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少しずつ進む事

色んな話が少し進みます。

アーブラハムのジャンプ阻害施設に向け、発射された大量のミサイルは一直線に飛んでいった、


「ミサイル着弾まで30秒」


「さて30発をどうやって落とすのかな、見ものだな」


大量に放たれた対艦ミサイルはジャンプ阻害装置に向け一直線に飛んでいくのだった。しかし着弾まで20秒の距離に近づくと・・・。


「エイナル司令、全ミサイル命中ですが標的は破壊されていません」


「はっ?当たったんじゃないのか?」


「はいそうなのですが、少し手前で爆破しました。これは考えられません」


レーダーから綺麗に消えた対艦ミサイル、双方向通信も途絶、確かに命中したのだが標的は無傷だった。


「なんだ新兵器なのか?それとも強力な武器でも持っているのか」


「これ以上詳しく調べるのでしたら近づかないと詳細は不明です」


「リアルタイム映像を見たらわかるだろ」


そして再生されたガンカメラの映像は、ジャンプ施設が何となく見えた段階でいきなりブラックアウト。手前でほとんどのミサイルが破壊され、運良く通り抜けても控えていた浮遊砲台の対空砲で落とされ全滅した。


「うーんこれは、むやみに艦隊を危険に晒す訳にはいかない。偵察艦を出して調べさせろ」


「了解しました、引き続き探索します」


ミサイルが一気に消えた理由、それは物凄く単純で簡単な仕掛けを施していただけだった。


技官「クーンの技官の考えることは面白いな」


「ええ、岩塊から発生させたシールドに細かい粒子を付着させて装甲版と勘違いさせるだけとは」


これはウラッツェンのアイデアの一つだ。シールド阻害装置の周りの岩塊から特殊な吸着シールドを張り、砕いた岩塊を吸着させミサイルに装甲板と誤認させるお手軽防衛兵器だったのだ。


ーー


「久しぶりじゃのアデール、その様子じゃともう心は決まっとるのか」


「ブリタ久しぶりね!」


候補者として素性を公表したアデールは久しぶりに親友のブリタと会っていた。犬族の彼女は既に魔法士として活躍していている。適性は精神魔法、特技はテイムだ。


「あんたの姿が消えてクーンの側室候補者だって噂がたってのう」


「うんあのね、いまアーネスト陛下と文通しているの」


アーネストは約束通りアデールに対し手紙を多い時は月に4通ほど出していた。


「はっ?文通?また古めかしい事を、だがもう決めているようじゃな」


「そうよ〜、アーネスト陛下は優しくてとっても素敵方なのよ〜」


手紙を大事に抱え嬉しそうに話すアデールの意識は薔薇色で埋め尽くされていた。それを見てブリタは微笑んでいた。


「そうか、アデールは幸せなのじゃな、そうかそうか。だがクーンに行けば頻繁に会えなくなるのう」


「うん、私1人で行く事になったから・・・本当はブリタが来てくれれば嬉しんだけど無理だもんね」


「そりゃな、ところで使用人は連れて行かないのかい?あっ、カティーナが選ばれたからか」


エルシーが次期女王として指名したのは実はカティーナだった。アシルに配慮した訳では無いが、適齢期の女性の中で誰とでも気軽に話し、誰とでも打ち解ける彼女に白羽の矢が立っていたのだった。もちろん統治能力も高く女王として相応しいので選ばれたのだった。


「そう、カティーナが女王に指名されて使用人が足りないのよ。わたし側室だし我儘は言えないわ」


「そうじゃの、あんたが女王になれば別じゃが、私がノコノコついていく訳にいかんからの」


「何かあったら頼って良いよねブリタ」


「ああ、勿論じゃよ」


フランク「ブリタ様、術式のお時間です」


フランクはブリタが子供のころから世話をしている執事だ。結構かっこいいオジサンだ。


「そうか、もうそんな時間かい、それじゃアデールまたね」


ブリタは犯罪者の精神鑑定も行っているのだ、心の中に入り、心を読み真実を追いかけ原因を追求する事ができる高位な魔道士だ。そんな彼女はアデールと一旦は別れるが数年後、意外な形で再開する事になる・・。


ーー


ディスティア帝国軍は執拗にアーブラハムに対し攻撃を行っていた。


「ジャンプ阻害装置があるのでヒットアンドウェイ戦法か・・小さいが損害が出てるな」


「はい陛下、勇み足の船を集中的に狙ってます、敵も中々強かですね」


「これ以上の損害は増やしたく無い、前に出よう」


「了解!」


今回の主戦場はアーブラハム恒星圏内なのでエルフォードは前に出ず様子見していたが、損害が出て来たので思わずクーン艦隊が前に出てくる。


「陛下、まだまだ戦えます」


「アイアス司令そうだね、俺は様子見だよ牽制はするけどこれ以上の損害は出したく無いのだ」


「わかりました、攻撃はお任せください」


「ああ、頼んだよ」


アイアスはアーネストの行動の意味はわかっていた。しかしオープンチャンネルで素直には謝れないのだ。そしてクーン艦隊が前に出た事でディスティア軍は少し手前で引き返し始めた、それは追撃されたく無いと思うのが普通なのだが・・。


