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決戦、アステロイド地帯

とうとうディスティアと交戦してしまいます。

<アーネスト目線>


艦長「陛下、アンノン砲撃開始しました」


「やはり好戦的な連中ということか」


「わわ、いきなり戦争ですね」


いきなり始まった小競り合いなのだがクレアは少しビビっていた。勿論闘いなど経験がないから仕方がない。


「これは局地戦だね、パネルを切り替えて」


戦闘用モニターが分割され、少し分かりにくいがそれぞれの艦隊の遠距離映像が映し出された。


「アーブラハム艦隊は一隻だけ離脱、アステロイド地帯を出てこちらに向かって来ます」


「挟撃するのか?何故此方に来る」


アーネストの艦隊に向けて進むアーブラハムの戦艦の意図を考え悩む。


クレア「彼方は此方の位置を知ってますよね」


レーダー手「残った艦隊、微妙に移動しています」


「ジャンプ準備、主砲エネルギー充填開始。まだ距離があるがこのまま進軍するなら交差する前に突撃を慣行する」


「わ、分かりました。アンノンの探索外に移動開始します」


戦闘態勢のレベルが上がり、照明が赤に切り替わると乗務員に緊張が走る。


「頼むぞ、見つかると逃げ込むからな」


アーネストはアーブラハムの意図が未だ読めてなかった。しかしこのまま接近すれば不意を突いて突撃すれば勝てると予想し戦闘態勢を整えるのだった。


「あの戦艦って囮ですよね、単騎行動ですから」


「そうだ、だがまだ意図が掴めない。選択肢は二つ、このまま不意を突いた突撃か、撃たれるのを承知で途中で進路を変えアステロイド地帯から離れるかのどちらかだ」


「アンノン、アステロイド地帯に侵入、作戦速度低下中」


「ここで打って出て後方を取れるが・・しかし」


このタイミングは打って出るのは微妙なのだ。アンノンは速度低下中、後方にジャンプアウトすれば回り込める。しかし戦い辛いアステロイド地帯内で戦う場合、速度を落とさなければならず味方に被害が出やすい、そう考え悩んでいると・・。


「アーブラハム艦転進、恒星圏外に向け移動中」


作戦モニターのマップを確認すると、急激に進路を変えアンノンの距離が開き始めた。


「ふむ、中々の武人だな。もしかしなくても待機中の艦隊はずっと隠れて準備してるのかな」


「はい、主砲準備完了してます」


「ふっ、成る程ね」


ニヤリと笑うアーネストは完全に意図が読めたようだ。マップを再確認するとアーブラハムの戦艦の離脱角度が少し斜めになっていた。そう、アーネストの方に少し近づく進路だ。


「この船ってなぜ真っ直ぐ進まないのですか?」


「これはね、こちらのジャンプ出現位置を考えて斜めに走っているんだよ」


「それって三方向から取り囲むためですよね」


「正解、それじゃそろそろいく準備を始めよう、出現ポイントはここだ」


アーネストが指したのはアンノンの右舷後方、ギリギリ全砲門の射線外の斜め後ろだ。ここに出現すれば敵は面舵を切る。それは転進した際一番早く砲撃できるからだ。実はそれが狙いでもあった。


