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それぞれ誰かの近況。上巻

時間軸が加速していきます。

<ディスティア帝国>


ディスティア総統府、総統閣下の執務室は朝から荒れに荒れていた。それはもちろんフェデラリーに出した偵察艦隊の事だ。


秘書「フェデラリーに出した偵察部隊が定時連絡を最後に、消息が途絶え24時間が経過しました」


エドガー「なんだと偵察艦隊も消息不明だと!」


神経質な面持ちで眉間に皺を寄せ怒りを露わにするエドガーの口調はキツくなってゆく一方だ。


「はい、ロレーナ司令がフェデラリーに侵入し、艦隊は待機中との定時連絡が入り、それ以降消息が途絶えました。緊急信号すら発せられていません」


「またあの不明な敵にやられたのか、ウググ」


「閣下、非難覚悟であえて進言します。あの地区にこれ以上の戦力を割くのは後回しにした方が宜しいです。それより浮遊惑星の資源回収を急いだ方が支持率が上がります」


「分かっておる。エネルギー問題を解決しない限り、フェデラリーにはこれ以上手出しをしないと今決めた。だが高速艇を出しできる限り情報を集めろ」


「承知しました」


ディスティアのエネルギー問題は深刻だった。無理に偵察艦隊を出し艦隊の稼働率が大きく下がり救援を出すことは不可能だった。しかし獣人が生存する惑星探査の途中に見つけた浮遊惑星群にレアメタルが大量に埋蔵していることが判明。採掘業者はエドガーの許可待ちだったのだ。


「浮遊惑星の資源回収の許可を出せ」


「はっ、それが最良の判断だと思われます。これで景気が沸く事でしょう」


採掘業者は許可を得ると同時に数十万人規模の工員募集を行った。そして受付開始30分で全ての枠が埋まる。その理由はもちろん超高給だからだ。2年ほどの勤務で5年分の給与が支払われるのだ。そしてディスティア帝国は一気に景気が浮上、支持率を持ち直すのだった。


「なぁ、あの獣が住んでいる惑星の統治は出来るのか」


「あの星は手出し不要です。統治となると反抗し徹底抗戦の構えを見せ全面戦争になり間違いなくゲリラ戦が各地で勃発します」


「火力では圧倒しているんだろ!蹂躙すれば良い」


「ええ、相手は火薬を用いた武器が主流ですが、暗殺が得意なウサギ族に手も足も出ない状況なのです」


「ウサギだと?」


「はい、センサーにも反応しない特殊な獣人族なのです。司令官や士官を狙い撃ちにして甚大な被害が出ています」


先発隊の報告ではコンタクトを取るために近づくといきなり攻撃を仕掛けきて即交戦状態に突入。即座に反撃を行うと森に逃げ込みゲリラ戦に移行。圧倒的火力と高機動車両で制圧できると思いきや、完全に気配を消しセンサーにも引っ掛からないウサギ族に司令官たちが蹂躙される始末だったのだ。


「分かった、あの星は諦めよう。フェデラリーは武力侵攻せず統治できるか?」


「我々と同じ人間主体で高度な文明を持っていますので、全面戦争の雰囲気を全面に押し出し、脅しを掛けながら交渉するのが一番得策と思われます」


「分かった、何とかなりそうなんだな、それについては任せる」


「はい!総統閣下万歳!それでは失礼します」


嫌な報告続きだったが数週間後、完成目前だった生体エネルギーの開発が進み実用化に成功しすぐさま量産化を行うことが決定。これにより一気にエネルギー問題の方向に向かうのだった・・。


ーー


<フォーレスト王国>


族長アシルの別荘に幽閉されているアデールの元にとある情報がもたらされた。


「アデール様、アーネスト王はフェデラリー共和国との国交を結んだようです」


ランゲはアデールに言われアシルに黙って見つからない様にアーネストに関する情報を集めていたのだ。


「アーブラハムに引き続き今度はフェデラリー共和国ですか。今回は陛下お一人ですか、違いますよね!」


ランゲがタブレットを使い見せてくれたのはアーネストを中心にミランダとグスタフとの記念写真、フェデラリーでのテレビ出演の映像など既に公表された内容だった。何故かクレアの写真や映像はカットされていたのだ。


