フェデラリー共和国に行ってみよう
ディスティアとの戦いを終えたのだが。。。
捕虜達の身柄はアーブラハムに送ることが決まり、アーネストとアイアスはエルフォードの作戦室でお茶を飲みながら移送用の船を待っていた。
「アーネスト陛下、私の読み通り動いて頂いて感謝しかありません」
「それはお互い様だよ、だが流石に迷ったよ」
「今回の事の報告書が上がれば軍部はクーンとの友好的な関係を結びたいと思う筈です」
「それは何よりです、ですがそれは国内情勢が不安定だからですよね」
アーブラハムとの折衝は問題なく終わり、ラインスラストとの和平条約締結が完了。しかし帝国議会の過半数は帝国派が実権を握り王国派と対立が起きていた。だがアルド失脚により支持率が急落。国民は急速に批判を強めデモが各地で勃発。暴動寸前の状態が続いていた。
「そうなのです、軍部の大半は王国派に傾いていますが、首脳陣は相変わらず独裁を目指し対立を深めています。大臣にエリアス王子など数名国王派を指名したのですがそれでもまだ国民の不満が強く苦慮しております」
「以前の様に王国に戻らないのですか」
「はぁ、戻れれば良いのですが、帝国派の議員達は基本貴族を嫌っていまして、その、言い方は悪いですが為政者というより強欲商人の成り上がりが多く王族貴族は金の無駄と言い放つのです」
帝国派は議員を増やすため一般公募したのは良いが、財力に余裕のある商人達が手を挙げ、潤沢な資金を使い次々に当選。そして王国などの象徴は金の無駄と言い放ち、ひたすら金儲けに走り国民より自分達の事ばかり考え、以前とは違い格差が広がり始めていた。
「金儲けの為に今まで培ってきた歴史文化を蔑ろにすると」
「はい、その通りです。左翼傾向が強いというか、はっきり言えば利己主義なのです」
アーブラハムは王国として長い間統治してきた。王族の意向が国として進む道を決めることに対し国民は納得していた。そう、平和だったのだ。しかし利益を追い求める商人達は王国が施す規制が気に入らなかったのだ。
「実は不穏な動きもありまして、一部の軍高官を買収に乗り出しているのです」
「もしかしてクーデターを起こすとか?」
「いえいえ、逐一下士官から情報が上がりますのでそれは流石に大丈夫です。今の所帝国派に引き入れる為に動いてるだけです」
「そうですか、私としてはエリアス王子が心配です」
「それは心配ご無用かと、彼は大臣に抜擢されて以来、軍を再編し高い評価を得ています」
エリアスは軍部との繋がりが強くそのことを買われ国防大臣に抜擢され、内情を良く知る彼は軍の諸問題を一気に解決した事で高い評価を得た。さらに宇宙軍再編プランを発表すると、さらに評価を上げるのであった。
「一安心という事ですか、それではアンノン対策としてフェデラリーを味方につけませんか」
「技術力は低いが、今のうちに仲間に引き入れるという事でしょうか」
「そうです、クーン宇宙軍も増強に舵を切りました、ここは共同でこの地域を守っていく方が宜しいかと」
戦艦の航路データーを解析すると、敵性国家ディスティアは遠く離れたクロウ星団に存在する事が確認された。フェデラリー共和国はその星団との距離が一番近く、最前線になりうる可能性が高いのだ。
「確かにそうですね・・・」
悩んでいるアイアスの表情は思わしくなかった。国内情勢が安定せず諸問題が解決していないのだろう。
「無視すればこの星は侵略されます」
「わかりました」
自国の問題を抱えながらの他国防衛に二の足を踏むのは仕方がない事だ。だがこの星が落ちればここを拠点として次にアーブラハムが狙われるのは間違いなかった。苦い思いをしながらアイアスは認めるしか無かった。
ーー
「ギガ帯の信号感知!」
同じ頃、エルフォード艦橋内ではフェデラリー本星から発せられたマイクロ波を感知していた。一応解析しモニターに出すがバグり文字が並んでいる、
「%$#FE| &)$#”&)DSW$T'd73hwd《こちらはフェデラリー共和国、宇宙センターだ聞こえるか》」
「指向性の強い電波確認、これ音声通信ですよね」
「うーむ、多分そう思うがデジタルで飛ばされては解読するのに時間がかかる」
電波の状態を表すモニター画面には、デジタル特有のムラの少ないハッキリとした波長が映しだされていた。
