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バーガーと噂話。

バーガーを食べながら情報収集のアーリー。

朝食を食べ終わりお茶を飲んでいると、明日の朝食はセットで少なくしてくれと頼まれた。その後、予約してあるビューティーサロンに向かい、流石に目の前では待てないのでアーネストとは一旦別れる。


店員)「お客様、お肌のお手入れなど全て終わるまで2時間ほど要します」


「アーネスト、適当に戻ってきてよ」


「ああわかったよ、それじゃ後ほど」


アーリーは化粧とセットの間、色々考えていた。それは勿論アーネストをクーンの王として迎え2人で統治していくことだった。しかし下級貴族の彼を迎えるには難関がいくつも待ち受けていた。もし仮にアーリーが求婚したとしても他の貴族が平等に権利を与えろと邪魔をしてくるのが想像できるのだった。


「ねえ、どうしたらいいの?ねぇわたしのこの気持ち・・・・ねえウィル教えてよ」


結論が出ないまま最後の仕上げが終わり、ビューティーサロンから出て来たアーリー。


「!?あっ、アーネスト・・・ずっと待っててくれたの」


「まぁ、やる事ないし、いつ終わるかわからないから1時間くらい前に戻ってきたよ」


「アーネスト・・・ありがとう」


「すごいね更に綺麗になったねアーリー、この姿なら皆んなイチコロだよ」


「そ、そう?」


アーリーの髪は艶が増した綺麗なストレートヘヤー、化粧は今流行りの目の周りを強調した少し派手目のメイク、元が美人なので更にパワーアップしている。


「うん、凄く綺麗だよアーリー、あの宝石を付けたら完璧だね」


「ほんと?」


褒められ嬉しさが込み上げてくるアーリーは抜群にいい笑顔で満ちていた。本当に心から喜んでいるようだ。その顔を見てアーネストも思わず嬉しくなっていたが、彼を慕ってくるアーリーの望みに応えることが出来ないことが分かっていたのでわざとパーティーの話に振る。


「今日のパーティの主役間違いなしだ、男達がいっぱい寄ってくると思うよ」


「もうアーネスト褒めすぎ!恥ずかしいよ」


「ほら早く、宝石を受け取りに行こうよ」


「うん、わかった。けどお腹すいたからご飯食べてからにしようよ、あのね〜ジャンクな物がいいな!」


「なして?」


「ほら、クーンはジャンクフード殆どないからよ」


「そうか、そうだね、それじゃハンバーガーを食べに行こう」


「うん!!」


ーー


アーネストは自分がよく通っている炭火焼きのパティが美味しいお店にアーリーを連れて行く。今の店主で5代目だ。特にパティが抜群にうまい。バンズもそれに負けないくらい美味しい最強の組み合わせだ。


店主「おっ!アーネストいらっしゃい」


アーネスト「ども、いつものパティ2枚にチーズ追加トッピングを2つお願い、それとオニオンリングフライとポテトの2種盛りも飲み物はコーラで」


「おうわかった、ところで隣の美人は誰だ?お前の彼女か?」


「まさか、詳しくは言えないけど、デルタリアが初めてだから案内している」


「ははは、そうだよな、君が女性を連れているなんて想像出来ないからな」


「こんにちは、アーリーと申します」


「俺はここの店主のジョンソンだ、ゆっくりしていってくれ」


「あの、ジョンソンさん、アーネストさんは良くここに来るのですか?」


「ん、なんだ?子供の頃から知っているよ」


「へー、付き合い長いんですね」


「まぁね、アーネストは勉強好きで仲間と一緒にいっつもここに来てバーガー食べて勉強していたよ」


「そうなのですか?」


「そうだよ、こいつは頭良くて将来親父の跡をついで家業をつぐんだってさ」


「アーリーさん、家業といってもお金の投資と商社の仕事ですよ。家を守るだけで精一杯なんですからお金稼ぐのって大変なんです!」


「大変なんだね貴族って、アーネストって女の子にモテないのですか?」


「なあ、モテないわけじゃないよなアーネスト」


「まぁね、庶民の女の子と付き合うと後々面倒だからね」


「時々、アーネストを目当てに若い女の子が店で待ていたりするんだよ」


「詳しい話はいいから!」


「ははは」


「それって貴族縛りってやつ?」


「そうだよ、ほら、庶民の子って貴族と付き会ってそのまま結婚すると相手の爵位を与えられるから必死なんだよ」


「ああ、愛よりお金って事?」


「それもあるね、けど一番は家の格の違いで苦労することかな、家の力関係があるから大変なんだよ。早く結婚しないと強制的に縁談を持ちかけられるんだよ」


「アーネストは狙っている人いるの?」


アーリーのストレートな質問に神妙な表情になり黙り込んだアーネスト。昨晩の別れ際と同じ妙な、焦れったい意識に気が付いたアーリーは何となく他に気になる女性がいると感じた。


