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時は流れ一年後。

時間軸を加速させました。

時は流れ、ディスティア宇宙軍は生体エネルギーを使用する装置の入れ替えのため、その殆どの戦艦は使える状態ではなかった。膨大な数のエンジン調整に追われ一隻ずつしか仕上がってなかった。その為、全艦隊が稼働出来るのは当分先になると予想されていた。


「メレルちゃん行くわよ!」


「御意!」


一方、アーリーとロレーナは数日違いで無事出産。エルシーに報告すると早く見たいと言われ数ヶ月後。首が据わったので顔を見せに行くことに。


「どーもー、ねぇ見てみて!可愛いでしょ!」


「あらあら、可愛い女の子ですね」


男の子が産まれたと報告した筈なのだが、妙に高いテンションのエルシーはわざとボケている様だ。


「コラ!男の子だ!名前はユリエルよ」


「イヤーンだって男の子だったら美男子になりますわよ」


「そ、そう?そんなに?んっ、エルシー、あっ、貴女まさか出来たの?」


妙にテンションが高いエルシーを見て、実は妊娠したのかと勘違いする。


「いえ、先ほどまでアシルとやり合って感情が昂っていまして、すみません」


「あの、たぬき親父はまだ認めないのね」


「はいそうなんです、ところでアーネスト様はご一緒のはずですが、姿が見えませんね」


「そうそう、アーネストはアデールに会いに行ったわ」


「今なんと」


「だって、居場所を特定して何年経っていると思ってんの」


「はぁ、まさか直接乗り込んでいくとは・・・アシルは今頃足止めされていますがお早めに」


「何かしたの?」


「親戚に頼んで説得してもらっています」


エルシーはアーリーが訪れる前に、再度アシルを呼び出しアデールの事を問い質したのだが何時もの様にはぐらかして終了。そして説得の為、親戚に頼んだのだが報酬として高官の椅子を用意したと話す。悪手と判断したアーリーはすぐにやめさせる指示を出すのだった。


「いい案が思いつかなくて・・・すみません前例を作ると次が大変ですからね、今から指示を出します」


「私のためにやってくれたことは感謝するけど、2度と使っちゃダメよ」


エルシーは早々に指示を出し、アシルを説得していた親戚たちを急遽、下がらせるのであった。


「エルシー、そう言えば任期満了を過ぎたよね」


「ええ、もう条件を満たしましたし、側室問題が解決すれば次の候補者選びに入ります」


「エルシーはお勤めして80年くらいだっけ」


「そうですね、これで解放されれば子作りに専念できます」


フォーレストの女王には任期期間が設定されていたのだ。満了を迎えたエルシーは解放の日を待つばかりだ。


「婚約者待たせっぱなしだもんね、うふふ、けど相変わらず子作りに励んでいるんでしょ」


「もう!アーリー様!恥ずかしいです」


「幸せにねエルシー」


「はい」


アーリーがエルシーに会う前、一足先にアーネストはアデールが匿われている別荘に来ていた。


アーネスト「さて、素直に合わせていただきたいのですが」


ランゲ「・・・」


「ここで拒否すると、勅命を出して強制的に解放することになりますよ」


「アーリー女王様は全てわかっているのでしょうか」


「うん、だから波風立たせないように僕がお忍びできたんじゃないか、別に今日、連れ去るような事はしないよ、少しお話ししに来ただけだ。もう存在も分かっているし贖っても無駄だよ」


「そ、それは印の確認を行うのでしょうか」


「ふん、それすら不要だよランゲ君」


「。。。」


悩んでいるランゲは結局、贖えないことを理解していた。だが彼はアデールの警備だ、素直には引けなかった。


「悩んでいるよねそれならランゲ、君は撃たれたことにすればいい」


「・・・はい」


「それじゃアーマーを脱いでそこに立てかけてくれ」


ランゲは諦めたのか素直にアーマーを脱ぎ門柱に立てかけた。そしてアーネストは銃を構え目を細め狙いを定め引き金を絞ると。バシューン!と大きな銃声が鳴り響き、胸の辺りに小さな穴が空いた。


「ヒッ!じゅ、銃声・・・」


銃声が響いた後、少し経つとカツカツと聞き慣れない足音が扉の前で止まった。


「アデール入ってもいいかな、返事がないけど入るよあまり時間がない」


「・・・」


ガチャとドアが開いた瞬間、ブンといきなり木の棒が頭目掛け降ってくる。アーネストは軽くそれをパシッと掴みその先を見ると、1人の少女が立っていた。


「いや!」


その少女はカタカタカタと小刻みに震え、表情は怯え切っている。


「あれれ、いきなり大歓迎を受けたね」


「だ、誰、さっきの銃声は、ランゲは」


「ランゲ、入って来てくれないか」


「はい、お嬢様ご心配おかけしましてすみません」


「嗚呼ランゲ、無事だったのね。あっ、この方はもしかして」


「はい、アーネスト国王様です」


「あ、あなたがアーネスト国王様、すみません動揺して気が付きませんでした」


「こんにちは、アデール」


アデールは幽閉生活で外の情報を遮断され、アーネストの事はランゲが持ち込んだタブレットの情報でしか知らなかった。そしていま本人を目の前にし緊張が解けその場にペッタン座りをしてしまう。


