バードシリーズ出揃った。けどユリエルが?
べスは相変わらず所長に弄られます。
ゾランが転送されて1時間後、ディスティア軍は急速に離脱を始めるのだった。その隙を逃さないとすかさずアーネストが退路を断つためエルフォードを動かすと、一気にジャンプして消え去った。
「陛下、今回は様子見ですかね」
「ああ、それは間違いない。だが何故いきなり動いたんだ?」
謎の行動に疑問を思い思考を巡らせている最中に、グスタフから連絡が入った。
<陛下、ディスティアの交渉人が訪れ、失礼な奴だったので追い返しました。そちらに現れましたでしょうか>
「グスタフ、なぜもっと早く知らせない」
<すみません、大統領との相談と警備の指示に時間を食われました>
「今回はこれで済んだが、次回は緊張感のある折衝になる筈だ。君が指揮して徹底的に戦えよ」
<はい、勿論です>
そして数週間後、ゾランから連絡が入り二回目の交渉に入ったグスタフは気合を入れ望むことに。そして最大限の嫌がらせ?ベスを筆頭に数名の捕虜を連れて来て披露することにしたのだ。
グスタフ「おっさん、ほれ見ろ皆んな元気だろ。健康状態は良好だぞ」
ゾラン「クッソ、何故ここに捕虜がいるんだ!」
ベス「・・・」
目の前に立っているベス達、数人の捕虜は終始無言だった。それもその筈、所長から一言でも喋ったら半永久的に無人島生活かトイレ掃除係だと言われたのだ。だがこれもグスタフの考え?作戦でもあった。
「ゾラン交渉人、今回はお披露目だけです。健康状態を確認してください!」
「ふざけるなグスタフ」
「ゾラン交渉人、副大統領と言って貰おうか!」
「ふん、今まで散々おっさん呼ばわりした癖に」
グスタフは本格的な交渉が始まり呼び方を変えた。これも彼が考えた一つの戦法だ。相手は当初から上から目線だ同等な立場に持っていく為に細かなこだわりを見せる。
「今日から本格的に折衝が始まるからね、因みに呼びかけても喋らないぞ」
「おい、何かしゃべれ!」
「・・・・(黙」
「では下がってください」
「はい」
ベスが一言だけ返事をすると踵を返し退出していった・・・。
「おいグスタフ、絶対何かしたんだろ!」
「いえ何も、今回は生存の確認であって、交渉が進めば話せるかもしれませんね。あっ、トレースしても無駄ですよ。次回会談まで彼女達は大統領府で生活しますので」
「うぐぐ、貴様!(怒」
「悪しからず、ゾラン君」
強かに交渉を進めるグスタフ。これも争い事を最小限に抑えるための手段でもあった。アーネストからは、君らの最強のカードは捕虜だ。ディスティアは国内世論の動向を見ながらことを進めてくるので安易に手放すなと言われ忠実に守っているのだった・・・。
「お前ら異星人に守って貰っている分際の癖に!ふざけるな」
「はぁ、それはディスティアに対して対等な戦力、防衛力がございませんので、協力して頂いているのですが」
「交渉中は攻撃などしない!目障りなんだよ」
アーブラハム軍はクーンと共同でアステロイド帯と本星軌道上に早期哨戒レーダーを設置。これにより24時間監視が可能になり、艦船による哨戒活動は取りやめ、スクランブル体制に移行したのだった。そう、姿を見せると数十分後には3カ国のいずれかの艦隊が現れるのだ。余談ではあるが燃料費軽減と即時行動の訓練となり良いい事尽くめだった。
「あら、攻撃しないのでしたら恒星圏外まで下がって貰いましょうかね〜、ではそちらがお先に下がってくださいね!」
「ギー!貴様はどこまで歌舞伎者なんだ!」
「まぁ、長いお付き合いになりそうですから、そうカッカするなよ交渉人」
「。。。(怒!」
終始余裕を見せるグスタフに手を焼くゾランだった。
ーー