「ジャンプシーケンス完了しています。いつでも行けます!」


「そう焦るな、まだだ、もう少しだけ待つんだ」


焦らずモニターを見つめるアーネストは、その最高のくるべき時を待っていた。そして数分後・・。


「アンノン、アステロイド地帯抜け砲撃開始、速力増加中」


「全軍緊急行動開始、アンノン艦隊後方にジャンプ!」


「全軍緊急離脱開始!」


この時を待っていたかの様にデルタリア艦隊はアステロイド帯から一斉に飛び出ていくのであった。


ーー


ディスティア艦隊がアステロイド帯に侵入を開始した頃・・。


<アーブラハム、アイアス目線>


「アンノン、アステロイド帯に侵入開始」


「進路240、急速回頭、シールド後方に回せ!」


急旋回を始めた戦艦は船体を大きく斜めに傾けながら綺麗な弧を描き、恒星圏外に舵を切る。勿論少し斜めの進路だ。


「アンノンとの距離急速に開きます」


「この角度だと逃走を図ると思う筈だ、後はアーネスト陛下次第だな」


アステロイド地帯は大小の岩塊が多数点在する。通常の作戦スピードでは衝突の危険があり嫌でも速度を落とす、それが狙いでもあった。


<ディスティア艦隊目線>


「アステロイド地帯に侵入、減速開始、速度低下中」


ズズズと逆噴射の振動が伝わる艦橋内。それに呼吸するかのようにカツカツと脇のコンソールを爪で叩くアルビーンはイラついていた。


「くっそ、デカい岩塊ばかりだ邪魔でしょうがない」


砲撃しながら進めば良いと思われるが、先頭の船が砲撃した残骸が四方に飛び散ると、ビリヤードの玉の様にぶつかり合い後方の船に激突する可能性があり出来ないのだ。ここは避けて通るしかなかった・・。


「敵艦船回頭、方位240、速度上げ逃走中」


「成程、ここで一気に距離を取って引き離すつもりなのだな」


モニターに映るアーブラハム艦の進行方向は少しでも距離を取るために斜めだ。離れていくマーカーを見て艦長は逃走を図っていると判断した。


「艦長、何故ジャンプして逃げないのでしょうか」


「うむ、技術力の差なのか、様子見なのか判断出来ないな」


ジャンプ起動に関する詳細は情報は不明だった。それは前回遭遇し通話するまでの時間が約30分を費やしたのが原因だ。


「間もなく通過完了」


10数分後、ディスティア艦隊はアステロイド地帯を抜け、速度を上げ追跡を再開した。


「砲撃開始!」


「了解」


「艦長!右舷艦影確認、数10、艦船データ不一致」


砲撃開始した直後デルタリア艦隊が姿を表した。


「新手か?サイズは?」


「20万トン級、うぁでかい150万?、あっ、アンノン消えました」


大型パネルに一瞬映ったデルタリア艦隊は数秒後姿を消した。


「艦後方右舷、アンノン出現、数10」


「くっ、挟撃か!取り舵、急速反転!」


「砲撃きます!」


先頭の戦艦が旋回を開始直後、後方の2隻がエルフォードの砲撃を受け爆沈。後方シールドを薄く、前方を強化していた為だった。


「10.11番艦通信途絶、後方シールド強化」


「砲撃はまだか!」


「射線が通りません11番艦に当たります、少しお待ちを」


ディスティア艦隊は旋回するが、僚艦が邪魔で攻撃が出来ない。一方、アーネスト達デルタリア艦隊は砲撃後、取り舵をとり同じく急旋回を行い、破壊した戦艦を盾にして砲撃を控えていた。


「エルフォード減速、高度を上げて射線を開けろ、各艦砲撃範囲に入り次第アンノン艦隊後方の戦艦を狙え撃て!」


「了解!」


エルフォードは減速し次弾を充填中だ。代わりにデルタリアの戦艦が前に出て砲撃を開始した。


「アルビーン艦長!左舷に戦艦4隻出現!」


「なんだと!緊急ジャンプシーケンス開始、撤退だ!」


「6、5番艦被弾、中破」


「まだか!」


「8番艦沈黙」


「陛下、アンノンがジャンプシーケンスを開始しました。主砲充填完了!」


「引き継き砲撃の手を緩めるな!エンジン排気口に照準変更!」


そう、アーネストは足止めに走ったのだ。それと同じくしてジャンプアウトしたアーブラハム艦隊が砲撃を開始した。


「シーケンス完了した船からジャンプ!、この船は最後だ!」


「アルビーン司令お先です」


アルビーンが指示を出した直後、2隻の戦艦が緊急ジャンプし消えていく。この2隻は早めに起動していたのだろう、他の船がまだ飛べない状況で消えていく。


「報告を頼む」


アルビーンは見る見る戦況が悪くなるこの戦いを既に諦めているようだった。


「司令、行きます」


準備が終わった船がジャンプしようとしたその瞬間、エルフォードの砲撃がエンジン後方に着弾。バランスを崩し船首がアステロイド地帯に向いた瞬間消えていくが、直後岩塊に衝突し大爆発を起こした。