「。。。。」


「確か第二夫人はクレア・ハリウェル様でしたっけ?」


困惑と隠蔽の意識を読み取ったアデールはニヤリと笑い、ランゲに微笑みを送る。


「はい、今回はアーリー様が懐妊された代わりに、第二夫人のクレア様と行動を共にしている模様です」


ランゲは側室クレアが帯同している画像はアデールの事を思い外したが、隠蔽したことがバレたので素直に話すのだった。


「ふむふむ、クーン王族は側室を遊ばせるわけじゃないのね、アーリー様の世話は大丈夫何かしら、本当は私がその役目なんだよね」


「ア、アデール様、その様なことは間違ってもアシル様の前では言わないでください」


「だって私は本来ならクーンに行ってアーリー様とアーネスト様をサポートするのが役目だと思うんです」


自分の立場を理解しているアデールは正論を述べるが、ランゲはアシルの溺愛っぷりを分かっているので顔が引き攣り嫌な汗が出ている。


「そ、そうですが・・(汗」


「幽閉生活ももうすぐ4年ですよ、見て私の肌の色悪いでしょ、最近は食欲も落ちて体重も減ったのよ」


アデールの顔色は青白くとても健康な女の子には見えない。それどころか手足は細り胸に浮き出る肋骨が痛々しくまるで病人のようだった。


「アデール様、旦那様が腕の良い治癒魔法士を次回連れてくると仰ってました」


「無駄よ、日光が当たらない限り良くならないわ。はぁ〜、あと何年待てばいいのでしょう」


「アデールお嬢様、今しばらくの辛抱です」


「うん、はぁ〜(陛下が私を攫ってくれないかしら」


ため息ばかりが出るアデールさんは軟禁生活に嫌気がさし、いつの間にかアーネストに救いの手を求めていたのだった・・。


ーー


<クーン精霊王国>


アーネストがフェデラリーから戻ってきて数ヶ月後。城の庭園ではアーリーがゆっくりお茶を嗜んでいる。


ケネス「アーリー様、ロレーナ様がお見えになりました」


「おはよう御座いますアーリー女王様、私をお呼びでしょうか」


遅い朝の時間、城の庭園に呼ばれたロレーナはピンクのマタニティードレスを纏い、お腹は少し大きくなっていた。


「今日は〜、赤ちゃんの診察に行こうかと思っているの、一緒に行って見てもらった方がいいでしょ」


アーリーもまた青いマタニティドレスを纏い、下腹部がふくらんでいた。


「アーリー様、お気遣いありがとうございます」


「ほら見て私のお腹も大きくなってきたよ、予定日もほぼ一緒だから同じくらいだね」


「はい、最近はお腹の子が腹を蹴るのがわかります」


「うん私もよ、ボンボン蹴るのこの子って元気がいいよ」


「うふふ、元気が一番ですね!」


「さぁ、ここから歩いていくからね!」


「はい!運動も大切ですよね、ですが護衛の方が見当たらないのですが」


「大丈夫よ、勝手に見えない所で見張っているから、それじゃ産婦人科に行きましょう!」


ジャガー「・・・(汗」


実はジャガーは既婚者で配下で不死、子供たちは成長し孫は雲孫うんそんまでいるのだが、初出産の際に大量の血を見て以来、産婦人科が超苦手だったのだ。ちなみの奥さんは数百年前に亡くなっていた。


