アーネストまさかのテレビ出演
アーネストは意外な行動に出ました。
「アーネストさん、私と一緒に中継に出てもらっていいですか!」
先程まで懐疑的だったミランダとは違い一変、積極的にアーネストの出演交渉に入るのだった。
「分かりました全員出た方がいいよね」
「はい!勿論です、是非お願いします」
「へっ?私もですか・・陛下、だ、大丈夫でしょうか」
「アイアス司令も出たら良いじゃないですか一気に進みますよ。クレアは出るよね」
「うふふ、もちろん!ここで身分もバラしたら面白いことになりますね!」
「・・・」
中継に出ないかと言われたアイアスは即断するアーネストに驚き困惑気味だ。クレアは出たいのか早速手鏡で化粧のチェックを始めていた。
「ラインスラストの時は直接会いに行って話が早く纏まりました、今回は少し慎重にやってますけど」
「はっ?、あの話本当だったのですね(呆」
「実はアーリーの思いつきですけどね」
報告書で読んだアーネストとアーリーの事は少し話を盛り、大袈裟に報告したと思っていたようだった。
ミランダ「アーネストさん此方にお立ち下さい」
カメアシ「失礼します、このイヤホンを付けて下さい、ミランダさんこのマイクを振って貰えますか」
「もちろんいいわよ」
いきなり大人数になり慌てて準備を始めたミランダとアシスタントは大忙しだ。人数が増えマイクの数が足りないようだ。
FD<ミランダ、いま映った軍人3人がそうなのか>
「そうよ、見た事ない軍服でしょ間違い無いよ、戦艦も動かしたし」
<ああ、そうだな>
「彼が最高責任者のアーネストさんよ」
|<$&’to -ne””$%&>《アーネストさん聞こえますか》
「流石に直接だと言葉はわからないか・・」
スタジオからアーネストに呼びかけるが、イヤホンからは訳の分からない言葉が流れていた。そう翻訳機を通してないので意味がわからないのだ。
「アーネスト、貴方に問いかけてるみたいよ」
ミランダの視線に気がついたクレアが教えてくれる。
「あのすみません、其方の言葉が分からないのでちょっとお待ちください」
<んっ?、何だそうか、そうだよな異世界人だからか、いや待てよ何故喋れる>
なんだか理解し難い状況だ、アーネストはイヤホンを翻訳機に繋げるとすぐに話し始めた。
「私はクーンと言う惑星から此方に出向きましたアーネストと申します」
<アーネストさん、上に鎮座してる戦艦は君の船なのか>
「そうです、信じてもらう為に今から左回りに回転させますね」
受けのFDは半信半疑だったが、1分もしないうちにエルフォードが動き出し驚愕の表情を浮かべていた。
<わ、わかりました、動きました、確認しました>
そのやり取りを聞いていたチャンネル7のフロアーは蜂の巣を突いた様に慌しくなり始めた。
局長「マジ、マヂ、異星人なの」
AD「大統領府に連絡しますか」
デスク「馬鹿、報告したら横槍が入るだろ、取り敢えず流せば勝ちだ!」
「し、質問は」
「おい、今から考えるのか!ミランダにまかせろ、出先から直接やり取りするからその事を待機しているキャスターに伝えろ」
「あっ!今日はAIキャスターの日ですよ、緊急に呼び出したキャスターは全員現場ですよ」
今日は休日だ。チャンネル7は短いフラッシュニュースしか無く、そのの場合AIとCGが融合した仮想キャスターが代わりを務め、原稿を生読みする人間が不要なのだ。
「ああ、そうだった・・AIじゃ掛け合いは無理だな、こうなったらミランダに任せましょう」
Aiキャスターは簡単な受け答えは出来がるが、今回の様に想定外の出来事に対応するにはそれなりの準備が必要なのだ。今から準備しても間に合わない。
「分かりました、実況だけ伝える様、Aiに指示を出します」
「ミランダ、君が頼りだ。局にはAIと記者しかいない」
「ウフフ、知ってるよ任せなさい!」
5分後、今まで流れていたアニメ番組を打ち切りニュースを緊急カットイン。取り敢えずAIキャスターが淡々と状況を伝えていた。
Ai「謎の大型飛翔体が首都上空に現れ2時間が経過しています、現在・・・」
PD「現地のミランダに切り替えまで残り5秒前、4.3.・・・」
Ai「緊迫する現地から中継が繋がりました、現場のミランダさん」
「はい、現場のミランダです。ただいま国際フォーラムの屋上に来ています。少し前、上空に浮遊する宇宙船の司令官が突然現れました。これから来日の目的を聞きたいと思います!」
最初にいきなり衝撃的な内容が伝えられ、ミランダが移動し見たことのない軍服姿の3人が現れた!