「奴らターン地点を変えて来ましたね」


「やはりな、反対方向に敵が現れるぞ、通常反転、両舷前進、アーブラハム艦隊に打電、後方は任せろだ!」


「了解!」


アーブラハムのジャンプ阻害の範囲は狭く恒星圏内全てを覆っている訳では無い、エルフォードが反転しオーバーブーストを掛ければで走れば5分程で阻害エリアを抜ける距離だ。


「ディスティア軍、反対側に出現!」


「全艦緊急停止!」


やはりアーネストの読みが的中した。そう、反対側に予備の艦隊がジャンプアウトして来たのだ。敵との距離は数分程度、充分間に合う距離だがアーネストは何故かアーブラハム本星の近くに艦隊を停止させた。


「エイナル艦長、クーン艦隊、本国近くで停船」


「あのアーネスト国王は相当冷静な指揮官だな」


「ええ、今回の戦力二分作戦に乗って来ませんね」


宿敵エイナルは陽動作戦を敷いていたのだ、反転したアーネストの艦隊が阻害エリアの近くまで近付けば遊撃するつもりだったのだ。


「ああ冷静だな。逆にこっちを誘き寄せる位置に止まりやがって」


「艦長、どうします進軍しませんよね」


「そうだ、阻害エリアに入ればジャンプして逃げれない、あのエルフォードとか言う戦艦のスペックがわからない以上無闇に入りたくは無い」


今回の作戦はアーブラハム帝国軍を疲弊させる事が第一目標で、クーン宇宙軍に関しては船のスペックを調べる2面作戦なのだ。だが冷静なアーネストは緊急回避、全速力を出さずスペックを晒してなかった。そして睨み合いが続いた1時間後、アイアス司令から連絡が入った。


「陛下、このまま様子見ですか」


「そろそろ引き上げる頃だ、損害はこっちの方が大きいからな。勝利の美酒でも飲んでいる頃だろう」


「防御戦は疲弊しますね。稼働率が下がっています」


「それが奴らの狙いだ。切り崩しを狙っているんだよ」


「何にか手立てはないのでしょうか」


「アイアス君、ここは我慢の時だ、奴らとてそれなりに戦費を食う筈だ。長続きはしない」


「そう願いたいです・・」


アーネストが言う通り少し経ってディスティア軍はジャンプして消えていくのだった。


「アイアス司令、もっと戦力増強を行わないと、クーンは30隻戦艦新規建造を始めたぞ」


「陛下、本日急遽、次世代型戦艦コルベット級20隻の建造が始まりました」


アーブラハムは莫大な予算が必要な戦艦建造を躊躇していたが、ここ最近現れるディスティア軍の脅威に晒され慌てて24時間フルタイム建造に着手。数ヶ月後には5隻が就航する予定だ。因みにバランスが良いとされているデルタリアの戦艦エルバート級の派生モデルだ。違いはステルス機能を有している点だ。


「そうか、物量では負けているなんとかしないと・・」


「そうですね」


数度に及んだアーブラハムの戦力を削ぎ落とすサラミ作戦は成功。修理中5隻、大破2隻、修理不能3隻と既に総数4分の1が稼働出来ない状態になっていた。


ーー


クーン宇宙軍、艦艇製造部。


技官「ウラッツェン技官、アーリー様が参ります」


「えー、こんな汚いところに!片付けないとお見せできない」


慌てて設計図、モックアップ、タブレットなどが散乱している机の上を片付けるのは勿論ウラッツェンだ。数時間前、戦艦建造の指示が出たばかりでみんな忙しなく動き回っている最中だった。


「ウラッツェン!次世代型の戦艦の設計と製造を任せる!」


ズカズカと入って来たアーリーは周りを気にする事なく、追加の戦艦作れと言い放つ。


「アーリー様、建造スペースが足りません。工員も不足しています」


「ふん、大昔の建造ドックを使いなさい、工員は募集を出したわ。ケネス案内してあげて」


「畏まりました」


向かったのは旧首都エンク近くの造船ドックだ。長さ数キロに及ぶ洞窟を拡張、一度に20万トン級なら30隻は楽に建造出来る程の広さだ。


「す、凄い、秘密基地みたいですね」


完成品が出入りする開口部は岩石で出来ていて、扉をしめればドックとは思えない。部品搬入は違う通路を使用し、痕跡が残らないので発見される事はまず無い。


「ここはエルフォードを最後に作って、それ以降は新しいドックに移ったの、製造装置も全て使えるわ」


「もったいないですね、使ってないのですか」


「機材更新すると世の中にお金が回るのよ。わかったかしら」


「はいわかりました、それでは最大製造数の30隻でよろしいでしょうか」


「ええ、20万トン級30隻頼むわね、一番艦の名前はあなたが決めていいわよ」


「わ、わかりました!(嬉」


ニンマリするウラッツェン、もう誰の名前にするのか丸わかりだった。


「うふふ、1番艦はワルワラでしょ!」


「な、何故わかるの?あー、反則技だ!」


「ふん、顔に書いてあるわよ。そうだ名前の最後に”犬”つけようかな」


「ワルワラ犬ですか!」


「ワンワンよ!それともチャンを付けるかしら?」


「ひゃーやめてー、恥ずかしい〜」


身悶えるウラッツェンを見て笑うアーリーは弄るのがどうも好きらしい。通例では1番艦の名が等級別の呼び名になるのだが、ワルワラとは命名せずファーバー級になった。由縁はウラッツェンのラストネームから取ったのだ。


宜しければブクマ評価お願いしまーす。

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