ミーシャ「産婦人科だニャ、私がいくニャ」


ミーシャも同じく既婚者でジャガー同様、仍孫じょうそんの子孫が生存している。


「任せた、俺は流石に無理だ」


「ニャー!」


庭園の影では護衛の2人がアーリーの様子を伺っていた。聞き耳をたて今回はミーシャが密かについていくのだ。ゆっくりお茶をした2人はそのまま病院へ向かって歩いて行くのだった。


「結構距離あるよね」


「はい、運動には丁度いい距離ですね」


クーン王立病院は城から3キロほど離れた小高い丘の上だ。2人は近道の森を抜け病院を目指していた。実は城で王族専属医師の診察を受けることは可能なのだが、体を動かすことが大好きなアーリーはわざと徒歩を選ぶのだった。もちろんお腹が育ちすぎないように健康管理も含めてのことだ。


「ねぇ、ロレーナは子供の名前は考えたの」


「まだ考えてません、色々迷っています」


「そっか、将来的にディスティアには戻れると思うけど、生まれたらクーンの国籍を与えるよ」


「よろしいのでしょうか?」


「だって何年後かわからないし、3歳過ぎれば保育園に通わせないと。出る時に破棄すればいいよ」


「そうですね・・」


拿捕され捕虜になって既に半年が経過していた。ここクーンではアーリーが許可を出し自由に生活できるがやはり思うことがあるのだろう。少し暗い表情を浮かべるロレーナ。


「ダメよ暗く沈むと子供に悪影響が出るわ。あなたはディスティアの軍人だけど、その前に母でもあるのよ、気持ちを入れ替えて将来に望みを持つのよ」


「ありがとうございます、アーリー様・・・」


励まされ感情が昂ったのか、生まれてくる我が子のことを思ったのか思わず涙が溢れ出てきていた。


「貴女と一緒に子育てできるってこれも運命なのかな?ウフフ」


アーリーはそんな彼女の手を優しく握ると微笑みを送った。


「ですが捕虜の私と一緒でいいのですか」


「気にしないよ、それより早く産んで酒飲みたいわ!」


「あはは、ほんとアーリー様は女王らしくありませんね」


「ほら、ここを抜ければ丘を上がるだけよ」


「はい!」


仲良く手を繋ぎ2人はゆっくり丘を登っていくのだった。


「あなたがお父様のウラッツェンさんですか、こちらにどうぞ」


「は、はい、ただいま行きます」


産婦人科を訪れると待合室にウラッツェンの姿が見え、看護婦に案内され診察室に入っていこうとしていた。


「あらゃ、ウラッツェンじゃないの、もしかしてワルワラちゃんに子供が出来たの」


「あっ、アーリー様、ご無沙汰しています。ええ、今日はその確認なのです」


「ほら早く行きなさい、待ってるんでしょ」


「は、はい」


急いで診察室に入ったウラッツェン、中に入るとワルワラがニコニコと笑いながらベッドに腰掛けていた。


「妊娠3ヶ月だって!あのね三つ子だって、やったー!」


「お、おめでとうワルワラ、3人?マジ?もう分かるの」


無事子供ができたことを喜ぶウラッツェン。獣人同士だと数回交われば子供はできるらしいが、実は中々妊娠せずワルワラは少し焦っていたのだ。相手が人間だと着床し辛いらしい。ちなみに女性が獣人の場合は人間が生まれてくる確率が低く、男性が獣人の場合は両方産まれてくる可能性が高いと言われている。


「うん、あのね予定日はね5ヶ月後だって」


「早いね、そっかよかった、よかった」


人間の場合10ヶ月ほどだが、獣人のワルワラは8ヶ月ほどで出産するのだった・・・。


「名前決めなくっちゃ!帰りにオムツとか買わなきゃね!ウラッツェン」


「お母さんに報告しなきゃ、僕も両親に報告するね」


「うふふ、今とっても幸せだよ(喜」


「僕もだよワルワラ(喜」


やがて訪れる明るい未来を想像しているのか、見つめ合いとても嬉しそうな2人だった。


宜しければブクマ評価お願いします。

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