フェデの2人はクーンに行くの
クーンに帰ります。
アーブラハムに到着して早々、王宮に呼ばれたアーネストとクレア。
「アハァ、クレア様また会えましたね!」
クレアの姿を見てニコニコ満面の笑みを浮かべるのはもちろんエリアスだ。相変わらず愛で方というか、何かがズレている感じだ。
「王子、お久しぶりです」
「色々報告で知ったよ、結構活躍してますね!」
「いえ、アーネストのサポートがあっての事です」
アーネスト「何を言うクレア、結構楽しんで成果を上げたじゃないか、ベスの話をしたらどうだ」
「あはは、そうですね。一番面白いかも」
「ねえ、ねえ、聞かせてクレア様!」
エリアスに呼ばれたのは単に会いたいだけの理由ではなかった。拿捕した船の技術共有化、お互いの武器や管制装置のリンクシステム構築など多岐に渡った。細かい話は技官同士が詰めるが、大まかなことはトップ2人が決めた方が早いのだ。そして数時間後・・。
「それではディスティアの技術に関しては全てオープンで行きましょう、陛下、相談なのですがエルフォードの基本骨格を真似て王族専用艦を作りたいのですが」
「もしかして150万トン級ですか!」
「いえ50くらいです、流石にその大きさはまだ無理です」
「わかりました、通常型のフレーム構成を教えるので技官をクーンに送って下さい」
「うんありがとう、此方からは機甲歩兵ユニットと生体エネルギー採取に間する最新技術を提供します」
アーブラハムはクーンより採取技術が進んでいた。街中に設置した回収装置が人々から漏れ出る微量なエネルギーすら取り込めるのだ。
「良いのですか」
「もちろんだよ、他にもいっぱい貰ったからね」
クーンとアーブラハムの技術力はそれなりに拮抗していた。両者とも成長する為に足りない部分を交換したのだ。だがジャンプに関しては開きがあり過ぎて要相談中だ。
「個人的な相談なのですが、クレア様を今から私室に招待したいのですが」
「クレアが良ければ構わないよ」
「私は構いませんが・・王子様!」
ジト目で睨みエリアスにプレッシャーを与えるクレア。
「ま、まさか何もしませんよ、陛下の側室に変な事はしません!」
分かっているのか良く分からないが、とりあえず友好の印としてクレアを送り出す。
「クレア大丈夫だよ、変な事はしない筈だよ」
「知ってます!」
チョットだけオコ顔のクレアはエリアスの私室に移動することになったのだが・・。
「クレア様、僕のコレクションの前でポーズをお願いします!是非ともその姿を映像に収めたいのです」
エリアスの部屋に入ったのは良いがまずはその広さに驚いた。100平米はあろうかその客間に並べられている人形?等身大から小さなものまで数にして数百は置いてあったのだ。
「エリアス王子、3Dスキャンして私の人形作るつもりですか!」
「いや、そう言うわけでは・・」
しどろもどろするエリアス。彼が持ち込んだ機材はどう見ても3Dスキャナーだ。6方向からカメラを向けられていたのだった。
「等身大のフィギュアを作ったら断交しますよ!」
「分かりました・・小さいのだけで我慢します・・」
無理に拒んでも良かったのだが、結局エリアスなら勝手に作ってしまうので等身大以外ならの条件を付け許可を出したのだった。そしてスキャンが終わり・・・。
「王子、婚約はどうなったのですか?お話が上がってましたよね」
「えっと、この部屋に入ると皆嫌がって・・あの・・その」
「破談したのですね!」
「うん」
余りにもスケールの違うエリアスのコレクションを見て、女性たちはヤバいと思ったのだろう。何か適当な理由を述べて辞退したそうだ。
「趣味の事はお話だけにして、婚姻が決まったらここを公表して下さい。これはアドバイスではなく実行してください!」
「うん、ほんと君なら良かったのに・・」
「わたくしはこの趣味に関して寛容ではありませんのよ!エリアス!」
「ひゃー!」
結局怒られるエリアスだった・・・。
ーー
捕虜達の処遇が決まった。アーブラハムには副長5名と士官10数名、クーンには艦長5名と士官5名が捕虜として向かう事になり、残りの士官はフェデラリーに送り返された。分散した方が有事の際にリスクを減らせると判断したのだった。
職員「それでは間も無く出発です」
アーブラハム宇宙ステーションの待合室では、ロレーナ達艦長と士官が別れの挨拶を行っていた。
ロレーナ「それでは暫し別れだ」
副長「はいロレーナ指令、元気な赤ちゃん産んで下さい」
ロレーナ達士官は分散収容に関して不服だったが、アーネストの説明を聞いて一定の理解を示し従う判断を下した。別れを済ませそれぞれはゲートに向かって歩き始める。
「フェデラリーに向け発進!」
数分後、送り返される士官を乗せた戦艦がゆっくりと宇宙ステーションから発進、同じタイミングでエルフォードも離岸していくのであった。
「ロレーナ司令、協力感謝します」
「グスタフ議員、貴方とアーネスト陛下には参りました」
グスタフはアーネストと行動を共にしていた。それはフェデラリー特使としてクーン、デルタリアを訪れ平和条約を締結するためだ。
「星団連合は相手を尊重し平和的ですが、ディスティアとは意見が合わないようですから致し方ありません」
ロレーナと2人は捕虜の扱いについて何時間も侃侃諤諤と討論を繰り返したのだ。最終的に立場が逆ならどう判断しますかと言われ、考えた末に至った結論は皮肉にもアーネストとおなじだったのだ。
