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ディスティア偵察艦隊を拿捕せよ。

ジワジワと攻めて行くのです。

アイアスはアーネストの命令を受けて自分の艦隊の準備を終え、エルフォードと合流し乗り換えて今に至る。


「アーネスト陛下の命令はディスティア偵察艦隊の拿捕並びに未知の技術の確保だ。作戦は単純明瞭だ、戦わず拿捕するのだ」


「アイアス指令、クレア司令から最終発令されるのでしょうか」


「もちろんだ、陛下から君たちの忠誠心の強さを聞いている。私は準備の為だけにここに来た。最終発令はクレア指揮官が行うので安心してくれ」


「それを聞いて安心しました」


クーン宇宙軍は忠誠心が強く、口頭でアイアスがアーネストの命令を受けたと言っても完全には信用しないのだ。


「それでは陽動作戦を開始する。アーブラハム艦隊発進!」


<了解>


アイアスが命令を出すとアーブラハム艦隊はジャンプして消えていく。一方エルフォードを含むデルタリア艦隊内は拿捕に向けての準備で大忙しだ。長時間船外活動する為に宇宙服に追加のボンベをセット。各種装置を積み込んだ輸送用パレットがシャトルに詰め込まれていた。


「クレアです、聞こえますか?」


アーブラハムの戦艦がジャンプし、作戦が開始され数時間後。ホテルの部屋ではクレアが無線機を使いエルフォードと連絡をとっていた。


「おはようございますクレア様、作戦第一段階に入りました」


「ありがとうございます、作戦内容はアーネストから聞いています。今から発令しますので全艦放送に切り替えてください」


「承知しました」


「おい野郎共クレア司令からの発令だ!よく聞いて行動するんだ!」


「クレアです、アーブラハム軍と合同でディスティア偵察隊拿捕作戦が開始されました。アーネスト陛下は大統領との会談中、私はディスティア司令官を捕まえる為に囮になることが決まりました」


「おお、司令自らですか!」


乗組員達は皆驚いていた。危険な任務を司令官が自ら行うからだ。不死とは言え普通考えられない。


「この作戦は戦死者数ゼロを目指し全て捕虜に出来れば作戦成功です。ですから皆さんの判断と行動次第で結果が変わります、細心の注意を払いアイアス司令の命令に従ってください。以上です」


艦内では冷静に聞いている者、力んで熱くなる者、誰もがヤル気に満ちていた。


「野郎ども、宇宙服に着替えるぞ!」


「了解!」


ーー


ジャンプアウトしたアーブラハム艦隊は、偵察艦隊とは離れた場所で待機していた。


「艦長、予定座標に到着、作業開始します」


「頼むぞ、真剣に鉱物探査をしてくれ」


「了解!」


アーブラハム艦隊はアステロイド帯に浮遊する岩塊を資源探査を行う体で動き回り、各種装置を使い多種多様な電波を発砲しわざと発見させるのだ。


「各自展開後、出力最大で探査開始、その後レーザー掘削機でサンプル回収」


「了解!」


戦艦から小型シャトルが数十台が一斉に発艦。大きな岩塊に向かって飛んで行く。


<ディスティア偵察艦隊>


「ふわぁ〜、ふくちょー、暇ですね〜」


艦長がいない司令船艦橋内はだらけ切っていた。編み物を始めるレーダー手、砲塔を動かし遊ぶ砲手、艦長席に座りふざけてSNS用の動画を撮る馬鹿2人。それを見て怒る気も失せた副官のダリダは自席でお茶を飲んでいた。