「クッソ・・・すまん」


「し、司令、行き・・ブツ」


次にシーケンスが終わったと連絡してきたが途絶え、直後、横にいた戦艦が大爆発を起こした。アーブラハム艦隊の集中攻撃を受けたようだった。


アーネスト「ふむ、アイアス司令降伏勧告を出してくれないか」


「了解」


ーー


「’%(’&’##&gh%%(此方はこれ以上戦う意思は無い」


「陛下、解読不能!」


「たぶんもう戦う意思が無いと言っている筈だ、解析プログラムはダウンロード出来たか?」


今回、アーブラハムから言語解析プログラムを現地で送って貰う予定だったが、先に戦いが始まりダウンロードが遅れ会話が聞き取れないのだ。


「まもなく」


後方を取ったデルタリア艦隊はディスティアの戦艦に対し砲撃、すると即座に転回したが隠れていたアーブラハムの艦隊が横から突撃し戦列が崩壊、4隻轟沈、2隻爆沈、1隻自爆、2隻逃走、残る2隻は行動不能。残った無傷の2隻から降伏の打電が入った。


クレア「確かにこの状態で戦うのは馬鹿ですよね」


精密探索を行い各戦艦の状態を示す作戦モニターをみてクレアが呟いた。そう、無傷の2隻以外は修理しない限り本星に戻れない程壊れ切っていた・・・。


ーー


旗艦らしき大型船のハッチにエルフォードから伸びる吸着型コンコースが取り付けられた。しかし中は真空だ、宇宙服を着たクレアとアーネストがディスティアの戦艦に向かっていく。少し遅れてアーブラハムの士官達も来る入ってくる予定だ。


「いきなり撃たれますかね?」


「それは無いよ、会話を試みて判断すると思うよ」


二重扉の中に入り閉まるとプシューと一気に空気が充填され、少し経つと前方のスライドドアが開いた。


「同じ様な出立ちですね」


サンバイザー越しに見えたのは青い軍服を着た数名の将校らしき人物が緊張した面持ちで立ち並び、見れば普通の人間だ。二人は空気密度を確認、何ら問題ないのでヘルメットを脱いだ。


「私はクーン精霊王国の王、アーネストだ」


「私がディスティア艦隊指揮官のアルビーンだ」


アーブラハムの言語解析器のデータを貰い会話をする事が出来た。遅れてアーブラハムの士官が入ってきた。


アイアス「私はアーブラハム軍、司令アイアスだ!」


アーネスト「攻撃したのはそちらが先だ、そして君らの戦艦は壊れ自分の星に帰ることはできない、だが捕虜として身柄は拘束するつもりはない」


「修理して帰っても良いという事か」


「ああ、そうだ。此方としては敵対するつもりはない」


アルビーンは敵対しないと聞き安堵したが、副官がここにきて暴走し始めた。


「うぐぐ、お前らに助けて貰う筋合いはない、ディスティア帝国万歳!」


副官はいきなり右手を高く上げた。敬礼だろうかビシッと脚も揃え、直後左胸にあるバッヂに手を翳そうとした。多分自爆装置なのだろうアーネストは慌てることなくクレアを見る。


「動けないでしょ!」


「うぐ!クッソなんだこの力・・・人外な女、化け物め」


「あなたバカで失礼ね、ずっと呟いてなさい」


クレアは精神魔法を発動し、副官の自爆行為を止めたのだ。一生懸命バッジに向けて腕を下そうとするが肘は上がり、手は首付近で変な格好だ。そして追加の何かを施したようだ。


「アルビーン艦長、無駄な事を辞めさせてくれないか」


副官「万歳!」


「自爆は士官に与えられた無に唯一の権利だ、残念ながら私では止められない」


「万歳!」


アイアス「アーネスト陛下、ここは一旦私たちが捕虜として身柄を保護します」


「万歳!」


アーブラハム宇宙軍はこの連中を引き取ると言い出した。


「分かった、事情聴取してこいつらの考えを聞いてくれ、返答によってはクーン宇宙軍を防衛隊として使わなければならない」


「万歳!」


そして副官はずっと変な格好のまま胸のバッチを外され拘束器具でがんじがらめにされたが、何故か数秒おきに天井を睨みながら”万歳”と、ずっと連呼していた。


「万歳!」


「クレア、もしかして意識を固定したの(笑」


「そうよ、だってバカなんだもん、少し経てば元に戻るわよ!プップ」


これはクレアなりの悪戯だったようだ。


「万歳!」


アルビーン「あの女性は人外な力を持っているのか・・・」


「万、グフォ・・」


ひたすら万歳と言い放つ副官を見たアルビーンは呆れて、ドスっと1発腹パンをキメ黙らせた!

宜しければブクマ評価お願いしまーす。

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