に乗っても良いが間違いなく攻撃されるぞ」


「ハッ?近づいてぶっ放すだけじゃ無いの?楽勝でしょ」


「そう?そう思うなら乗っても良いよ。骨は拾えんけど」


「わかりまちた、リモートしまーす」


この兄弟2人が揃うと仲が良いのか、会議の内容が頭の中に半分ほどしか入らない。それはじゃれ合って遊んでいるからだ。作戦において使用する偵察艦はジャンプ阻害装置、防空識別圏の範囲を探り、出来るだけ近づいてミサイル発射が任務だ。彼らは一番重要な、”識別コードが認識されなければ攻撃される”の文言が聴こえてなかったようだ・・。


「作戦の成功率を左右する任務だ。頑張れよ君等の行動ですべてが決まると言っても過言じゃない」


二匹「了解!」


二人同時に綺麗にシンクロした敬礼を行う二人。きっとアイスダンスなら最高の演技が見れるかもしれないと、一瞬ラッセルは思うのだった。


「さぁ、行こう」


「そうだね」


「おい!おまえらそのまま行くな、宇宙服に着替えていけよ」


「あっ、そうだった」


今回の作戦で偵察艦内は真空状態にして挑むのだ、それは攻撃された際、火災が起きないようにするためだ。


ペイジ「やっぱ、宇宙服来たら遊泳するのが楽しいよね」


ルイジ「そうだね、兄ちゃん」


そして着替えた二人は作戦指示書を読むこと無く、何を勘違いしたのか、2重ハッチに向かいそのままエルフォードの横に停泊していた偵察艦に宇宙遊泳をして乗り移ったのだった・・・。



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