「・・・・・・」


「あー、いないんだ!」


そしてアーリーはわざと質問をしてアーネストの深層意識を感じていた。それは好意と諦めと落胆が入り混じる暗い影を読み取っていた。


「ふん!好みの女の子はこっちが求婚しても、格が不釣り合いだから無理」


「ふーん(あの子なら最高なんだけどな・・」


銀髪緑眼の貴族令嬢の事を調べていたアーリー。何か秘密があるようだ。


「ほらアーネスト、仲の良かった同級生の彼女はどうなんだ?」


「あー、だから〜、彼女は”爵位”が違いすぎて”箸にも棒”にも引っかからないよ〜」


「ほんと碌でもないわね、貴族って(ふむふむ、確か上級貴族で同学年だったね」


「ほら、アーリー座って!」


「はい、お待ちどうさま。スペシャルコンボです」


「わぁ〜、美味しそう!!」


大きめの皿に乗った美味しそうなハンバーガーは濃い目の焼き色のバンズで裏側をバターで焼き少し焦げ目が付いている。厚めのパティは肉汁が滴りチーズが絶妙に溶けていた。


「これ、これ、美味いよ〜、さぁ食べてみてよアーリー」


「もぐもぐ、アーネスト、これマジうまいよ」


早速アーリーはかぶりつき満足そうだ。


「褒めるならマスターに言ってくれ」


「もう!貴方が選んでくれたのでしょ、あなたもう少し自己主張した方がいいわよ」


「まぁね、それ苦手でして」


「ふん、チャンスを逃すわよ、目の前の麗人にも目もくれないんだから!」


「そうですね・・・・」


「もう、アーネスト!」


「・・・(おお、この子はアーネストを狙っているのか・・・アイツ朴念仁の振りしてんな」


付き合いが長いジョンソンはアーネストの表情で何となく気が付いたようだった。


「色々あるんだよ!」


「ウフフ、お悩みなら聞くわよ!」


昨日のレストランと違い今度はアーリーがアーネストにハッパを掛けていた。楽しく食事をいただき次に向かったのはあの宝石店だ。


店主「アーネスト様お待ちしておりました」


アーネスト「ありがとう、それでは保険込みの6万を今からそちらに入金しますね。ホイっと」


<ピピ、デルタペイ♪>


「はい、確認ができました、商品はこちらになります」


「うふふ、アーネストありがとう」


「ほら、無くさないようにね」


商品を受け取るとアーリーに渡し店を出ようとした瞬間、物影から男がダッシュしアーリーの持っている手さげを奪い逃げようとしていた。


アーリー「キャ!」


アーネスト「ふん!」


泥棒「うわぁ!ドガっ!ギャ!」


「早い!」


ひったくりに気が付いたアーネストは即座に足払いをし、その男はバランスを崩し倒れる瞬間、顔面に回し蹴りを喰らわす。アーリーは支配魔法を掛けようと考えた瞬間に全てが終わっていた。そしてアーネストは気絶して倒れている男から手さげをもぎ取りアーリーに渡す。


アーネスト「ほれ、ちゃんと持って、さあ行こう」


アーリー「・・・ありがとう、コイツは?」


「面倒臭い、店の店主が警察を呼ぶからお任せだ」


「けど、また奪われるかも・・・」


わざと心配そうな表情をして見詰めるとアーネストは黙って腕を貸すために隙間を空け、そしてスッとアーリーの腕が絡んでくる。


「ふふ、ありがと、これなら大丈夫だね!」


「・・・・・」


緊張したアーネストからトクトクと鼓動がアーリーの腕に伝わってくると嬉しくなってギュッと力を入れてさらに密着する。


「さあ、次はどこに連れってってくれるのアーネスト」


「そ、そうだね、またお茶でもしようか(汗」


「うん、それ良いね。ゆっくりお話ししましょ!」


デルタリアの繁華街を歩く2人の姿はどう見ても、若い恋人同士にしか見えない・・・。


ーー


<<パーティー会場近くのカフェ>>


スージー「ねえ、ねえ、クレア」


クレア「ん?なに、どうしたのスージー」


パーティーが始まる前、時間調整の為に近くのカフェで仲良くおしゃべりしている二人の女の子。そのうちの一人が何やらうわさを聞きつけ、喋らずにはいられないようだった。


「ねぇ、ダンスの相手はアーネストにするの?」


スージーはボーイッシュで赤い髪が特徴の少しポッチャリ系巨乳美女。身長はクレアより少し低い。


「スージー・・・あのねお父様にお伺いをしたのよ、アーネストは下級貴族、私は長女で釣り合いが取れないからダメだって」


クレアは銀髪でアーリーより少し短めのストレート。身体は少し細めで身長は165センチ程。大きな”エメラルドグリーンの瞳”を持ち、丘は大きくもなく小さくもない、顔は超美人ではないがどちらかと言うと可愛い系の顔立ちだ。