大統領府で生活すると言ったのは嘘だった。ベス達数名は秘密裏に高速定期便を使って収容所に戻っていた。
「ベ〜ス〜、貴女喋ったらしいわね〜、約束覚えているよね!」
シェーラは何故か小さな鞭を持ち、パシパシ鳴らしながらベスに近づいて、約束を破ったと言い放った。
「な、何のことでしょうか所長殿(汗」
「口を開くなと命令したはずよ!音声データーにあなたの声の反応がでたよ!」
「い、いえ、返事をしただけです、です。はいだけです!」
戻ってきたベスは早速、シェーラ所長に弄られていた。
「うふふ、そんな言い訳が通用すると思っているの?ベスアウト!」
「そ、そんな〜(汗」
悲惨な過去の経験が頭を過り、顔は青くなり嫌な汗がドッと吹き出す。
「ベス、シット!」
「ワン!」
「うふふ面白いわね、クレア様が言っていた通りだわ」
以前クレアが弄った時の効果は消えている筈なのだが、もはやパブロフの犬の様に条件反射でワンと言い放ち床に正座を決めるベス。
「な、なんで、あれ?いまワンて言いましたよね?」
「キャハハ、もうそれ条件反射になってるわ、キャハハ」
どうも緊張状態になると必然と反応するようだ。決してクレアの置き土産では無い筈(笑
「もう、所長!弄っているでしょ!」
「だって面白いんだもん」
「プッー!」
「今回はありがとうねベス。貴女達はいつか解放されます。だからもう少しだけ私達に協力してね」
「は、はい」
弄られていることに気が付き、頬をプッ〜と膨らませるベスさんでしたが、シェーラの意外すぎる感謝とお願いの言葉に素直に答えていた・・。
ーー
技官「陛下、ディスティアの無線傍受成功です」
「おお、それは吉報だ。見つからないように頼むな。サイレントバードを使ってくれないか」
「はい勿論です」
拿捕した戦艦の無線機を徹底的に調べ、肝となるデジタル解析、暗号解析が進み傍受出来るようになったのだ。しかしフェデラリー近くでは本国の通信は傍受不可能。ステルス艦を出す余裕もなく。定期的に小型ステルス小型機を送るしかなかった・・。
「それとウラッツェンから最後の小型機が仕上がったとの報告が上がっています」
「わかった、空いた時間を使って受け取りに、あっ、そんな暇ないか」
「城の駐機場に持ってくるように連絡入れておきます」
ウラッツェンがアーリーに頼まれて作った3機の小型機は数ヶ月前から運用が始まっていた。最後に残ったハミングバードが出来上がり、これで全て出揃った。
<ウラッツェン設計、超高速バードシリーズ>
シンフォニーバード
アーリー専用に作られ速度性能より快適性を重視するため少し大きめの機体。食料が確保できれば最大で半年と長期間滞在ができる特徴を持っている。
デザインは他とは違い飛行時には複数枚の主翼が展開して流線形の機体と伴ってとても優雅に見える。
サウンドバード
少しずんぐりむっくりした愛嬌のあるデザイン。居住性と高速性能を兼ね備えたバランスが良い機体。
ハミングバード
超高速飛行が可能なウラッツェン自信作の小型機。形はSR−71を短くしたような機体。メチャクチャ早いのだが、チューンナップしすぎたエンジンが原因で神経質で常に整備が必要だった。
サイレントバード
隠密行動を得意とするステルス小型機。
ジャンプシーケンスの立ち上がり、巡航速度が早い特徴を持つ機体。だが大型船に搭載することを考えて作られているため航続距離が短い欠点がある。サイレントバードはステルス性能を上げるため燃料とエンジン形式が他と全く違う。高出力イオン放出型エンジンを採用、そのため燃料には希ガスを用いていた。
