緊急会議とディスティア攻略
ディスティア攻撃の作戦会議
ミランダから情報を貰ったアーネストはデルタリアに向かい、ラッセルと緊急会議を始めた。
「ラッセル、ディスティアは混乱の最中だ絶好の機会だ攻めに行くぞ!」
「この報告書はグスタフ経由なのか」
「ああそうだ、この機会を逃がさず戦力比を最低でもイーブンに持っていくんだ」
「アーブラハムは協力してくれるのか」
「勿論だ、エリアス以下星団連合軍は参戦する意向だ。今回はラインスラストからも船員が助っ人で乗船する」
「おお、船員不足が解消されるな、それはありがたい。早速アーノルド陛下との謁見に望めよ」
「ああ、既に連絡はしたから大丈夫だ」
「そうか、そんなに急いでいるのか」
「早く行かないと混乱が収まってからじゃ意味がない」
「了解した、緊急招集を今からかけるから」
「頼んだぞ!」
こうして始まったディスティア攻略作戦。星団連合の全ての船を集めた総力戦になるだろう。ラインスラストの戦艦がまだ仕上がっていなかったのが残念だが、ミサイル駆逐艦数隻は参戦予定だ。それと訓練した乗務員がサポートとして入ってくれる。勿論最前線ではないが、兵站輸送で働いて貰う考えだった。
「君たちは陸軍上がりなのか?」
クーンに到着したラインスラストの乗務員達とアーネストは早速謁見となるが、しかしその風貌はどう見ても陸軍の猛者達だ。乗務員の白い制服ではなく皆カーキー色の儀礼服を身に纏っていた。
「初めまして、ラインスラスト陸軍特殊部隊、フォルトゥナート・メーリヒ大佐だ。アーネスト陛下、我がハウンド部隊をお使いください」
よく見れば乗務員達は謁見の間の入り口で右往左往していた。そう彼らが大勢でそこのけ状態で入ってきて入りきれないのだ。後から判明したのだが、この男フォルトゥナートはトマス総統に直談判して加わったようだった。その数は300名だ。
「う、うん、頼むね、地上に降りる事はないと思うけど」
「はい、わかっております。屈強な歩兵が必要になればお呼びください!」
戦う気満々のフォルトゥナート。最近ラインでは内戦もなく物凄く暇らしい。そして出来たばかりの強襲艦に追加でエアーバトル部隊400名とバトルタンク100台と共にやってきたらしい・・。
トマス<アーネスト陛下、彼ら暇そうだから好き勝手に使っていいよ>
「軽いですね、ですが助かります、もし地上戦になったら使います」
<ほほほ、腰の軽いきみを真似たんだよ>
「・・・」
トマスとは国交樹立後、親密な関係は変わらず続いていた。それはウラッツェンのお陰でもある。彼が実用化した技術がクーン経由でラインスラストに齎されたのがその理由の一つだ。それとは別に最近大喜びした事があった。そう、彼の名前がついた艦船が出来上がると聞いたのだ。
「ようこそクーンにお越しくださいました」
ユリエルの世話をしていたアーリーが遅れて入ってきた。
「おお、アーリー女王様」
子供を出産したとは思えないアーリーの立ち姿はとても綺麗で美貌は健在だ。
「うふふ、みなさんギラギラしてるわね。アーネストの事を頼みましたよ」
アーリーは特殊部隊の隊員達から発せられる強い使命感と戦う心強さを感じていた。
「我々は燻っていても仕方ありません。お役に立てれば光栄です」
「うふふ、よろしくね」
この後、意外な形で彼らが活躍するとは誰も想像すらできなかったのだ。
ーー
デルタリア宇宙港に数ヶ月前、就航した旗艦フォーチューンが姿を表した。初期訓練、ジャンプテストなど全ての試験が終了。今回の作戦の為に姿を表したのだった。艦長はダーフィットだ。宇宙探検が一段落し、フェデラリー防衛隊の指揮官だったがその役目が終わり、実績を買われ旗艦の艦長となった。今回、デルタリアの責任者兼、指揮官としてラッセルも加わっている。
「アーネスト、フォーチューンが仕上がったぞ」
「ああ、姉妹艦だからそっくりだな」
旗艦フォーチューンはエルフォードの姉妹艦として建造されそっくりだ。違いを見つけるなら、予算の関係で見送られた650ミリ素粒子砲では無く、少し細い570ミリ素粒子砲との違いで1発でわかる。
「エルフォードは魔改造したんだってな」
「ああ、凄いぞ。ラッセル準備はいいか、アーブラハムに飛ぶぞ」
「おう行こう、さっさと会議を済ませないとな」
クーン・デルタリアは一度方向性が決まれば大した協議は必要無かった。しかしディスティアとの位置が近いアーブラハムはそうも言ってられなかった。
ーー
<陛下まもなくアーブラハムです>
画面に映るダーフィットがしらせてくれた。出航してからずっと作戦会議をしていたのだ。
「アウトします!」
シュンシュンと隊列を崩す事なくジャンプアウトしたクーン、デルタリア、ラインスラスト混合艦隊。作戦参加の総数は80隻を超えていた。大規模艦隊がスムーズにジャンプを行うシンクロシステムを採用。これはディスティアのCIC解析の最中に発見した共通化システムをブラッシュアップしたものだ。