「ふぇぇ、力抜けちゃった」


「少しお話ししませんかアデール」


「は、はい、すみません緊張しすぎて力が入らないのです」


アーネストは何も言わずスッと右手を差し出すと、アデールは恥ずかしそうに手を掴み立ち上がろうとするが、まだ力が入らないのか引かれるがままポスンと寄りかかる様に抱きつく格好になり、優しく受け止められる。


「ウヒャ!わわわ」


初めて男性に抱きしめられたアデールは瞬時に茹であがっり真っ赤になるのだった。


「大丈夫かなアデール」


「は、はい、す、すみません」


落ち着きを取り戻したアデールは恥ずかしそうにアーネストに支えられながら椅子に座った。しかし顔色が良くなくやつれており、長期間の幽閉生活で身体、精神共に疲弊していた。そう、自分にヒールを掛けても結局身体が活性化しないので意味が無いのだ。


「先程はすみませんでしたアーネスト国王陛下」


「ごめんねいきなり訪れて、お父様のアシルは君を溺愛しここに幽閉しているんだよね」


「はい、私をここから出してください。もう5年にもなります・・・もう嫌なのです」


アデールは思いの丈を吐き出す様に喋りだした、それは自分が適正者であることで、ここで適齢期が過ぎるまで幽閉生活する事がもう耐えられないと話し、そもそも選ばれたからには義務を果たしたいとまで言い出した。


「それでアデール、僕の妻になってくれるのかな」


いきなりのプロポーズを言葉を聞き動揺すると思ったが意外な反応を見せた。それは既に覚悟が出来ているのか恥ずかしがらずにジッとアーネストを見つめていた。


「はい、元々選択肢がありませんし、お父様のお役に立てればそれで良いのです」


彼女なりに色々考えた末の決断なのだろう、側室になる事は自分の役目と割り切っていた。当たり前だが恋愛感情など無比だ、それを見かねたアーネストはアデールにとある提案をする。


「ねぇアデール、妻になる前に僕の事を好きになってくれるかな」


「へっ?側室に恋愛感情など不要なのでは、お子を生めさえすればよいのでは」


「あのね、アーリーもクレアも相思相愛だ、皆んな平等に愛しているんだよ」


一瞬ポカンと虚を突かれた表情をしたが、すぐに意味を理解したアデールはニッコリ笑った。


「お父様の話すアーネスト様とは全然違いますね。さてどこから好きになれば良いのでしょう、お恥ずかしながらこんな近距離で初めて出会った男性と喋った事がありません」


「それはそれは光栄ですアデールお嬢様、私とて噂でしか貴女様のことを存じ上げておりません、ここは一つ文通を手段としお互いを知る機会を設けては如何でしょう」


「プッ、陛下は愉快な方なのですね、わかりました手紙はランゲに託します」


冗談交じりのアーネストの言葉に吹き出したアデールは、いきなり連れ出すのではなく時間を掛けお互いの気持ちを手紙に託しお互いを知ることから始めようと受け取ってくれた。勿論メールでも構わないのだが考える時間が想いを募らせると思い手紙を選択したのだ。


「そろそろ引き上げます、ではまた」


別れを告げランゲと共に部屋を出ようとしたが、アデールも何故か一緒に外にでた。


「ンッ、眩しい・・・」


「お、お嬢様・・」


「だってもう隠れても意味がないですもの」


アデールは久しぶりに日の光りを浴びると、みるみる血色が良くなり始めた。


「嗚呼、凄く気持ちがいいです」


「少し森を散歩しようか」


「はい!」


アーネストが訪れたおかげで解放できたことが嬉しいのか、久しぶりに歩く森が心癒されるのか、物凄くいい笑顔で返事をした・・・。


「アーネスト陛下ありがとうございます」


「礼には及ばない、昔からの仕来りとは言え選ばれただけで僕の側室になる君が不憫だと思う」


「優しいのですね陛下」


「少し前まで下級貴族だった、その、格上の理不尽な命令で多くの人が泣いているのを見てきた、俺はそれが許せないんだ・・」


厳しい表情でそう話すとアデールはアーネストの真意を見抜き、フッと笑顔が溢れた。


「私の為に来て頂いてありがとうございます」


「実はアーリーも、僕も、君の事が心配になっていたんだ、まだ後10年も幽閉されると聞いて、今日、君に会う事を決めた」


言葉を選ぶ様にポツリ、ポツリと話すアーネスト。


「はい、会えて良かったです、陛下」


そして2人は話しながら少し森を歩き、屋敷に戻っていくのだった・・。

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