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アーリーの初めてを奪った!

食事の後・・・色々。

「うわぁー、ここ凄いね!見て見て凄い綺麗な景色だね!」


「ここ、最高でしょ!」


そこはデルタリアでも有名な超高級レストラン「エア・デルタ」最上階から見える夜景が抜群に綺麗なのだ。それもそのはず外周は全てガラスデッキで作られ、張り出したデッキの椅子に座るとまるで空中の中に浮かんでいるような感覚になる。そして、どこまでも広がる建物の灯りが織りなすデルタリアの夜景。周りの客は恋人同士のカップルばかりだった。因みにアーリーの泊まるホテルの最上階だ。


「アーネスト、周りって若いカップルばっかりだね」


「そうだね、今日は週末だから尚更カップルが多いんだよ、ここは有名店で景色も抜群だしね」


「ふーん、ここで感動させて仕上げは一緒にお泊まり的なやつ?」


「まあ、そうでしょうね。ここで食事をして特別ラウンジでお酒を飲んでそのあとは・・・」


流れを説明しながら少し赤くなるアーネスト。アーリーとこの先の未来の事をちょっと想像したらしい。


「なに、私をこれから口説くつもりなの?もう、あなた恋人とかいないんでしょ」


すかさずツッコミを入れるアーリー。私を振り向かせなさい、口説いていいわよと言わんばかりだ。


「まさかいたら明日のパーティーに出んわ!食事が終わったらさっさと帰ります!!」


「貴族って、そんなに早く結婚しないとダメなの?」


「そうだよ、20歳までに決めないと色々言われる事があるんだよ」


「世知辛いねデルタリアの貴族って」


「それ言います?350年と17歳のアーリーさん!」


「私だって考えたことあるわよ!けど100%周りが獣人だし、近付いただけでも平伏すし、なーんにも出来ないのよ!ふん」


プイッとむくれるアーリー。


アーネスト)「それはそれで辛いね、あの環境じゃ諦めるしか無いですよね~」


アーリー)「そうでしょ!わかってくれる?そうなの、ほんと久しぶりに開放的になれたわ貴方のおかげよ、ありがとうアーネスト」


「大したことはしていませんから、明日は良い男見つけてクーンに連れ帰ってください。そうすれば好きに出来ますよ」


「・・・・そうね」


「がんばれ350年と17歳」


「うん・・・・」


がんばれを言われ、微妙な表情に変わり外の風景を見つめるアーリー。そして食事が済み、アーネストがアーリーを見送るためスィートルームの扉の前まで来ると急に黙り込むのだった。


「どうした?」


「泊まって行きなよ・・・」


「それは流石に・・」


彼がこのまま泊まってくれるとは思えないが、この状況は自分の気持ちを表現するには最適だと思い直接ぶつけアーネストの反応をみるアーリー。勿論、変わらず好意は持っているけど、とても悩んでいる意識が感じられた。


「そうよね・・・・」


「それじゃ、おやすみ」


「・・・はい、おやすみなさい」


アーネストは踵を返し、背中を見せた瞬間・・・。


「ま、待ってアーネスト」


「ん?どうしたの」


「・・・・・」


彼女は引き留めたが下を向き黙っている。


「どうした?寂しいなんて言わないでよアーリー」


「・・・・・」


彼女の頭の中で葛藤が繰り返されていた。背中を見て反射的に呼び止めたのはいいがそこから先の言葉が出てこない。アーネストはアーリーの気持ち、自分に好意を持っていることに気が付いていた。このまま戻って部屋に入ればその先のことを簡単に予想でき、自分も本当は一緒に過ごしたかったのだが、身分差がそれを許さない事を分かっていた。だから恍けるのだった。


「ほら女王様、明日は本番ですよ早く寝ないとお肌に毒ですよ!!」


「もう、ばか!」


「それじゃおやすみ、明日は朝食を食べに部屋に行くよ」


「わかった、待ってるから」


意外な言葉で断ち切られ、寂しそうに彼女はアーネストの背中を見送りながら呟く。


「もう、アーネストのばか!本当は帰りたくないくせに」


そしてアーネストは帰り、彼女はベッドに腰掛けボーッと今日の事を思い出していた。旅行気分でお出かけ、そして楽しい昼ごはん、綺麗な宝石達を見た後は優雅で退屈だけど、心が休まるお茶のひと時、そして欲求不満解消の楽しい買い物、そう思いながらポフンとベッドに横になるアーリー。


「素晴らしい景色、最高のディナーと楽しい会話、けど最後は・・・最後は・・・最後まで一緒にずっと、ずっと一緒に過ごしたかったよ・・・アーネストと一緒に」


立ち上がり窓際に行くと夜の夜景が目に入ってくるそれをボーッと眺め、ある人の名前を呟く。


「ねえ、”ウィル”いいよね彼なら貴方も喜んでくれるでしょ・・・」


その言葉を口にするとアーリーの胸の奥がキュンと寂しくなる。


「けど彼は親善大使よ、私の立場だから付き合ってくれただけ、けど・・・・」


そんな思いを断ち切るかのようにシャワーを浴び、チャプンと湯船に浸かると心地よい暖かさは、自然と心が静まりまた思いが募り始める。


「・・・もう!もう!」


ザバッと湯船から立ち上がり、濡れたままベッドに向かいそのまま倒れる。そして、悶々とし始め、また少しアーネストの事を考えていたが、疲れが出たのか急に眠気が襲いそのままベッドに沈んでいくzzz