クレメンテ大統領「エ゛!」
グスタフ「おお、やった!痺れを切らして降りてきた!」
パルパティーン「嗚呼、グスタフ、貴様はとんでもない事をやったんだぞ!」
何やら何処かの会議室ではとんでもないことになっていた・・。
ーー
2時間ほど前、フェデラリー宇宙センターの会議室では怒号が響き渡り、1人の男が吊し上げられていた。
所長「パルパティーン議員、今回の責任は何方が取るのでしょうか!」
パルパティーン「所長、大変申し訳ない。今回の責任は当事者のグスタフ議員が全てを負うことになる」
グスタフ「ふん!姿が見えて連絡を取って何が悪いんだ、遅かれ早かれコンタクトするんだろ。慌てるだけで何もしてなかったじゃないか」
この若い議員グスタフは痩せ型で背が高く、スチールグレイの髪色を持ち、いかにも青年実業家風の出立だ。一方、パルパティーン議員は白髪でオールバック、60過ぎの油ギッシュなオッサン政治家。所長は一言で言うなら神経質な数学の先生の様な感じだ。
「なんと!暴言だ!取り消せ!」
まぁ所長が怒るのも無理も無い。宇宙センターの管制室を議員団が視察中、観測衛星が異変を知らせた直後、宇宙の雲付近で閃光が走りそして大爆発を確認。驚いた管制官が天体衛星を使い付近を観測すると巨大な戦艦、エルフォードを発見、そしてそれを見たグスタフが勝手な行動をしたのだ。
「まぁ悪かったよ、だが相手から連絡来ないんだろ」
「そもそもあの通信信号は昔から傍受していたが解読不可能なのだ、だから此方の通信も解読出来ないはずだ!」
グスタフは管制室が大騒ぎになっていた時、冷静に”このボタンを押せば相手と喋れる?”と質問すると、慌てていた職員は”はいそうです”と答え、何を思ったかポチッとそのボタンを押し、宇宙センターと名を語りアーネストの艦隊に向けコンタクトを取ったのだ。
「しょ、しょ、所長!」
糾弾の最中、血相を変えた職員が慌てて会議室に入ってきた。
「どうした、何か動きがあったか?」
「あの船から返答がありました!1時間後、静止軌道上に姿を現すと」
「なん、だと」
「あはは!通じたんだ!」
「ぎ、議会、いや大統領に報告だ!」
パルパティーンは血相を変え大慌て、所長は真逆の返答が来て真っ青、グスタフは小躍りして大喜びだ。
ーー
ミランダが移動しカメラが追従すると、アーネスト達3人が映し出された。
「よろしくお願いします。取り敢えず自己紹介をお願いします」
「私はクーン精霊王国からあの戦艦に乗りフェデラリー共和国にやって来た国王アーネスト、隣の女性は私の妻の一人クレア、こちらの男性は同盟国のアーブラハム帝国の指揮官アイアス准将です」
「それではアーネスト国王陛下、フェデラリーに来日した理由を教えてください」
「はい簡単な事です。デルタリア共和国の宇宙探検に協力をしておりまして、知的生命体が住む惑星に挨拶に来た次第です」
中継が始まるとアーネストはディスティア帝国のことは喋らず、当たり障りの無い答えに終始、淡々と喋っていた。その様子をとある会議室では前のめりでモニターに齧り付く男がいた。
クレメンテ「クーン、陛下、妻、アーブラハム・・デルタリアだと!」
秘書「大統領、この3人は変人で出任せじゃ無いのですか?」
グスタフ「いやそれは違うと思うよ、チャンネル7に問い合わせしたら?」
パルパティーン「おい、グスタフお前が余計な事をしたからこんな事になったんだろ!」
「遅かれ早かれですよ」
「全く!」
プンプン怒るパルパティーン、それは無理もない、ひたすら宇宙センターで頭を下げたが今回の原因を作ったグスタフはどこ吹く風だ。全く反省なんてしてなかった。
クレメンテ「ねぇ、やっぱ会わなきゃだめだよね」