「アーブラハムに問い合わせしましょう、埒が開きません」
「そうだな」
そしてアーブラハムに問い合わせをすると解析プログラムを渡され、デジタル音声データを解読し、その結果が出ると通信士の一人は慌てて作戦室に向かっていくのだった。
「陛下、フェデラリー国から通信が入っています」
「早速来たか」
「陛下、流石にあれだけ派手に戦ったのでバレましたね」
「善は急げ、このまま向かいませんか」
「そうですね、行きましょう」
「悪いが返答してくれないか、静止軌道上にこれから向かうと伝えてくれ」
副官「承知しました、1時間後には到着できると思います」
そして静止軌道上にエルフォードが到着したのは良かったが人工衛星が所狭しと飛んでいた。いきなり停船すれば勝手にぶつかって壊れるので、高度を落とし中間圏で待機する事になった。
艦長「陛下、これ以上高度を下げるとオゾン層に入り影響が出る可能性があります」
「この高度なら地上から望遠鏡でも十分に見える筈だ」
「今頃、地上では大変な事になったませんか」
「いきなり現れるより、多少姿を少し見せた方が混乱ないでしょ」
同じ頃、当たり前だが地上は大騒ぎになっていた。アーネストが乗るエルフォードは全長1,5キロ程あり、普通の望遠鏡でその姿を確認できるのだ。
チャンネル7「ご覧ください。今、首都上空遥か高い所に大型の宇宙船でしょうか、戦艦のような形の船が浮いているのが見えています」
レポーターの若い女性がビルの屋上に据え付けられた超望遠レンズを装着したカメラの前に立ち、モニターに薄ぼんやり見えるフォーレストを指差していた。
市民「これは大型戦艦なのか!」
市民B「こ、これは、神だ、間違いない神が来てくださったのだ」
市民C「うわぁ〜エイリアンよ、エイリアン!早く会ってみたいわ〜」
全国民はテレビに釘付けだ!だが混乱は伝染するのか一部の新興宗教団体は神だと言い始めたり、野次馬の一部はビルの屋上で垂れ幕を広げ熱烈歓迎していた。
「あれは、悪魔だ、悪魔に殺される、逃げなければ抹殺される」
とある団体は悪魔が降ってくると恐れ殺されるというデマを流していた。
アーネスト「ふむ、確かに混乱してるな」
クレア「ええ、凄い盛り上がりですね。ねぇアーネスト、こんな所に来て良いのでしょうか」
アイアス「陛下、宜しいのですか・・」
フォーレストが中間層に現れ1時間が経過、先ほど連絡してきた宇宙センターからは返答がなく、面白半分でアーネストはクレアとアイアスを引き連れ、秘密裏にテレビ中継を行っているビルの屋上に移動してきたのだった。
「キャハハ、見て、見てアーネスト、あの女の子の格好面白いね」
クレアはレポーターの格好を見て笑っていた。即座に飛び出して来たのか普通の私服姿なのだが頭には黄色いヘルメットを被っていた。指差して笑っているとそれに気がついたのかレポーターの女の子がズンズンと近づいてくる。
「もう、社に言われて安全上の理由で被っているのよ!」
ちょっとプンスカ怒っているレポーターの女の子は出番が終わったのだろう、ヘルメット脱ぎクレアに説明していた。身長は同じくらいで赤く綺麗な長い髪、顔の作りは結構派手というか、パーツ?一つ一つが大きい印象を受け野生味溢れる感じだ。特に彼女は画面に出るのが商売だから化粧がキツ目で更にそれが強調していた。
「けど変だよね戦争してる訳じゃ無いのに。それに周りは誰も被ってないわよ」
「ふん!あなたは女性軍人なの?見た事ない制服着ているわね」
「ええ、私はクーン宇宙軍に所属していますので」
服装に関してはテレビを見て軍服でも問題無いと思いそのままの格好で来たのだ。
「ふーん、そうなんだ。クーンって何処の国なの私知らないわ」
「クレア、程々にね」
「はーい」
アーネストが止めに入ったが、何故かレポーターの女の子が食いついてくる。
「あれ貴方さっぱり系でいい男だね私はミランダよ宜しく、あなたも軍人なの
?」
「まぁね、一応軍人やってるよ」
「それなら、あの船の事知ってるよね、教えてくれない?」
「へ、陛下、流石にまずくないですか・・(汗」
アイアスはちょっと引き気味だ、だがアーネストは少し考えると口元がニッとちょっと緩んだ!