ーー


ポーン!っと、安宿の呼び鈴とは違い優しい呼び鈴の音で目が覚める。


「ンンッ!そうか・・・アーネストか・・」


彼女はベッド脇の空中モニターに映る扉の前のアーネストの姿を確認するとロックをカチリと解除する。


「おはよう、奥にいるから〜、むにゃ〜」


「おはようアーリー」


寝ぼけている彼女は自分が全裸である事にまだ気がついていなかった。そして半身を起こし背もたれに体を預け「ボーっ」としているとコンコンとドアをノックする音が聞こえる。


「ふにゃ~、どうぞ〜」


カチャ!扉が開きアーネストが入ってくる。


「うわぁ!!アーリー!アーリー!は!裸、裸!!」


「んん、なによ朝から騒がしい!ひゃー!見たなー!」


慌てて飛び出していくアーネスト、そして彼女は昨日のことをやっと思い出す・・。


「あっ!服が・・・・」


そう、彼女は脱ぎっぱなしで風呂に入りそのままベッドにダイブ、もちろん着替えは洗面所に全て置いてある。まぁ、城でも同じようにしても後は侍女達が片付けてくれ下着を準備してくれるからだ。


「もう!私のバカ!」


見られたことに怒っているわけではなく自分の失態に怒っていた。そしてシーツを纏い扉を少し開けアーネストに話しかける。


「アーネスト!あのね、着替えがね、洗面所に全部置いてあるの、今からここ出るからあっち向いてて」


「わ、わかったよ、見ないから」


ヒタヒタヒタ・・素足で床を歩く音が生々しい。そして彼女はゆっくり扉を開け、洗面所の方に歩いて行きバタンと閉まる音がする。


「ふぅ〜、朝からとんでもない物を見ちゃったよ・・・・」


アーネストが見たのはもちろん真っ白な磁器のように白い素肌と形の整った綺麗なお椀型の大きな双丘だ。流石に下腹部までは見えていなかったのが救いだ。


「嗚呼、絶対問い詰められるよ・・・俺は悪くないのに」


次の行動というか言動が頭によぎるアーネストは青色吐息だ。少し経つと着替えを終えた彼女が洗面所から出てきたが既に顔は真っ赤になっている。


「おはようアーリー」


「・・・・・・(恥””」


恥ずかしいのか少し俯きアーネストをじっとみているアーリー。


「おはよう!」


「・・・・おはよう、見たよね、もうお嫁にいけない・・・(泣」


「うん見えたよ、けど見られたくらいで」


「だって男の人に見られたの初めてだもん、私の初めてをアーネストが奪った・・・・」


アーリーは俯いたままイジイジしている。


「おい!人聞きの悪いこと言うな!」


「だって、367年も大事に守っていたのに・・・」


まぁ、ウィルの子孫を待っていたのは事実だが、そもそもクーンには殆ど人間がいない。それに王様が存在していない国は滅茶苦茶忙しく、気がつけば100年などあっという間に過ぎ去り気が付けば300年って感じらしい。


「もしもーし、ほら機嫌直してよ、朝食食べたら美容院行って髪のセットと化粧をするんでしょ」


「・・・(イジイジ」


「ほらほら!姫様」


「うん、もう!」


ポーン!呼び鈴が鳴った。頃合いを見て朝食を持ってきたようだ。そして招き入れると流石スイートクラス、数名の従業員が入ってきて即座に朝食の準備を始める。流石にアーリーは着席してアーネストをボーッと見ていた。


料理人「お客様、只今より朝食の準備をいたします。卵はどうなされますか?」


アーネスト「それでは私はオムレツ、具材はキノコとオニオンとチーズでベーコンはカリカリで頼む、君はどうする」


アーリー「アーネストと同じ物をお願い」


「承知しました」


料理人は手慣れた手つきで卵を溶きフライパンでオムレツを作り始めた。2人は待つ間お茶を飲んでのんびりしていた。


「。。。(ふぅ〜、朝から大変だったよ」


メイド「失礼します」


メイドさん達があっという間にテーブルをセットする。数種類のヨーグルトにチーズ、フルーツ、フレッシュジュース、綺麗に盛り付けられたサラダなどが所狭しと並ぶ。


「ねえ、これって全部食べないよね、もったいないねクーンじゃ考えられないよ。ミーシャが見たら絶対怒るよ」


「そうだよ、好きなものを好きなだけ食べて残すんだよ」


「こんな無駄なことして、作物を作るために森を伐採するから精霊がいなくなるのよ」


食べきれない量の料理を見ると、アーリーが厳しい表情になり少しオコ顔だ。食べ物を作る為に森を切り開くと精霊が少なくなるからだ。


「アーリー、君は精霊に対して優しんだね」


「そうよ、精霊がいなきゃ物資が豊富で贅沢しても一緒に暮らせないと心は荒んでいくの」


「そうか、君は精霊の加護を受けているから尚更そう感じ守りたくなるんだね」


「そうよ、心が荒れれば必ず争い事が起きるのよ」


「そうか君はずっと自分をそのために犠牲にして、みんなのために尽くしてきたんだね」


「・・・・・・・(もうアーネスト、あなたはストレートに言い過ぎよ・・・悲しくなるじゃない」


「さあ食べよう、残すのは勿体無い」


「うん。。」


朝日が差し込み、優雅な朝食の筈なのだが何故かそんなに美味しく感じなかった2人だった・・。

宜しければ、星団最強なのに回りくどい奴の応援と、ブクマ評価お願いします。

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