「そうなの、それじゃ私が誘うよ~」


「・・・・・・(困」


クレアとアーネストの仲の良さを知っているスージーは冗談でダンスの相手として誘うと言い放つが、本気で悩んでいる彼女はその事を考えると青色吐息を吐いた。


「嘘よ、クレアの気持ちはどうなの、仲良かったじゃないの?」


「仲はいいわよ、けどお友達以上のお付き合いはしていないしお父様が許さないから無理よ」


「そんなの強引に決めれば良いじゃないの」


「結局強引に決めてもお父様が猛烈に反対して絶対認めないから、彼に迷惑を掛けるだけよ・・・」


アーネストに好意を持っているクレアは俯き表情が少し暗くなる。


「他に気になっている男性はいないの?」


「いないわ・・・」


「やっぱ好きなんでしょ、アーネストの事」


「うん、・・・高等部に入る前からずっと気になっているの・・・彼と一緒だと、こうなんだか心が安らぐの」


実はクレア、アーネストの実力を学生時代に見抜いていた。それはもちろん稼ぐ力だ、既に在学中に会社を立ち上げ、流行物を掴む先見性とそれを売る力、そして自分の好みで家の縛りがなければ、自分から告白してお付き合いしたいと思うほど慕っていたのだった。


「あちゃ〜、完落ちしてるわ」


「それでスージーは決まっているの?」


「えへ!もちのロン!ラッセルと打ち合わせ済みよ、がんばれクレア!」


「はぁ〜、良いわね〜、それでそのあとは婚約でもするの?」


「・・・・うん」


「はぁ〜・・・」


人の幸せが身に染みてため息しか出ないクレアさんだった・・。


「ねえねえ、そう言えばアーネストってクーンの親善大使だよね。ねぇ知ってる?参加票を提出するときに見たんだって、アーネストがクーンの王族を連れてきたんだってさ、それがね物凄い美人さんなんだって」


「へぇ〜、まぁ仕事だからでしょ」


「クレアはいいのそんな事で」


「何よ」


「その美人さんのお買い物に付き合っていたらしくて、大量の荷物を持っていたんだって、けどそれだけじゃないのよ、さっきね知り合いから連絡が来たのよ」


「んっ?なに?どんな情報なの?」


「いつも宝石買っている店の従業員さんからなんだけど〜、店に来てたカップルがお店を出た時に宝石の入った手提げをひったくられて、一緒にいた男がその犯人を瞬殺したんだって」


「へぇー、凄いわね〜(棒」


「その男は女性と腕組んで仲良く街中に消えたんだけど、その客の名前がどうもアーネストらしいのよ」


「ええー、彼が街中で女性と腕組んで歩くんだ・・・想像つかないわ」


ちょっとびっくりするクレア。仕事とは言え腕を組む事など無いはずだ。その話を聞くと、胸の奥が少し寂しい気持ちになってしまった。


「話をまとめるとその女性はクーンの王族よ、間違いないわすごい美人だって言ってたもん」


「それ本当の話?私を騙そうってしてない」


「だって男の人は相手をアーリーって呼んでたんだよ、王族の名前もたしかアーリーよ」


「うわぁ~、それ聞きたくなかったわ~、思い切り呼び捨てだし・・(はぁ〜、彼女かしら・・・」


「クレア、どうする2人がもしもいい仲だったら、ねえ、クレア!」


「そんな悲しい話しないでよスージー・・・・私だってアーネストの事を諦め切れないんだから・・」


スージーは中々決めきれないクレアをアーネストの情報で背中を押すつもりだったが、頑固な父親の顔が思い浮かぶのだろう、絶対無理よ、お父様は許してくれない、と小さな声でつぶやき悲しい表情に変わり、今にも泣き出しそうだった。それほど好きらしい・・。


「ごめんクレア、あなたも努力したんだよね」


「その話本当だったらそのアーリーって人、身分とか関係なしに自分の好きなように相手を選んでいるんだよね」


「そ、そうよね。王族だけど考え方が違うのかな、アーネストって下級貴族だよね」


「はぁ〜」


アーネストが好きだけど、ため息しか出ないクレアさんだった・・。

宜しければ星団最強の応援も頼みます!

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