「おっ、綺麗なジャンプアウトだね!」
その姿をジャンプ阻害エリアギリギリの所で見ていたのは、旗艦サリヴァンズに乗るエリアスだ。
「アリャ、王様が王様を宇宙でお出迎えですか!」
感の良いクレアはモニターに表示された旗艦に記された指揮官の名を見て呟いた。
「ほう、あれが噂のアーブラハム旗艦、サリヴァンズか、中々強そうだね」
その旗艦サリヴァンズは独特な形をしていた。艦橋は低めで、細長くスリムな船体に大きめの機関部、装甲性能を意識したのか砲台は長四角で砲身がほぼ見えない。ミサイルランチャーみたいだ。よく見るとミサイル発射口がアチラコチラに見える。
<あの船はミサイルも大量に搭載してます。仕様書を見てびっくりしました。隙間なく多種多様な武器が配置されています>
「ダーフィット艦長ありがとう、あのエンジンデカくない?」
<はい、100万トン級の実証も兼ねているそうです>
細い割に大きめエンジン、きっと作戦スピードは速い筈だ。
ーー
アーブラハム宇宙港に集結した旗艦3隻、他の船は密集と奇襲を嫌いそれぞれ離れた位置を周回していた。
「ムフ、ウフフ、また会えましたね!」
アーネストを出迎えていたエリアスはクレアを見るなり満面の笑みが溢れた。向けられている意識は人形としての認識か?相変わらず微妙な感じだ。
「王子、いや失礼エリアス国王様(棒」
クレアはわざと畏まってカーテシーを披露すると、エリアスは小躍りして喜び嬉しそうだが、塩対応とは気が付いていない・・。
「嫌だな~、エリアスでいいですよ〜」
「はいこれ、プレゼントです!」
ジト目のクレアは、箱からあるものを取り出しエリアスに見せる。すると、メカに興味があるのかいきなり食いついてくる。
「何これ何これ!!」
喜ぶエリアスに見せるだけで決して手渡そうとはしないクレアは、”通信機です”と一言言うと、自分が装着しているモジュールを見せる。
「うんうん!」
「私が付けますね」
王族の、貴族の悟られない無表情のクレアは、それをエリアスの耳にプスッと装着した!
「グワァ!、痛いが何だこれは初めての感触だ!うぎゃぎゃ!」
「陛下、大丈夫ですか!」
モジュールを装着し苦しみ出したエリアスを見て、慌てた護衛が周りを取り囲んだ。
「大丈夫だ問題ない!」
ドMなのだろうか、好奇心が勝っているのだろうか、あの不快感しかないモジュールを装着すると、それを味わうようにフムフムと納得していた・・・。
「あー、これ声帯に干渉して、大脳新皮質に作用して直接通信が出来るのですね!」
<流石メカオタ!>
<はいそうですが何か?これは衝撃的です>
アーネストの言葉に早速反応して通信モジュールを使いこなすエリアスは一ミリも挫けないのだ!
「エリアス国王様、時間が迫っております!」
モジュールの機能を瞬時に理解したエリアスは大喜びしていたが、執事に尻を叩かれ移動を始めるのだった。
「さぁ、作戦を公表して下さい」
ステーション内の作戦室に集まった各国代表を一瞥したエリアスが仕切り、始めにモニターに映し出されたのは偵察艦にミサイルてんこ盛り!の雄姿だ。
「最初にこれを試す。実際は偽装するからミサイルは視認できない」
「うわぁ!ミサイルてんこ盛りだ!」
「この作戦は捕獲した偵察艦にミサイルを大量にセット。識別圏内を無事に通過出来れば接近して防衛装置に向け発射だ」
「駄目なら3方向強襲ですか!」
「そうだ、識別コードが変更されている確率が高い。これは捕虜からの情報だ。それと大使の情報によると、反乱を恐れ全艦隊の殆ど静止軌道上に停泊中、更に士官たちは本部に集められているらしい」
グスタフ→ミランダ経由で入る情報は精度が高く作戦立案に凄く役に立つ。それは現地の大使から送られてくるのだが。取得できる情報に制限はあるものの、世論を安心させるために流した情報などから推測できるのだ。
<<軍司令部、反乱を嫌い全艦隊に禁足命令が発令された模様>>
<<艦隊司令官の外出禁止令が発令される予定>>
出典:ディスティアジャーナル。
など、混乱は続いているが軍部的には安定していると、国民に向かってアピールしていたのだ。この情報を元に探りを入れ裏を取るだけで現状が丸わかりになったのだ。
「そうなると今回の作戦はほぼ奇襲に近いですね、艦隊戦は行うとして、オプションの空爆目標は燃料補給基地でしょうか」
「そうだ、色々調べた結果、燃料補給基地の近くに生体エネルギーの貯蔵庫が存在すると推測した」
男「何だこれは、戦争でもするのか」
次に画面が変わり空爆箇所が記されると同時に1人の事務方らしき男が慌てて途中入場してきた。そのマップ画面を見るなり驚愕の表情に変わり立ちすくんでいる、しかしアーネストはそいつを無視して作戦会議は続行されるのだった。
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