「あー、ロレーナ指令の苦労がわかるわ〜」


「ねぇダリダ艦長代理、知ってました非番の時に男子トイレに集まってエッチなことやってんですよ〜」


「はっ?何それ?・・まさか百合のアレ」


「はい、秘密の場所になってるらしいですよ〜、小耳に挟んだので仲の良い下士官に聞いたら代わる代わる楽しんでいるそうです、ストレス発散ですかね」


「マジ・・(引」


妊娠問題解決策の女性部隊が一変、百合の楽園に変わり果てていた。興味本位で始め抜け出せなくなったり、自慰行為の代わりとして気軽に利用していたのだ。


「公然の秘密となってましたが、好奇心なのか性欲なのか知りませんが中々どうして増えてますよ!艦長代理どうしますー、風紀が緩み始めましたよー」


「あ゛ー」


頭を抱える副官、艦長代理とは言え流石に今回の件は看過できなかった。


「魔除けの札でもはります?」


「効くかそんなもん、おい全艦放送に切り替えろ」


「はーい」


<艦長代理のダリダだ。今から1分後男子トイレ閉鎖、中に誰か残っていても真空状態にしてやる!>


ブチ切れたダリダはいきなり強権発動。厳しい姿勢で望まないとこの問題は解決しないと思ったようだ。一方楽しんでいた女の子達は・・・。


女の子A「きゃー、死んじゃう!早く出ないと」


女の子B「アン、もう、いいところだったのに、仕方ないわ」


女の子C「あっ、いやよ逝きそうなの、もう少し」


女の子D「貴女、死にたいの行くわよ」


その放送を男子トイレで聞いたプレイ中の女の子達は半裸、反乱狂状態で飛び出しもうカオスだった。そして追加の放送が流れた。


<艦内で同様の行為が確認された場合、風紀違反として厳罰を与える!>


「ヤッバ、ちょっとやり過ぎたわ」


「もう、酷い!」


残念だが、そもそも性行為は軍規違反なのだ。静かにひっそりと行っていれば多少大目に見るのだが今回は大胆すぎた。当分の間は大人しくするしかなかった。


「仕方ないよ、本当はダメなんだから」


「そうね・・当分は大人しくするか」


風紀乱れが解消され、平穏を取り戻し、また暇が戻ってきた艦橋に緊張を知らせる、ピン!っと、哨戒レーダーに反応がでた。


「エネルギー反応、金属反応確認!」


「場所はどこだ、近いか?第一戦闘準備!」


「了解!」


ブー、ブーっと戦闘準備を知らせるアラームが鳴り響き艦内に緊張が走る。さっきまで遊んでいた女の子たちは慌てて自室に戻って行くのだった。


「アステロイド帯の端っこですね、距離200万キロ」


「わかった、全方位レーダーの出力をピンポイントレーダーに振り分け!」


「了解」


全方位レーダーだけだと詳細が分からないので出力を下げ、判別能力が高いが電力消費が激しいピンポイントレーダーを起動させた。実は隠密行動の為メインエンジン停止中で出力が足りないのだ。


「数隻の小型船らしき反応確認、詳細不明。岩塊が邪魔してこれ以上は無理かと」


「チッ、この岩塊の多さだと無理か!」


「艦長代理、観測用大型アンテナを展開しますか?」


「駄目だ、静かに隠れてろとの指示だ、大型アンテナを展開するわけにはいかない」


ダリダは悩んでいた。それはロレーナの命令だ。<合流するまで目立つ行動は控え隠密行動を取れ。緊急の際は救援信号を送る>この言葉が脳裏をよぎり思い切った行動に出れないのだ。それもその筈、大型アンテナは5隻の戦艦を傘の骨組みの様に使い、幕を形成して超精密探査を行うのだ。


