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アーネスト、ロレーナさんにお願いする件

ロレーナさんは残念ながら捕虜になります。

「初めましてダリダ艦長代理、私はクーン精霊王国、国王アーネストです」


アーネストが遅れて偵察艦に乗り込んで来た。今度は一応、迎えが来て艦長室まで案内されるのであった。しかし下士官達は挨拶もしなければ敬礼もしない、姿を見ればジト目で睨むだけだった。


「ディスティアのダリダ艦長代理よ、あなたがあの巨大な戦艦の持ち主ね」


「はいそうです、クーン宇宙軍旗艦エルフォードと言います。そう言えばロレーナを乗せたシャトルは離陸しましたよ、ですが今頃迎撃機に追われ必死に逃げている筈です(笑」


「はぁ、それはあなたが情報を流したからでしょ、もう」


アーネストの笑い顔を見たダリダは既に諦め顔だった・・。


「ええ、上昇スピードが判明すればある程度正確な時間が分かりますし、既にシャトルはエルフォードのレーダーで追ってます」


「ランデブータイムは30分後よ」


「アイアス指令、それで彼女は協力してくれますか」


「はぁ、一応説明はしたのですが、納得してくれません」


「そうですか、ダリダ代理、何が不満なのでしょう」


「ロレーナ司令だけディスティアに戻った場合、報告が終わり次第間違いなく彼女は罪を問われ死刑になるわ」


「それなら条件をつけましょう。彼女を死刑にした場合、捕虜達も同罪としてこちらで処分すると」


「なんですって!そんな条件飲むわけないでしょ」


激昂するダリダ、この様子だとロレーナを送り返すと本当に死刑になるらしい。


「そうか、そんなにディスティアは厳しいのか・・・」


「そうよ!」


アーネストは何か手立てがないか悩み始め下を向いた。そのほんの少しの隙ができたその瞬間、1人の下士官が腕を後ろに回し隠していたナイフを取り出そうとしていたが、ドン!と鈍い音がすると腹部に何かがめり込んだ!


「グハァ!」


「ミーシャありがとう」


「ニャ!」


声は聞こえるがミーシャの姿は見えなかった。腹パンを決められた下士官は気絶して床に寝転がり、ナイフは宙に浮いている。


「ナッ!私は命令してないぞ」


「隙あれば殺すか拉致るつもりなのか、それなら此方にも考えがある」


厳しい表情に変わったアーネストはナイフを受け取ると席を立ち、ダリダの胸ぐらを掴み、顔にナイフを近づけ小さな声で言い放つ。


「ダリダ艦長代理、アルビーン艦長は冷静で紳士的だったぞ、君はこの艦隊の女の子全てを性奴隷に落としたいのか?」


「せ、性奴隷だと・・私はあの下士官のような卑怯なことは考えないし、そのような行動はするつもりは無い」


アーネストは勿論捕虜を性奴隷に落とすつもりは無いが、この船に乗って下士官達の規律が緩いというか統率が取れてないことが気になっていた。


「ここの船は規律がないと言うか、上官に対し失礼な態度をとっても許されるのか?俺は一応提督と同じ階級だぞ」


「ふざけるな、敵だ、お前は敵だ!ギャ!」


違う下士官がアーネストに対して文句を言い放つ。すると先ほど同様に腹部がめり込み、床と仲良くキッスする事になった。


「ミーシャ姿を現してくれないか」


「ニャ!」


サッと認識阻害幕を外すとミーシャが姿を現した。


「はっ、猫なの?人間なの?」


「シャー!」


初めて獣人を見たのだろう、艦長室にいた全員が目を丸くしてミーシャを眺めている。だが猫と言われムカついたのか威嚇していた。


「クーン精霊王国は獣人主体の国だ、初めて見るのか」


「ええ・・そうよ・・星団の外れに獣の星があるとは聞いたことがあるけど」


「獣?獣人なのか」


「ええ、野蛮な獣が住んでいると報告があったわ」


「そうか、君の星団にも仲間がいたのか教えてくれてありがとう」


「い、いえ、大した情報ではありませんので」


意外な情報をダリダの口から聞いたアーネストは、心なしか表情が和らいだのだった。


副長「ダリダ司令そろそろお時間です」


「わかった準備をしてくれないか、アーネスト陛下、船を動かせる様にして貰えませんか」


「わかった、アイアス司令頼んで良いかな」


「はい、既にコントロールの一部は戻してあります」


「クッ、惨めだな何もできないだろ・・」


ダリダは悔しいのか唇を噛み締め表情がキツくなるのだった。


ーー


「そろそろ現れる時間なんだけど〜」


ベスの操縦するシャトルは静止軌道上より遥か上空を飛んでいた。途中、迎撃戦闘機に追われはしたが、ジェットらしく高度15000Mを超えた辺りで諦めたようだ。しかしまた、ピーッとロックオン信号を知らせるアラームが鳴り響く。


「わわ、レーザー兵器だわ逃げないと」


慌てて速度を上げジグザグに逃げ回るシャトル、時折警告音が鳴り響いていたが攻撃はされなかった。そして集合時間になるとバシューンといきなり目の前に偵察艦がジャンプアウトし姿を現した。


「うぎゃ!ぶ、ぶつかる」


慌てて回避するベス、艦橋の脇を通り抜け衝突は免れたようだ。そのまま後方に回り込み開いている格納庫に滑り込んだ!