「あっ、アーネスト何か悪巧み考えているでしょ」
「ふふ、わかった?中継に出て顔バレしたら取り次いでくれると考えたんだけど」
「なるほど、それはいい考えですね。あれから連絡は入りませんもんね」
「えっ、ちょっと、2人とも何言ってるの?意味がわからない(困」
ミランダは二人の会話の意味がわからないようだ。そりゃ戦艦の持ち主が目の前にいるとは普通考えられない。
「ねぇ、ミランダさんあの船に乗っている最高司令官とお話しできるとしたらどうする?」
「へっ?そんなこと出来るの、またまた嘘言っちゃって」
完全に嘘つき変人と思ったのか疑惑の目で3人を見るミランダ。
「そっか、流石に信じられないよね。じゃ、あの戦艦動かしたら信じてくれる?」
「マヂ?本当に動かせるの、じゃ方向変えてみてよ、んっ?なんで戦艦って知ってんの?」
戦艦と言い切るアーネストの言葉を拾い困惑の表情を浮かべ始める。
「俺だアーネストだ、下から見て右回りに回頭しながら東に進んでくれないか、数キロ進んで停船」
<了解、左回りで旋回します>
指示を出すアーネストの言葉を聞き、ミランダは慌ててモニターを観察し始めた。しかし20秒ほど経っただろうか動かない戦艦を見て変顔に変わる。
「なーんだ、動かないじゃない」
「そりゃ静止状態の150万トン級がクルクル動かないよ」
当たり前の事を言ったのだがミランダは疑っているのかジト目で返してきた!
「おい、ミランダ戦艦が動き始めたぞ、何か喋った方がいいんじゃないか」
超望遠レンズを覗いていたカメラマンが慌ててミランダを呼んだ。
「えっ、ほんと、もしかして右に曲がっているの」
「ああ、少し右に動きながら、えーと東の方かな、ゆっくり動いているよ」
カメラマンから伝えられた通りゆっくり右回りに旋回を始めるエルフォード。その様子をモニターで確認すると、ポカンと口を開けた状態で見入っていた。少し経ちハッと我に帰ったミランダは慌てて局に連絡を取るのだった。
「ねぇ聞いて、私の現場にさ、あの戦艦の司令官がいるのよ」
FD<またまた、動いたからって慌てるんじゃないよ>
「あれね、私の目の前で指示を出したのよ、信じてよ軍服も全然違うし」
<本当に?マジで言ってんの>
「そうよ、だからチーフDに連絡して中継をこっちに回すように指示して」
<原稿はどうするんだ、今から考えるのか>
「大丈夫、任せなさい!それより尺よ、ちょうだい尺!」
<ああ、待ってろチーフDに話して空き作るから>
「今からカメラの前に立たせるから、確認してね」
ミランダは目を輝かせ中継の段取りを急遽組んだ、そしてアーネストの元に急いで向かっていくのだった。
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