「確かに展開は早いですが、撤収が大変ですよね・・」


「あの特殊な幕は放置すれば技術漏洩に繋がりかねん」


「難しい判断ですね〜、ほんと代理に指名されなくてよかったわ~、楽だわ〜」


無責任に無責任な発言をする副長代理に頭に来たのかダリダはゴンと、一発お灸をすえる。


「痛った〜、パワハラだパワハラ!暴力暴力!」


「ばーか、お前の無責任な発言は軍法会議で確実に問題になる。上官に対し提案するどころか嫌味発言だからな!この程度で済んだと思え」


「しゅ、しゅみません・・」


「艦長代理!セーブモードではやはり出力が足りません!」


「クッソ隠密行動が裏目に出たか、僚艦のエネルギーを使え!」


「了解しました」


バタバタのディスティア偵察艦隊、それを笑うかのようにアイアスは笑っていた・・。


「うひゃひゃ、偵察艦隊は大慌てだわ」


アイアスはクーンの工員に命じディスティア偵察艦隊が隠れている岩塊に観測員を潜入させスキャン。船内のカメラ映像を傍受しエルフォードで見ていた。


「アイアス司令、準備が整いました消音モードで接近しますか」


「そうだね、頼むね」


エルフォードはその大きな船体をステルスモードに変更、ゆっくりとディスティア偵察艦隊に向け近づいていくのだった。


ーー


「このまま観測するしかないのか」


「鉱物資源探索ですかね、大型支援艦の姿は以前発見されません」


「此方の死角に入って探索できないのか・・」


ディスティア偵察艦はセーブモードでいまだ待機中だ。ピンポイントレーダーの出力を更に上げた為、全方位レーダーを止めた状態で1時間が経過していた。


「艦長どうします〜、全方位レーダー落としたままですよ」


「どうしようも無いここから観察するだけだ、仕方ない補助エンジンを起動して全方位レーダーを稼働させる」


「わかりました〜」


副官が命令を出す間際、ピッっと一瞬警報が鳴りCICのモニターが一瞬揺れた。


CIC士官「んっ?いま一瞬警報が出たぞ」


技官「ちょっとログを調べましょうか」


<副長代理でーす、補助エンジン起動!>


「もう、気にしなくていいわよ、始動シーケンスが始まるわよ電源切り替えた?」


「ハイ、只今やってます、すぐに完了します」


電源の揺れを嫌ってCICは独立電源に移行、程なくすると補助エンジンが起動する筈だった・・・。


Ai「・・・・」


「艦長代理、始動シーケンス始まりませんね、Aiが反応しません」


「おいCIC、Aiが作動しないぞ」


「へっ?そんな馬鹿な」


「あれ、オフラインになってますよ」


「それはヤバいぞ原因を調べるてくれないか、必要なら再起動しても構わない」


慌て始める艦橋と戦闘指揮所内、コンピューターのメインフレームとCICは直結されている。Aiは別立てのサブフレームでメインとリンクしている筈だが今は何故か遮断されていた。


観測士「センサーの類もオフラインです、見てください他の機器もオフラインに変わってます」


慌てた船長代理のダリダは各種センサーなどの接続状況を確認すると船外モニター、人感センサーなど各種センサー類が全てオフラインになりつつあった。それも現在進行形で表示が変わっていく。


「こ、これは・・・」


緑から赤に変わる表示を見て顔が青くなり、表情が硬くなった。


「どうしました艦長代理」


「これは、ハ、ハッキングだ、すぐさまメインもサブフレームも遮断しないと、他の艦に連絡!緊急事態発令!」


命令を出したが既にメインフレームは乗っ取られた後だった。CICの画面の揺れは完全に侵入し別の所からコントロールが始まったために起きた現象に過ぎなかった。


「艦長代理、無線使えませーん」


「なんだと、宇宙服の無線機を使って呼びかけろ」


「艦長代理〜、ジャミングが始まりました〜、無理〜」


「敵なのか、どこだこんな近距離で通話できないなどあり得ない、有線通信構築だ」


同刻、他の偵察艦内も大騒ぎになっていた。全てオフライン、かろうじて生命維持装置だけが動いている状況だ。そして船外に出て各艦の状況報告を集め1時間後報告が上がってくる。


「艦長代理〜、他の船から連絡入りました〜、全艦生命維持装置以外オフラインだそうです〜」


「クッソ、誰だ、誰の仕業だ、まだ復旧出来ないのか!」


CIC内では原因追求が始まっていたが完全にお手上げ状態だった。だが一つだけ良い事があった。


CIC士官「艦長、我が艦のCICは独立電源に切り替えていたので、短時間ですがレーダーが使えます、ですが常時発砲は無理です」


<よし!電源が残り少ないだろ、節約して使うんだ>


「了解!」


唯一短時間だけ使えるレーダーで自分達の身の安全を確保しなければならない絶望的状況。だがさらに悪い知らせが上がってくる。


技官「何よこれー、サブフレームが再起動できなーい」


ウィルスなのかリモートなのかいくら探しても原因がわからなかった。メインフレームをシャットダウンする前に、サブフレームの再起動アイコンを押しても反応しないのだ。これではメインを再起動できない。


CIC士官「サブが落ちないってことはメイフレームもダメなのか・・艦長、コントロールできません」


最後に残された手段は強制シャットダウンだ。完全に電源を遮断し全てのセンサー類を一旦リセット、地道に立ち上げるしか方法が残されてなかった。


ダリダ「強制シャットダウンするしか打つ手が残ってい無いのか」


「これで復旧しなかったら漂流することになりますよ・・」


「ああ、そうだな、救援が来なきゃこんな岩しかないところで死ぬのか・・」


「CICに再度問い合わせしましたが、サブフレームすら再起動出来ないそうです。強制シャットダウンは丸裸になりますよそれも2時間も」


強制シャットダウンは0から再構築する為に時間がかかるのだ。もちろん武器、警報装置は作動せず、ドアは簡単に開き、完全丸腰状態になる。通常は整備ドッグでしか行わない作業だ。


「決断するしかないのか・・」


ダリダの表情は暗くなる一方だった・・。

宜しければブクマ評価お願いします。

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