「貴方達は確かに平和的で争いを避けたいのは承知しています、ですがこのままでは必ず戦争に発展します」
グスタフ「ええ、わかってます」
アーネスト「戦いは避けて通れないのか」
「はい、私たちを素直に帰還させても、間違いなく侵攻してくると思いますが当分先かと」
「それは燃料問題だな」
「はい」
士官達に尋問した際、ディスティア軍はエネルギー問題を抱えていることを知り、内容を精査したところ即座にデルタリアに対し侵攻する可能性は低いことが判明。だがフェデラリー共和国は距離が近く、その対象になる可能性が高かった。
ーー
エルフォードはカラミティ星団に入るとデルタリア艦隊と別れクーンに戻ってきた。
「久しぶりに戻ってきたな」
「ええ、数週間ぶりですね。いつ見ても綺麗・・」
エルフォードの貴賓室の窓からは青と緑色の惑星クーンが見えている。2人は寄り添い久し振りのその風景を楽しんでいた。
「もう、2人の絡みは十分よ!」
2人の後ろでカメラを回しながら不機嫌なのは記録係として乗せたミランダだ。
「そりゃ仕方ないでしょ、カメラを持ち込むなら艦橋には入れないし」
「ふん!」
ブンっと赤い長い髪を振り回し、怒りと言うか嫉妬?を表現していた。
「さぁ、アーリーが待ってる、行こうか」
「はい!」
「そうね!」
シャトルに乗り換え一路目指すのはクーン城だ。いつもの駐機場では無く、正面玄関に降り立つと侍女達が並んで出迎えてくれていた。異世界人を招待すると伝えたら全員集まってくれた。その数20人以上だ。
「おかえりなさいませアーネスト陛下、いらっしゃいませお客様!」
「うわぁ、何人並んでんのよ」
「王族だよこれくらい普通なんじゃないの?けど確かに圧巻だね」
ミランダとグスタフは一斉に挨拶されちょっとびっくりしていた。
「うふふ、今日はみんなで出迎えてくれたのよ」
一番奥からアーリーが近づき出迎えてくれる。
「ただいま、アーリー」
「おかえりアーネスト、チュ!」
「怒!」
軽く抱きしめキスすると背後から物凄い殺気を感じる。そう間違いなくミランダだと思い振り返ると、やはりじっと睨んでいた。
「あら、アーネストは異世界人にもモテるのね!」
「あはは、俺は何もしてないけどね」
「ようこそクーン精霊王国に、私が女王のアーリーよ」
「フェデラリー共和国から参りましたグスタフと申します。アーリー女王様お会いでき光栄です」
グスタフは作法を勉強したのか、胸に手をあて軽く頭を下げていた。
「初めましてミランダと申します、わわ!」
次に慌てて挨拶を始めるのはミランダだ。覚え立てで慣れないカーテシーはバランスが取り辛いのか姿勢がおかしかった。
「うふふ、さぁ、お茶でもいかがですか」
「お招きありがとうございます」
そして向かった客間、途中フェデラリーの2人は初めて入った城と時折通り過ぎるスーツを着た獣人達に目を奪われキョロキョロしていた。
「ねぇ、グスタフさんだっけ裏手の祠に行ってみてよ。貴方微量だけど魔力を感じるわ」
「ええ、私に魔力があるのですか、けどそこには何があるのでしょうか」
お茶を飲み一息つくとアーリーが精霊の祠に行ってこいと言い出した。グスタフは物凄く微量だが魔力を持って居るらしい、そして向かった例の場所・・。
水の精霊「あら、変んなヤツが来たわね」
火の精霊「そうね、デルタリアの人間じゃないわね、顔濃くない?」
「ここには喋る虫が飛んでるのか、それにしても気持ち悪いわ〜、精霊ってどれだ?」
「失礼な!」
「ふざけんな!」
いきなりキモ虫呼ばわりされた精霊達は怒ってグスタフの周りを取り囲みブンブン飛び回っている。
「悪い、精霊だっけ」
「そうよ!あんたに加護を与えることできるけど、あげない!」
「なんだよそう怒るなよ、精霊が寄って来たら加護を貰えるって聞いたぞ」
「うーん、そうだけど無理!」
「そう、彼には与えちゃダメね」
何故かグスタフに近寄ってきたが加護を与える気がないらしい。
「なんだ、お前ら人種差別するのか?」
「チッ!、アーネストがなんで来るのよ」
「流石に様子見に来たんだ、ほらお前ら虫に見えるだろ」
「相変わらずね、最初に説明しなさいよ!」
「アーネスト、悪いがこの男の未来が良くない」
突然現れた黒の精霊は、いきなりグスタフの未来が良くないと言い放った。運命が見えるのだろうか表情が思わしくない。
「この若いグスタフに何か良くないことが起きるのか」
「ふむ、出世はするが良くないな」
「そっか、じゃ仕方ない帰ろうグスタフ君」
「えっ、もう終わりなの」
「そうだね、加護を貰えないならここにいても意味が無いからね」
火の精霊「そうね、帰っていいわよ」
「相変わらず上から目線だな、嫌われるぞ」
「ふーんだ!」
肩透かしを喰らったグスタフは拍子抜けして城に戻っていくのだった。
「あらグスタフ君は貰えなかったんだ、残念ね」
「未来予想が悪いらしい、黒がそう話してたよ」
「そっか、彼らは何か感じるのね」
「ねぇ、私は行っちゃ駄目なの」
「うん、貴方は行っても無理だね。相手にしてくれない」
「えー」
話を聞いていたミランダは自分も行きたいのか聞いてきたが、アーリーが魔力を全く感じないから無理と言われ諦めるしか無かった。
グスタフ「あれかな、あの肉を大量に食べたから溜まったのかな」
「えー、私も食べたわよ」
「肉食べたくらいじゃ溜まらないわよ~」
「ふん!」
プンプン怒るミランダさんだった。
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