秘書「はぁまぁ、この流れだとそうなりますね」
「嫌だ、怖いよ〜」
何故かいきなり幼児の様な声を出す情けない大統領。
「大統領決断を!」
「嫌だ〜、こわーい」
度重なる刺激的な出来事でパニックになったのだろう。部屋の隅で一人いじけていた・・。
「大統領、せめて次の指示を出してみては如何でしょう」
「パルパティーン議員、君に任せるよ」
「グスタフここにいても何も進展せん!今からあの場所に迎えに行け!」
「了!」
若いグスタフは若者言葉を残し、軽い足取りで大統領府を後にするのだった・・。
ーー
「侵略とかは行わないのでしょうか」
「ははは、まさか、私たちは平和を望んでいます」
中継はひたすら続いていた。それはチャンネル7のリアルタイム視聴率が鰻登りで既に60%を超えていたのだ。もう止めるにやめられない状況だ。
「す、凄い、開局始まって以来の数字だ!」
「報奨金だ!金一封確定だ!」
局内のフロアーは違う意味で盛り上がり、金一封確定とか誰かが叫び大いに盛り上がっていた。
デスク「局長、大統領府からの問い合わせです。詳細を知りたいそうです」
「ふん!中継が全てだと言い返せ!」
「わかりました〜」
大統領府の要請を軽くあしらった局長は中継画面を見て笑っていた。
「おい、中継カメラに周りの様子を映させろ」
局長はスタジオに入り指示を出した。そしてカメラが後ろを向くと凄い人だかりが出来ていた。他局のクルーも早く終われと言わんばかりに大勢待機している。
「ガハハ、独占だ独占!まだまだ尺を繋げるんだ!」
カオスな状況は更にカオスな状況を作り出す。そんな混乱した状況を楽しんでいる局長だった・・・。
ーー
「クレアさんはお綺麗ですね、先ほど妻の一人と紹介されましたが」
「はい、側室の一人です」
「えっ、側室なんだ」
「そうですよ女王はアーリーです。最近懐妊して私が変わって司令官をやってます」
フェデラリーでは一夫多妻制が良しとされてないのだろう、ミランダは驚きの表情を浮かべていた。
「し、司令官なのですね、失礼しました」
「お気になさらず」
野次馬「アーネスト陛下、本当にあの戦艦に乗って来たのでしょうか」
中継会場を取り囲んでいた一般人から質問が飛んでくる。
「そうです、あれはクーン宇宙軍旗艦エルフォードです」
「もっと間近でみたいのですが」
「わかりました。私だアーネストだ、高度を下げてくれないか」
<了解>
アーネストが命令を出し少し経つと見る見るエルフォードの姿が大きくなり始めた。
「おお!凄い!」
「他に数隻の戦艦も来ていますが今は宇宙の雲付近で待機中です」
「ほ、本当ですか!」
敵意がないと感じたのか、単に宇宙船が好きなのか分からないがアーネストのことを全然怖がってないようだ。
記者「フェデラリー国営放送なのですが質問よろしいでしょうか」
野次馬「あの戦艦強いの?」
「乗せてくませんか!」
チャンネル7の中継なのに他局までが質問を始め、屋上はテレビを見て集まった人たちで溢れカオスな状況になりつつあった・・。
ーー
「さて、屋上に上がれるかな」
グスタフがビルの一階に到着したが、エレベーターを待つ人の長蛇の列を見て呟いた。
「失礼ですが、グスタフ議員ですよね」
警備員がグスタフに気が付き、話しかけてくる。
「うん、大統領の名を受け異星人に会いに来たんだよ」
「そうですか、こちらエレベーターをお使いください」
警備員に案内され貨物用エレベーターに乗り込むのだった。
「異星人か・・ワクワクしてきたな、ふぅ〜」
緊張を楽しんでいるのか、グスタフは大きく深呼吸をするのだった。
宜しければブクマ評価お願いします。