「危なかったわね、けどここまで来れば大丈夫よ!」


着陸して格納庫に空気が充填されるとハッチを開け、降り立つロレーナが最初に目にしたのはアーネストだった・・。


「あっ、アーネストだ」


「ありゃ、と言うことは捕まえたんですかね」


「アホか逆だ、私たちが既に終わってるんだよ」


「そうね、お疲れさんでした。アーネスト〜」


クレアは2人を追い抜きアーネストの元に駆け寄る。


「お疲れさん、助かったよ」


「うふふ、面白かったです!」


「何よいきなりラブラブしないで手をあげなさい」


ロレーナは銃を構え抱きしめあっているアーネストに照準を合わせていた。


「悪いねロレーナ、君が発砲すれば艦隊の女の子達は無惨な結果になるんだけど」


「・・・」


「俺は荒事を望まない、早く銃を下ろしてくれないか?さもないと君の手がなくなるよ」


「あのナイフ猫が近くに潜んでいるのね、わかったわ」


ロレーナはミーシャのことを知っていたので諦め、素直に銃を床に置いた。


「ダリダ代理が艦長室でお待ちだ」


「ふん!」


少し不満顔のロレーナは先頭を歩き勝手知ったる艦内をズンズン歩いていくのだった。因みの偵察艦はジャンプする事なくベルト帯に通常エンジンで戻っていくのだった。


ーー


「ミランダさん、本当は言えないけど早朝チェックアウトしてシャトルが飛び立って行きましたよ」


「あーあー、行っちゃったのね、ありがとう」


ミランダはアーネストに会いたくてホテルに来たのだが、顔見知りのフロント係から既に出発したと聞いて落胆していた。


「あらら、君がその様子なら外したのか、もう彼に会えないってことか」


マスコミ仲間の記者がミランダを見つけ話しかけてくる。彼もアーネストを待っていたらしい、


「そうよ、個人的にお礼が言いたくて来たんだけどもうチェックアウトしたってさ」


「そうか、裏が取れたから俺は引き上げるよ、また何か情報があったらよろしくね」


「はい、はい」


知り合いの記者と別れるとそれを見計らっていたのか、支配人自らミランダに声をかけてきた。


「ミランダさん、アーネスト陛下から言伝を預かっております」


「えっ、ほんと」


支配人がミランダに小箱を渡す。それはアーネストから頼まれ預かっていたのだ。早速その箱を開けると小さな巾着袋とメモが一枚入っていた。


<ミランダありがとう。キミの機転のおかげで今回のミッションは楽しく終えることが出来た。それは心ばかりのお礼だ、受け取ってくれないか。それではまた会えるのを楽しみにしている。アーネスト>


メッセージを読み終えたミランダは巾着袋を開ける。そこには大粒のダイヤが数個入っていた。ここフェデラリーでもダイヤは高価とされている宝石だ、それを見た瞬間信じられない表情を浮かべる。


「す、凄い・・」


ダイヤを手のひらに乗せジッといつまでも眺めるミランダだった・・。


「私を側室にしてくれないかな〜」


ーー


ベルト帯に戻りつつあった偵察艦の中では、ロレーナとアーネストが激しい応酬を繰り返していたのだった・・。


「あのね、何回も言うけど私だけ戻ったら確実に死刑だよ・・・多分娘にも会えないまま銃殺刑よ」


「ふむ、そこまで拒絶するってことは本当に処罰されるのか」


「やっと信じてくれた!そりゃ帰りたいよ、けど結果が。。全員捕虜なんて聞いたら。。」


ロレーナは怒ると言うより、1人帰還した場合の未来が想像でき、困惑と悲しい意識で支配されていた。


「なら、逆に聞くがキミならどうする?、俺が思うに下士官が帰れば問題ないように思えるのだが」


「ノコノコと戻るのが駄目なのよ、偵察艦が壊れ漂流でもして次の偵察部隊が発見してくれれば何とかなるわ」


「なるほど、だが探しにくると思うか?聞いた話だと来ない可能性が高いぞ」


ロレーナ達が来た理由はそもそも燃料節約と探査能力が高いので選ばれたにすぎない、残り少ない燃料を使ってまた偵察に来るとは思えなかった。


「うん絶望的よ。あの偵察艦だって燃料節約して2ヶ月滞在できるか微妙よ」


「アーネスト陛下、捕虜達をフェデラリーで保護することは出来ませんでしょうか」


「アイアス指令それは考えた、しかし風紀的に問題を起こしそうなんだよ。間違いなく彼女達はあの国では美人として扱われるよ」


「嗚呼・・そうでしたね」


「全員女性だけで構成しないととんでもない事になるわ〜、その未来は想像できるわ」


クレア「それでいいんじゃないですか?彼女達を保護することでディスティアが攻めて来ても、人質かもしくは差し出せば無闇に攻撃して来ないと思います」


確かにクレアの意見が一番的を得ていた。アーブラハムと国交があっても捕虜を保護していれば侵略して来ても一定の歯止めになる可能性があるからだ。


「士官数名はアーブラハムとクーンで引き取るとしよう、そうすれば言い訳が立ちやすい筈だ」


「捕虜の分散ですか、それは良い考えです」


「えっ、わたし獣の国に行くの・・」


「嫌なら他のやつを選ぶがロレーナ司令はきらいなのか」


「嫌じゃないけど、報告書を読んだ限り原始的なのよね!」


「何それ詳しく聞かせて!」


「ふん、仕方ないわね!」


結局詳しい話を聞くと、数年前ディスティアが支配する星団内に存在する獣の惑星を支配しようとしたらしい。だがその住人は交戦的で且つ野蛮で飼い慣らすことが物凄く難しく諦めたそうだ。殲滅戦を試しに実行したらしいが、森に入った獣人を駆逐することは困難を極め、数十年は覚悟しなければならないと結論に至ったそうだ。


「あはは、それじゃエルフォードに案内するとしよう。キミなら触れ合えば分かり合えるはずだ」


「。。。」


そしてロレーナ達、士官数名を連れてエルフォードに乗り移ることとなった・・・。


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