それぞれの機体は滑空中にエアーブレーキを操作すると、小鳥が囀る様な風切り音を醸し出す。だが翼面積を広げた為ハミングバードだけが気難しい。武装は重量軽減の為に全てレーザービーム砲2門だけと軽装だ。
ーー
そしてアーネストは着陸したハミングバードを眺めていた。
「想像していた機体とは全然違うな、まるで偵察機だ」
「最初はハミングバードをステルス機と考えたのですが、どうしてもこのデザインだとイオンエンジンが収まらないのです」
ハミングバードは大気中でも高速飛行が出来るように翼の中にエンジンを載せ、翌面積が広く小型の物が必要になったらしい。
「あっ、サイレントバードはフェデラリーで燃料補給して、2週間ほどディスティア帝国の監視業務に就ける。航続距離は大丈夫だよな」
「え゛、滞在して往復ですと足りません。荷室を燃料庫に改造します・・」
「早急にお願いしていいかな?」
「はい、ですが乗員数を減らさないと・・」
「偵察任務に使うから2人だよ」
「はぁ〜、それなら大丈夫です」
早速、燃料タンクを増やす改造が行われた。とは言っても載せるのは希ガスだ。タンクをバランス良く積むだけで終了。そして食料を大量に積んだサイレントバードは一路ディスティア恒星圏内に向かうのだった。そして持ち主のクレアの元に向かうと・・。
「クレア、君の専用機を任務で使う、と言うかもうディスティアに向かっている」
「はい、先ほどウラッツェンさんから連絡が入りました。サウンドバードを使うので大丈夫です」
サイレントバードはクレアが一目見て気に入って決めただけだった。足が短いがデルタリアの実家の往復にしか使わないので問題が無かったのだ。
「ねぇ最近、暇があればユリエルとずっと一緒に寝てるよね」
「そ、そうだね」
「ねぇ、アーネ!今晩お伺いしてよろしいですか?」
クレアはアーネストにスッと近づくと、可愛らしく袖を引っ張りながら体を揺らしていた。きっと今夜のサインだろう。そう思い返事をしようと考えていたら、先にお伺いを立てて来た!積極的だがこの展開は彼女らしく可愛らしい。
「今晩、君の部屋に行くよ」
「ウヒャ!お待ちしています!」
確かに久しぶりの様な気がすると思い、記憶を遡ると最後に交わったのは2週間以上前だった。相手ができなくて済まない気持ちになったが、それだけアーネストは忙しく動き回っていた。フェデラリー防衛隊が一時解散したと同時にグスタフとの相談相手をしながら艦隊に指示を出し、デルタリア宇宙軍の所に行けば実家は寝泊まりする様になっていたのだった。
「今日は予定が全て終わったから、どうする?」
「きゅ、休日の午後なら昼間でも良いですが・・・・平日は夜が良いです(恥」
今は丁度14時過ぎだ、念の為軽く誘ってみたが拒否られてしまった。クレアには何かこだわりがあるのか、それともイメージの問題なのか謎だった・・。
ーー
「今日は全員揃ったね!じゃカンパーイ!」
今日は残業も無く久しぶりに4人での食事になった。そして満面の笑みでシュワシュワを飲み干すアーリー。既に2杯目を注いでいた。
「おお、そうか禁酒明けか」
「そうよ〜、今日はたっぷり飲むんだから!」
ケネスが気を利かせ、アーリーの大好きな銘柄数種類の酒がワゴンに乗せられ出番の時を待っていた。ユリエルは乳離れをして離乳食に切り替えていた。寝る前のミルクは液体ミルクだ。
「マーマー、アーネ、クー、チュー」
「あらユリエル、今晩の2人の未来が見えるの?」
ユリエルは食事を摂りながらアーネストとクレアを指差し無邪気にチューと言い放つ。レの発音が難しいのかクレアはクーと表現していた・・・。
アーネスト「なん、だと・・」
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